2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 情報科学専攻
設置情報
科目名 | 情報科学特別講義 | ||
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設置学科 | 情報科学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 北村・柴山 他 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | K31A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 21世紀、科学技術が私たちの生活の隅々まで関わってきた現在、世界はどのように変化し、私たちは何を考え、行動していくべきなのだろうか。 断片的で偏った情報があふれ、それらに翻弄されがちな時代だからこそ、人文社会系の諸科学が探究する問いと考察との対話を通じて、情報に着眼する力、情報の見えにくい関係性を構想し発見する力、多様・異質な情報をも正確に理解する力、それらを表現する論理力と語彙力などを鍛えることで、広い意味での教養を磨くことを目指す。 社会のリーダーとなるための基本的な能力を理解し、物事を多面的、批判的に捉えることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業。それぞれの分野における専門教員によるオムニバス形式講義 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
授業中に各担当者から指示 |
授業計画
第1回 | (専任全員)複雑な世界に挑む人文社会科学が探究する最先端の問いの紹介 世界の複雑な諸問題を前にして、情報の見えにくい関係を構想・発見し、周囲を巻き込んで問題の奥に迫り、解決していくために、人文社会科学が、いま、どのような問いと考察、実験を試行しているのか。担当者全員により、各回の講義で扱うテーマとその背景を説明し、生活と学問のつながり方のあるべきかたちや、科学技術と人文社会科学が協働して探究すべき課題について考察する。 |
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第2回 | (勢力)人間にとっての「合理性」の陥穽と行方 人間は非合理な本性をたずさえたまま、さまざまな技術を用いて「合理性」を探求する。あらゆる対象をモデル化し、計測不能なリスクすらある程度合理的に制御可能とみなして進む社会の行方と、「合理的」意思決定を下す際の陥穽と留意点について考察する。 |
第3回 | (勢力) ゲームとしての制度の生成変化と21世紀の「つながり」のかたち 私たちの「よろこび」を促進し、「無力感」や「空虚感」を減らすために人間に可能な慣習や制度とは何で、そのような各種の慣習や制度への変化はどのように生じうるのだろうか。慣習や制度の生成と変化という問題を「ゲーム」という観点から考察し、21世紀における資本主義、仕事、幸福などのかたちについて探求する。 |
第4回 | (島村)クリティカル・シンキングの基礎 情報技術の高度に発展した現代において、情報を正確に理解し、慎重に吟味する技術(クリティカル・シンキングの技術)はますますその重要性を増している。今回は、クリティカル・シンキングを行う際に必要不可欠な基礎となる五種類の接続表現の役割(根拠、解説、例示、付加、転換)と、それらを用いて組み立てられる論理的な文章の構造について学ぶ。 |
第5回 | (島村)クリティカル・シンキングの実践 前回学んだ基礎を踏まえ、今回はクリティカル・シンキングを実際に行う際に鍵となる「論証」という視点に的を絞り、日常的言説の内に論証を読み取る技術、論証を分析・評価するための技術を訓練する。また、授業の後半では、これまでに学んだ技能の定着度を確認する授業内小テストを実施する。 |
第6回 | (柴山)教育におけるメディア 筆、鉛筆、タブレット端末などの道具と思考形式の変容の歴史などを踏まえながら検討していく。特に、デジタル教科書やタブレット端末の使用に関する諸問題を議論したい。なお、事前に、情報処理学会などの理数系学会が示した「『デジタル教科書』推進に際してのチェックリストの提案と要望」を確認し、その内容を整理しておくことが望ましい。 |
第7回 | (柴山)これから求められる能力や教育 人工知能の台頭などの状況を踏まえながら、これから求められる能力や教育のあり方について検討していく。特に、「プログラミング的思考」と「ティンカリング」や「アート的思考」について議論したい。なお、事前に、文部科学省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」や「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」を確認し、それに関する自分の見解を整理しておくことが望ましい。 |
第8回 | (岸)星新一の世界1 文学も一種の文化現象である以上、人間や社会の変容を映し出すことになる。例えば、星新一のショートショートには、未来を予言した作品が少なくない。これらの作品は現代社会の諸問題を炙り出す契機となり得る。今回は星新一の作品を未来からの警告という形で読み解いていくことにしたい。 対象とする作品 「肩の上の秘書」「羽衣」 |
第9回 | (岸)星新一の世界2 科学技術の発達によって、現代を生きるわれわれの感受性も変化し、価値観も多様化している。科学が人間に何をもたらしうるのか、星新一の作品から考えてみたい。今回は人間のコミュニケーション能力や生命力に、どのような変化が起こりうるか、二つの作品を例に考察を加える。 対象とする作品 「ボッコちゃん」「冬の蝶」 |
第10回 | (天野)情報と法(1) 表現の自由と有害情報 国家の基礎法である憲法には「表現の自由」「通信の秘密」が規定されており情報に関する事項は古くからあるテーマでした。しかし、情報通信技術の発展や個々人の価値観の多様化は従来の法理論では対応が難しい状況も生み出しました。そこで従来の基礎的内容を説明するとともに、情報分野の新しい論点を紹介します。特に通信と放送(公共放送・民間放送二元体制)に関する問題、わいせつ表現・暴力表現などのいわゆる有害情報に関する問題を取り上げます。 |
第11回 | (天野)情報と法(2) 国家機関の保有する情報の管理 国家(特に行政機関)は、国家機関内部に関する情報だけでなく、国民に関する情報も大量に保有しています。その情報の中には、国民に公開されて活用されるべきものもあれば、国家の存亡に関わるため秘匿されるべき機微なもの、特定の国民のプライバシーに関わるものなど様々な情報があります。これらの情報が、どのように管理されているのか法制度の面から概観し、諸問題について検討します。 |
第12回 | (石浜)理性の限界 啓蒙的理性の強権の下、現代の科学・物質文明が最優先する社会において、私たちは人間として何を獲得し、また何を失い、さらに何を大切にしなければならないのかを、20世紀の代表的哲学者マルチン・ハイデガーやホルクハイマー、アドルノの思想から考察する。そうすることで今後私たちはどのような社会をつくるべきかを主体的に考えたい。 |
第13回 | (石浜)理性と霊性 理性・知性だけでは今日の世界の諸問題の解決は難しい。そこで最近話題となっているのが霊性という私たちの潜在的な能力である。かつてこの能力は時代の危機的状況の時に宗教的様相で現れ、その解決に立ち向かった。今日それは理性との共同において新たな役割を果たすのではないか。この能力を私たちが自覚し社会で活用することで、今日の諸問題解決の糸口が見えてくるのではないかを考えたい。 |
第14回 | (北村)集団をまとめるチームビルディング これからの社会は人間中心の社会である「Society 5.0」をいかに実現していくかが問われている。したがって情報科学をとりまく諸課題をひとの心の側面から問い深めることは重要である。個々のひとの集まりとしての集団がチームとしてまとまるメカニズムはどのようなものか,その中でリーダーの果たす役割とは何か,優れたリーダーとは何か,について,理論的背景も視野に入れつつ具体例に基づいて考察する。 |
第15回 | (北村)コーチングというリーダーシップの在り方 優れたリーダーには,共通するものの見方,考え方,そして行動の仕方が存在する。スポーツやビジネスの世界において,相手の自律的な行動を導くコーチング実践が高く評価されている指導者たちの実践を題材として取り上げ,理論的かつ実践的な理解を深める。その上で,これからリーダーとなる自分自身のものの見方,考え方,行動の仕方にどのように結びつけていけばよいか,考察する。 |
その他
教科書 |
必要に応じて資料やプリントの配布
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
必要に応じてプリント配布
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成績評価の方法 及び基準 |
各教員の課題に対するレポート(100%) |
質問への対応 | 授業の直後やメールなどにて対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
勢力尚雅(seiriki.nobumasa@nihon-u.ac.jp ) 島村修平(shimamura.shuuhei@nihon-u.ac.jp) 柴山英樹(shibayama.hideki at nihon-u.ac.jp) ※atは@に置き換えてください。 岸 規子(kishi.noriko@nihon-u.ac.jp) 天野聖悦(amano.seietsu@nihon-u.ac.jp) 石浜弘道(ishihama.hiromichi@nihon-u.ac.jp) 北村勝朗(kitamura.katsurou@nihon-u.ac.jp) 一般教育・船橋研究室5号館532室(勢力、岸、島村)、542室(天野)、538B(柴山)、スポーツホール内研究室D(北村) |
オフィスアワー |
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 柴山 538B研究室(まずメールでお問い合わせください)
木曜 船橋 16:00 ~ 17:00 勢力 532研究室(まずメールでお問い合わせください)
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 天野 542研究室(まずメールでお問い合わせください)
水曜 船橋 10:30 ~ 11:00 石浜 14号館講師室(まずメールでお問い合わせください)
水曜 船橋 12:20 ~ 13:10 北村 スポーツホール研究室D
水曜 船橋 13:20 ~ 14:00 島村 532研究室(まずメールでお問い合わせください)
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 岸 532研究室(まずメールでお問い合わせください)
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学生への メッセージ |
世界を多角的に考え、問題意識を持ち論理的に考える力を養うことを望む |