2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 磁気流体力学Ⅱ | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 飯尾 俊二 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M31B |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 核融合プラズマに理解に不可欠な理想的電磁流体力学を、教科書 Jeffrey P. Freidberg "Ideal MHD"に沿って学ぶ。教科書の分量が多いので、本筋ではない部分は端折る。 板書できない多くの箇所についての教科書本文と図や式をスライドにしたpdfをダウンロードできるようにするので、重要な式は自分で導出するのが望ましい。記憶する必要はないが、磁場閉じ込めプラズマ関連の論文を読むときの基礎となる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 講義形式 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予備知識:F. F. Chen(著), 内田 岱二郎 (訳)「プラズマ物理入門」と同等程度。電磁気学や偏微分方程式に慣れていること。 |
授業計画
第1回 | 理想的電磁流体力学(Ideal MHD): マクスウェル方程式とボルツマン方程式から2流体運動方程式を導出し、保存方程式について議論する。 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
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第2回 | 理想MHDについての一般的特性 境界条件、局所的保存則 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第3回 | MHD平衡 ビリアル定理 トロイダル平衡 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第4回 | 1次元MHD平衡: θピンチ、zピンチ、スクリューピンチ、逆転磁場ピンチ 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第5回 | 2次元MHD平衡: Grad-Shafranov方程式の導出 プラズマ・ベータ、安全係数 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第6回 | Grad-Shafranov方程式の解析解 ソロビエフ分布を利用して、非円形断面トカマクや球状トカマクの平衡の解析解を導出 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第7回 | MHD安定性: 無限一様プラズマ中の波 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第8回 | 力の作用素: プラズマの微小変位が引き起こすエネルギー変化を、理想的電磁流体方程式から導出 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第9回 | エネルギー原理: プラズマの微小変位が引き起こすエネルギー変化について、プラズマ内部だけでなく、プラズマ表面、真空中にたくわえられるエネルギーを定式化 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第10回 | エネルギー変化の自己共役形 理想MHD不安定性の分類 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第11回 | 1次元プラズマにおけるMHD不安定性 代表的な1次元磁気閉じ込めプラズマであるθピンチおよびzピンチを例とし、MHD安定性の判別を論ずる。 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第12回 | 2次元プラズマにおけるMHD不安定性 スクリューピンチや高アスペク化の極限である直線直線トカマクについて、避けることのできないキンクモードを論じる。 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第13回 | バルーニングモード方程式 エネルギー積分から変分法により、バルーニングモード方程式を定式化 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第14回 | バルーニングモードの解と第二安定化 バルーニングモード方程式の解と、安定・不安定の領域について論じる。さらに、髙βトカマクで重要な第2安定化についても扱う。 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
第15回 | 抵抗不安定性 教科書では扱われていない非理想MHDモードであるティアリング不安定性について、参考資料として示した宮本先生の本に沿って紹介する。 事前学習:授業内容の予習を行う。(2時間) 事後学習:授業内容の復習を行う。(2時間) |
その他
教科書 |
Jeffrey P. Freidberg, Ideal MHD, Cambridge University Press, 2014, 1 edition
プラズマ磁場閉じ込めの研究に不可欠な理想的電磁流体力学(Ideal MHD)の教科書の定番。前著の"Ideal magnetohydrodynamics"は1987年に出版され、絶版後5倍以上の高値が付いた人気教科書だった。本書は改訂版である。式の導出は丁寧で、優れた英文で書かれており、英語の勉強にもなる。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
宮本健郎 『プラズマ物理の基礎』 朝倉書店 2014年 第1版
核融合プラズマについてのハンドブックとして手元にあると便利である。
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成績評価の方法 及び基準 |
レポート点数の合計で評価する。 |
質問への対応 | メールで対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
iio.shunji@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
核融合プラズマの研究には理想的電磁流体力学(Ideal MHD)が不可欠です。Ideal MHDでも十分難しいのですが、専門書として詳述されているので、一緒に解読しましょう。非線形MHDは扱いません。 |