2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 |
原子核反応論特論Ⅱ
低エネルギーQCDとクォーク・ハドロン物理学概論
|
||
---|---|---|---|
設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 山田 賢治 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M42C |
クラス |
概要
学修到達目標 | クォーク・ハドロン物理学について,低エネルギーでの現象論的側面を中心に解説する。 原子核の構成要素である核子や核子同士を結びつける核力に関係するパイ中間子などには,ハドロンと呼ばれる性質の似通った一連の粒子が多数存在する。クォークの束縛状態である様々なハドロンを系統的に整理する単純クォーク模型に基づき,量子色力学(QCD)を拠り所に,ハドロンの質量や崩壊特性がいかに説明されるかを議論する。また,加速器実験におけるハドロンの生成機構に基づき,未発見のハドロンの探索について概説するとともに,単純クォーク模型の範疇に属さない新たなハドロンの存在形態についても論及する。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
【対面授業】 基本的重要事項の解説は,板書を中心とした講義形式で行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
非相対論的量子力学,特殊相対性理論,相対論的量子力学及び相対論的場の量子論に関する基礎的事項について,理解していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | ・講義ガイダンス ・理解度確認のためのアンケート 【事前学習】非相対論的量子力学,特殊相対性理論,相対論的量子力学に関する基礎的事項について,しっかり復習しておくこと。(3時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(1時間) |
---|---|
第2回 | ・素粒子の標準模型(概観)─ 基本粒子と基本的相互作用 ・クォーク・ハドロン物理学とは何か 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第3回 | ・自然界における基本的な力(その1) 1 基本的な力の性質 ① 重力 ② 電磁気力 ③ 弱い力 ④ 強い力(核力) 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第4回 | ・自然界における基本的な力(その2) 2 基本的な力の相対的強さ 3 基本的な力の到達距離 ① 電磁気力 ② 弱い力 ③ 強い力(核力) 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第5回 | ・物質粒子の分類 1 レプトンとハドロン 2 クォーク 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第6回 | ・強い相互作用のカラー電荷と量子色力学(QCD)(その1) 1 強い相互作用におけるカラー電荷 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第7回 | ・強い相互作用のカラー電荷と量子色力学(QCD)(その2) 2 カラー電荷の実験的証拠 ① e^+ e^- 対消滅の散乱断面積 ② π^0→2γ 崩壊 (1)素粒子の平均寿命 (2)π^0→2γ の崩壊幅 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第8回 | ・強い相互作用のカラー電荷と量子色力学(QCD)(その3) 3 量子色力学(QCD)の主要な性質 ① 漸近自由性 ② クォークとグルーオンの閉じ込め ③ カイラル対称性 ④ クォーク間ポテンシャル 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第9回 | ・ハドロンの命名法と粒子特性 1 ハドロンの命名法 2 ハドロンの粒子特性 3 ハドロンとクォーク模型 ① クォークの量子数 ② クォーク多体系としてのハドロンとその種類 4 多様なハドロンの存在形態 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第10回 | ・格子QCDによるハドロン分光学 1 ハドロン質量の予言 2 カイラル対称性の破れとその人為的回復 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第11回 | ・素粒子の基本的相互作用とハドロンの崩壊(その1) 1 崩壊の種類 2 対称性と保存則 3 クォーク-ライン・ダイアグラム 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第12回 | ・素粒子の基本的相互作用とハドロンの崩壊(その2) 4 ハドロンの強崩壊 ① 観測されているメゾンの崩壊特性 ② OZI ルール 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第13回 | ・加速器実験におけるハドロンの生成機構(その1) 1 世界の加速器実験 2 周辺衝突過程 3 中心衝突過程 4 電子-陽電子衝突型実験 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第14回 | ・加速器実験におけるハドロンの生成機構(その2) 5 電子-陽電子衝突の全断面積とベクトル・メゾンの生成 6 CKMクォーク混合行列とBメゾンの弱崩壊 【事前学習】前回の授業内容について,理解を深めておくこと。(1時間) 【事後学習】講義の内容について,数式をチェックしながら十分復習すること。理解できない点については,その内容を整理し質問の準備をすること。(3時間) |
第15回 | ・まとめと課題 【事前学習】第1〜14回の授業内容について,復習しておくこと。(4時間) |
その他
教科書 |
使用しない。
必要な資料は,その都度配布する。
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
(1)P.A. Zyla et al. (Particle Data Group), The Review of Particle Physics (2021), Progress of Theoretical and Experimental Physics 2020, 083C01 (2020) and 2021 update (https://pdg.lbl.gov/), OXFORD UNIVERSITY PRESS, 2020
(2)永江知文 著 『ハドロン物理学入門[ISBN: 978-4-7853-2924-2]』 (裳華房) 2020年 第1版
(3)B.ポッフ, K.リーツ, C.ショルツ, F.サッチャ 著/柴田利明 訳 『素粒子・原子核物理入門 改訂新版[ISBN: 978-4-621-06134-3]』 (丸善出版) 2012年 第1版
(4)A. Das, T. Ferbel 著/末包文彦・白井淳平・湯田春雄 訳 『素粒子・原子核物理学の基礎~実験から統一理論まで~[ISBN: 978-4-320-03467-9]』 (共立出版) 2011年 第1版
(5)川村嘉春 著 『相対論的量子力学[ISBN: 978-4-7853-2510-7]』 量子力学選書 坂井典佑・筒井泉 監修 (裳華房) 2012年 第1版
(6)日笠健一 著 『ディラック方程式 相対論的量子力学と量子場理論』 臨時別冊・数理科学SGCライブラリ-105 (サイエンス社) 2014年 第1版
(7)国広悌二 著 『クォーク・ハドロン物理学入門 真空の南部理論を基礎として』 臨時別冊・数理科学SGCライブラリ-100 (サイエンス社) 2013年 第1版
(8)Fayyazuddin, Riazuddin, A MODERN INTRODUCTION TO PARTICLE PHYSICS[ISBN-13: 978-981-4338-83-7], World Scientific, 2012, 3 edition
|
成績評価の方法 及び基準 |
授業への取組状況50%,レポート課題への取組状況50%の割合で総合的に評価する。 |
質問への対応 | 授業終了後又は電子メール等により,随時対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
E-mail:yamada.kenji@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
木曜 駿河台 12:10 ~ 12:50
|
学生への メッセージ |