2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 |
原子核物理学Ⅰ
原子核物理の概要
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 柴田 利明 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜4 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M44A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 原子核を、実験手法・実験結果の具体的な例を通して理解する。原子核は、たいへん小さな空間的領域に複数の陽子と中性子が束縛された量子力学的な系である。原子核における強い相互作用、電磁相互作用、弱い相互作用の研究がこれまでに行われてきたので、それについて解説する。原子核物理で主要な要素となるスピンについても解説する。 原子核、陽子・中性子、およびその内部構成要素、という3つの階層に基づいて原子核物理を理解し、人に説明できるようになることが学修到達目標である。 原子核の結合エネルギーなどは高校の物理教科書に記述されている。大学院生の立場から、常に高校の物理教科書を読んで、批判的にその内容を検討することが重要である。例えば、ここは微分方程式を使えば簡潔に説明できる、というような指摘をすることができる。この科目の内容に関して、高校の物理教科書を検討することも目標の1つである。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業を基本とする。状況により変更する可能性がある。 この授業では、説明だけではなく、演習問題も扱う。演習に重心を置いて行う。 2単位の科目なので、授業時間を含めて全体で90時間になるように、自分で計画を立てて、スケジュールを作って学修してください。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
力学、電磁気学、量子力学の基礎 |
授業計画
第1回 | 原子核の全般的な性質 I :核融合、アルファ、ベータ、ガンマ崩壊、宇宙線の反応、原子核の大きさ 第1-14回の授業で扱う演習問題は、授業中に解説をしてフィードバックをする。 [事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
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第2回 | 原子核の全般的な性質 II: 中性子の発見、アイソスピン [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第3回 | 陽子と中性子と核力: 湯川中間子論 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第4回 | 原子核の液滴模型 I: 原子核の質量欠損、結合エネルギー、ワイツゼッカーの質量公式 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第5回 | 原子核の液滴模型 II: 原子核質量の体積項、表面項、クーロン項、対称項、対エネルギー項 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第6回 | 原子核のフェルミ気体模型 I: 位相空間、フェルミ-ディラック統計 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第7回 | 原子核のフェルミ気体模型 II: フェルミエネルギー [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第8回 | 原子核の殻模型 I: 中心力ポテンシャル、魔法数 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第9回 | 原子核の殻模型 II: スピン・軌道相互作用 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第10回 | 原子核の弱い相互作用: ベータ崩壊のフェルミ理論、パリティの破れ [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第11回 | 原子核のガンマ崩壊、磁気双極子モーメント、4重極モーメント: 変形した原子核 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第12回 | 散乱の断面積: フェルミの黄金律 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第13回 | ラザフォード散乱とモット散乱: クーロンポテンシャルによる散乱、スピンの効果 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第14回 | 形状因子: フーリエ変換による空間電荷分布 [事前・事後学習]授業の内容、参考書などの文献を検討して、次の授業のときに質問できるようにまとめておく(240分) |
第15回 | 理解度確認試験 [事後学習]これまでの全部の授業の内容、参考書などの文献を検討して、質問があれば教員に質問する。(240分) |
その他
教科書 |
指定しない。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
B. ポッフ他著、柴田利明訳 『素粒子・原子核物理入門 改訂新版 ISBN:978-4621061343』 SPRINGER UNIVERSITY TEXTBOOKS 丸善出版 2012年
上記のほかに、原子核に関する高校物理教科書の記述が参考になる。高校物理教科書では、原子核は「物理」および「総合物理2」に記述されている。高校教科書「物理」は啓林館、実教出版、数研出版、第一学習社、東京書籍から出版されている。高校教科書「総合物理2」は啓林館、数研出版から出版されている。原子核物理学の質量欠損、結合エネルギー、ベーター崩壊のような基本的な項目は高校の物理教科書に記述されている。
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成績評価の方法 及び基準 |
演習問題のレポート、および理解度確認期間における試験により成績評価を行う。 状況により変更する可能性がある。 |
質問への対応 | 授業時間の直後に質問を受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
7号館742B |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
原子核の理解は、粒子加速器・測定器の発達により実験結果が積み重ねられて、急速に進んでいます。この授業を通して、その現状を把握してもらいたい。 到達目標の項に書いたように、大学院生の立場から常に複数の高校物理教科書を読んで、批判的にその内容を検討することが大切です。例えば、ここは微分方程式を使えば簡潔に説明できる、というような指摘をすることができます。高校の物理教科書を自分の手元に持っていることが役立ちます。高校の物理教科書には原子核の基礎が記述されています。 |