2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 量子力学特論Ⅰ | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 出口 真一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜6 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M56A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 物理学および量子科学を専攻する上で重要となる量子力学の幾つかのテーマを学習し、その内容を修得する。 特に、学部レベルの量子力学にもとづき、測定の問題、密度演算子の性質、量子力学の位相幾何学的側面、超対称性などを理解する。初めに正準量子化に関する全般的な復習を行い、波動関数の物理的意味ついて考察する。次に、2粒子系のスピン角運動量の合成を復習し、それを用いて測定の問題とその関連事項を学ぶ。また、量子力学の位相幾何学的側面(アハロノフ・ボーム効果など)やベリーの位相について学習する。さらに、調和振動子の量子力学を復習した後、超対称量子力学の初歩を学ぶ。 この科目を修得することにより、量子力学の新たな側面を理解できるようになり、計算力も身に付く。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 あらかじめCST-VOICEなどで講義ノートを公開し、その内容をプロジェクターと黒板を用いて解説する。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予備知識としては、学部で学ぶレベルの量子力学の初歩的知識を有することが望ましい。準備学習としては、次回の講義内容を把握して、公開している講義ノートをよく読み、疑問点などをまとめておくこと。 |
授業計画
第1回 | 解析力学 -古典力学の復習として、解析力学のラグランジュ形式、ハミルトン形式、ポアソン括弧、正準方程式を復習する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
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第2回 | 数学的準備 -量子力学で必要になる数学として、ヒルベルト空間、ブラベクトルとケットベクトル、演算子のエルミート共役など、複素線形代数全般について学ぶ。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第3回 | 量子化 -ポアソン括弧に基づき交換関係を設定し、正準量子化を行う。また、ハイゼンベルグ表示とシュレディンガー表示について学習する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第4回 | -シュレディンガー方程式 シュレディンガー方程式を主題とし、座標表示と運動量表示、フーリエ変換、シュレディンガー方程式の形式解、ダイソン級数などを学ぶ。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第5回 | 波動関数の解釈 -標準的な波動関数の解釈として確率解釈を理解した後、不確定性関係について学習する。また,波動関数の他の解釈についても触れる。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第6回 | 粒子のスピン -スピン角運動量に注目し、2粒子系のスピンの合成を復習する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第7回 | 量子力学における測定1 -射影仮説、波束の収縮、測定の問題、エンタングルメントについて学ぶ。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第8回 | 密度演算子 -純粋状態と混合状態について学んだ後、密度演算子を定義する。また、密度演算子のいくつかの数学的性質を証明する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第9回 | 量子統計力学 -密度演算子に対するフォン・ノイマン方程式を導く。またフォン・ノイマンエントロピーを定義すると共に、密度演算子を用いた量子統計力学の初歩的な内容を学ぶ。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第10回 | 電磁場存在する系の量子力学1 -電磁場が存在する場合のシュレディンガー方程式を与え、アハロノフ・ボーム効果を理解する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEポータルで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第11回 | 電磁場存在する系の量子力学2 -磁気単極子が存在する場合を仮定し、実際に電荷の量子化を導く。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第12回 | 幾何学的位相 -断熱過程を説明し、幾何学的位相として知られているベリーの位相について学ぶ。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第13回 | 調和振動子の量子化 -生成・消滅演算子を用いて調和振動子の量子化を行う。そこから導かれる粒子的描像を述べると共に、コヒーレント状態と波動的描像について学習する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第14回 | 超対称量子力学 -フェルミ的調和振動子を考察した後、超対称量子力学の例として超対称調和振動子を学習する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認し、宿題として出されたレポート問題を解くこと(120分)。 |
第15回 | 量子力学における時間反転 -ニュートン方程式やマクスウエル方程式の時間反転を復習した後、シュレディンガー方程式の時間反転について考察する。また、時間反転演算子を定義し、実際に位置演算子、運動量演算子、角運動量演算子が満たす交換関係が時間反転のもとで不変であることを学習する。前回のレポートを提出すると共に、そこで出された問題の解法を確認する。 事前学習:CST-VOICEで配布された講義ノートを読み、疑問点や質問事項をまとめておくこと(120分)。 事後学習:数式の導出と講義内容を再確認すること(120分)。 |
その他
教科書 |
特に指定の教科書はない。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
J. J. Sakurai, Modern Quantum Mechanics {ISBN 0-201-53929-2], Addison-Wesley, 1993, 2 edition
亀淵迪 ・表実 『量子力学特論 [ISBN 978-4-254-13683-8 C 3342] 』 朝倉物理学大系13 朝倉書店 2003年 第1版
武田 暁 『場の理論 [ISBN 4-7853-2322-1]』 物理学選書21 裳華房 1992年 第2版
河原林 研 『量子力学 [ISBN 9784007306853]』 現代物理学叢書 岩波書店 2001年 第1版
清水 明 『新版 量子論の基礎 [ISBN 』 新物理学ライブラリ 別巻2 [ISBN 9784781910628] サイエンス社 2004年 第2版
参考書のいずれか1つで授業内容のすべてをカバーしているわけではない。あくまでも授業の一部を補足する参考書として考えてほしい。
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成績評価の方法 及び基準 |
成績評価に関しては、授業中に出題するレポート問題の解答内容を重視しする(80%)。また,授業における質問などの積極性を考慮する(20%)。 |
質問への対応 | 基本的には、各週の授業終了後を質問の時間とする。授業終了後に時間が取れないときは、代わりの時間を設ける。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室:駿河台校舎821A号室 E-mail: deguchi.shinnichi@nihon-u.ac.jp TEL: 03-3259-0867 |
オフィスアワー |
金曜 駿河台 17:00 ~ 18:00 8号館2階821A室
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学生への メッセージ |
この授業の前半では量子力学の基礎を講義し、後半は量子力学の最近の発展につながる話題を講義します。量子力学に興味のある学生さんは、ぜひ受講してください。 |