2023年 理工学部 シラバス - 建築学科
設置情報
科目名 | 振動工学 | ||
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設置学科 | 建築学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 秦 一平 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜1 火曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C21Q C22Q |
クラス | 1,2組共通 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 構造物の振動現象をどのように捉えるのか、構造物の変形のし易さや重さなどが振動とどのように関わってくるのかを数学モデル・微分方程式・線形代数などの知識を利用して学び、建築の動的設計に必要な振動工学の基本を身につける。 本授業科目はDP1・3・5・6及びCP1・3・5・6に該当しています。 |
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授業形態及び 授業方法 |
授業形態: 本授業は「対面授業」を基本として実施する. ※社会状況に応じて「オンデマンド型授業」に移行する場合もある. 授業方法: PPT及び板書を中心とした講義形式で行う.振動工学は、微分方程式と線形代数が基本であるため,授業における準備として課題をだし,予習をすることになる.授業は教科書に基づき要点を板書し,演習問題を解きながら講義を行う. |
履修条件 | 構造力学、応用力学の単位を修得していることが望ましい。 建築情報処理Ⅰは必ず受講してほしい. |
授業計画
第1回 | 建築と振動工学の関係を知る. 振動工学で扱う数学を理解する 【事前学習】偏微分方程式,三角関数などを復習しておく.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
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第2回 | 振動方程式の誘導(1自由度系) 1自由度系の振動方程式の意味を理解し,オイラーラグランジュ方程式より求める方法を知る.また,固有周期,粘性減衰定数などの用語を理解する. 【事前学習】三角関数の微分,積分を理解しておく.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第3回 | 構造物の減衰と共振 減衰とは何かを理解し,自由振動波形を対数減衰率法を用いて粘性減衰定数を求め方を理解する.共振とはどのような状態で起こるのかを理解する. 【事前学習】1自由度系の振動方程式の求め方を復習する.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第4回 | 地震動と時刻歴応答解析 地震動の発生メカニズムと地震動の性質を学ぶ.また,時刻歴応答解析を理解する. 【事前学習】地震の発生メカニズムについて予習をする.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第5回 | 地震応答スペクトル 地震動の周波数成分(周期成分)を理解するため,応答スペクトルの作成 方法と意味を学ぶ.また,地震応答スペクトルの種類を知る. 【事前学習】1質点系の時刻歴応答解析ソフトを使い最大値を求める.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第6回 | 振動方程式の誘導(多自由度系の振動方定期の誘導)ー1 オイラーラグランジュ方程式を利用して,さまざまな多自由度系の振動方程式を求める. 【事前学習】連立方程式を行列に変換する方法を復習する.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第7回 | 振動方程式の誘導(多自由度系の振動方定期の誘導)ー2 オイラーラグランジュ方程式を利用して,さまざまな多自由度系の振動方程式を求める. 【事前学習】連立方程式を行列に変換する方法を復習する.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第8回 | 無減衰系モデルの固有値解析と刺激関数 無減衰系2自由度モデルの固有値計算の方法と刺激関数を学ぶ. 【事前学習】逆行列及び行列式を復習する.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第9回 | 授業理解度小テスト 「振動方程式」「固有周期」「粘性減衰定数」「共振」「応答スペクトル」「固有値計算」について理解度を図るため小テストを行う. 【事前学習】第1回から第8回までの講義内容を整理する.(120分) 【事後学習】解答できなかった問題を復習する.(120分) |
第10回 | 減衰系モデルの固有値解析 「比例減衰」「非比例減衰」の固有値解析方法と複素数をもつ刺激関数を理解する. 【事前学習】無減衰系の固有値解析とモーダル解析を復習する.(120分) 【事後学習】複素平面について調べる.(120分) |
第11回 | 減衰系モデルの固有値解析演習 配布された固有値解析プログラムを利用し,「比例減衰系モデルの設定ならびに固有値解析方法」「非比例減衰系モデルの固有値解析方法と固有値の意味」「過減衰系モデルの固有値の対応方法」について理解する. 【事前学習】内部粘性減衰の意味と設定方法について復習する.(120分) 【事後学習】固有値解析プログラムを用いて演習をする.(120分) |
第12回 | 多自由度減衰系モデルの時刻歴応答解析演習 配布された時刻歴応答解析プログラムを利用して時刻歴応答解析のやり方を理解する. 【事前学習】応答スペクトルの種類について予習する.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第13回 | 多自由度減衰系モデルのモーダル解析演習 配布された固有値解析プログラムを利用して,モーダル解析方法を知るとともに,時刻歴応答解析結果との関連性を学ぶ. 【事前学習】非比例減衰モデルの固有値解析方法を復習する.(120分) 【事後学習】授業で示した演習問題を解答し,提出する.(120分) |
第14回 | 同調質量ダンパーを用いた制振構造の設計方法 1年次基礎実験(振動)で実施した同調質量ダンパー(TMD)の理論を知り,多自由度系モデルに適用する方法を理解するとともに,最終課題の演習問題を行う. 【事前学習】1年次基礎実験(振動)の作成レポートを見直す.(120分) 【事後学習】最終課題レポートを作成する.(最終課題) |
第15回 | レポートに関する質疑応答 【事前学習】レポートの解析内容を理解しておく.(120分) 【事後学習】最終課題レポートを作成する.(最終課題) 課題⑤の提出 |
その他
教科書 |
石丸辰治 『応答性能に基づく「対震設計」入門』 彰国社 2004年 第1版
構造物の動的設計に関する入門書であり、基本概念としての振動エネルギーの基礎解説から、振動方程式の物理的意味や振動現象の把握に加え、長寿命建築としての免震・制震構造の性能からみた構造設計の図式解法も提示、初心者でも、免震・制震の基本計画の構成実務に役立てることができる。
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参考書 |
石丸辰治 『対震設計の方法』 建築技術 2008年 第1版
研究室で購入できます.希望者は授業時に問い合わせください.
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成績評価の方法 及び基準 |
授業中に実施する理解度小テスト(40%),課題(各20%),最終レポート(40%)との総合評価とする. |
質問への対応 | 大学院生ならびに研究室のスタッフにて対応します. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラS903室(秦) hata.ippei@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 12:10 ~ 13:20 駿河台校舎タワースコラS903室(秦)
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学生への メッセージ |
超高層建物、免震建物、制震建物は、動的設計(時刻歴応答解析)により、構造設計されます。動的設計は、入力とそれに対する建物の状態を明らかにする、性能設計的手法です。 こうした設計は実務的にはコンピュータを駆使して行われるのですが、コンピュータをブラックボックス化せずに、ツールとして使いこなすにはエンジニアに振動工学の知見が必要となります。 本科目は学部生として、将来、専門職に就くのに必要な振動工学の基礎を学びます。 |