2023年 理工学部 シラバス - 建築学科
設置情報
科目名 | 建築史Ⅲ | ||
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設置学科 | 建築学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 川嶋 勝 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C52Q |
クラス | 1 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 近代日本の建築を対象とし、幕末から昭和戦前期にかけての建築の近代化過程を軸に解説する。西洋の歴史主義とモダニズム、そして日本の伝統文化がさまざまに融合しながら、やがて世界的建築家を輩出するようになった史的展開のダイナミズムについて理解を深めることができる。そして、現代の建築や景観をめぐる日本らしさとは何かについて考え、議論し、表現するための学術的素養を醸成できる。※本授業科目はDP1・3・5・6及びCP1・3・5・6に該当しています。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業。教科書の当該部の事前学習を前提とした資料を各回配布し、わが国における建築の近代化過程の要点を提示するとともに、各時代の代表作品を映写しながら講義を進める。各回授業の演習、理解度確認テストおよびその中間提出、それらの解説をつうじて、近代から現代にいたる日本の建築の特質についての理解をより確かなものとする。 |
履修条件 | 「建築史II」を修得していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 日本近代建築史の概要: 西洋化と近代化/近代建築とモダニズム建築/歴史主義とモダニズム 【予習】シラバスをあらかじめ通読し、授業の趣旨と全体の流れを理解する。(30分) 【復習】教科書まえがき・目次と授業の構成を比較し、西欧と日本の近代建築史の関係性について概要を知る。(90分) |
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第2回 | 西洋建築との出会い: 開国と技術移入/殖産興業とお雇い外国人/文明開化と擬洋風建築 【予習】教科書I①②をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、西洋建築との出会いがもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第3回 | 日本人建築家の誕生: J.コンドルの前後/国家を飾る建築/イギリス派・フランス派・ドイツ派 【予習】教科書II①②をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、日本人建築家の誕生がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第4回 | 模倣から表現へ: 第二世代の建築家/アジアへの視座/米国の実用主義/アールヌーヴォーの展開 【予習】教科書II③をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、模倣から表現への展開がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第5回 | 国家のかたちと様式論争: 明治宮殿と和洋折衷技法/様式の相対化と近代和風建築/帝国議会議事堂と討論会 【予習】教科書II④をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、様式論争と国家のかたちがもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第6回 | 構造派と社会派: 佐野利器と内田祥三/都市の計画と景観の形成/関東大震災と帝都復興事業 【予習】教科書III④・IV①をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物などについて予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、構造派と社会派がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第7回 | 住まいの近代化: 中廊下型と居間中心型/生活改善運動と郊外の誕生/藤井厚二・堀口捨己・吉田五十八 【予習】教科書III③をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、住まいの近代化がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第8回 | 中間提出・講評: 近代建築の見学・撮影 【予習】自身の中間提出物の内容とび教科書の対応部分を確認し、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、日本の近代建築もつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第9回 | 建築論と建築運動の幕開け: 虚偽論争と俊鎮論争/表現派と大正的なるもの/分離派建築会と創宇社建築会 【予習】教科書III①②をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、建築論と建築運動のはじまりがもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第10回 | モダニズム建築の出現: 建築運動の系譜/建築ジャーナリズムの展開/官庁営繕と同潤会/バウハウスとル・コルビュジエの影響 【予習】教科書IV③をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、モダニズム建築の登場がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第11回 | 外国人建築家と日本: F.L.ライトとA.レーモンド/B.タウトと桂離宮/W,M.ヴォーリズとスパニッシュ 【予習】教科書III④をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、外国人建築家と日本の相関関係がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第12回 | 日本的なるものと伝統表現: 日本趣味と帝冠併合様式/モダニズムと伝統的建築の審美性/木造モダニズムの系譜 【予習】教科書IV②をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物・社会背景について予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、日本的なるものと伝統表現がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第13回 | 戦後モダニズムの展開: 戦後民主主義の表現と小住宅/丹下健三の時代/村野藤吾と白井晟一 【予習】教科書V①②③をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物などについて予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、戦後モダニズムの展開がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第14回 | モダニズムを超えて: ポストモダンと磯崎新/建築の主題/日本の近代と現在 【予習】教科書V④をあらかじめ通読し、教科書の西欧編の対応部分についても学習しながら、関連テーマ・作品・人物などについて予備知識をえる。(150分) 【復習】授業で扱った作品・人物についてさらに調べ、モダニズム以後の展開がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
第15回 | 理解度確認テスト: 近代日本建築史の諸相とその意義について 【予習】教科書全体および中間提出物・各回演習を振り返り、近代日本の建築の系譜を整理し、その史的展開の全体像に関する予備知識をえる。(150分) 【復習】テストで登場した作品・人物についてさらに調べ、日本の「近代建築」の多様な側面がもつ建築史的意義と今日的意義について理解を深める。(90分) |
その他
教科書 |
・大川三雄、川向正人、初田亨、吉田鋼市 『図説 近代建築の系譜』 彰国社 1997年
・必要に応じて関連資料を配布する。
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参考書 |
・藤森照信 『日本の近代建築 上・下』 岩波新書 1993年
・内田青蔵、大川三雄、藤谷 陽悦 『新版 図説・近代日本住宅史』 鹿島出版会 2008年
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成績評価の方法 及び基準 |
以下の課題提出によって総合評価する。 各回授業の演習(合計:30%)、理解度確認テスト(中間提出:30%、最終提出:40%) |
質問への対応 | 授業後(オフィスアワー)、各回ミニッツペーパーおよびメール(kawashima.masaru@nihon-u.ac.jp)で受け付ける。 |
研究室又は 連絡先 |
S817B(下記オフィスアワーのみ在席。ほかの時間帯は船橋校舎9号館2階923H室) kawashima.masaru@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:10 ~ 13:00
金曜 駿河台 12:10 ~ 13:00
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学生への メッセージ |
建築史の科目のなかでも、時代・地域ともに私たちの生活に最も身近な対象となることは、重要な素養のひとつになることを意味する。授業で気になった建築作品・建築家については、自主的な作品見学や作品集閲覧などをつうじて、建築を見る力、語る力、表現する力を積極的に養ってほしい。さらには、「歴史に正史・定説はない」との前提に立って、複数の文献閲覧や作品見学による考察を心がけてほしい。 |