2023年 理工学部 シラバス - 海洋建築工学科
設置情報
科目名 | 沿岸域工学及び演習 | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 海洋建築工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 星上・相田 他 | 履修期 | 前期 |
単位 | 3 | 曜日時限 | 木曜1・2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | D41C |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 沿岸域の管理において工学的手法を利用するための基礎知識として,海岸の環境・防災・利用を保全するための海岸岸保全施設の設計に必要な基礎学力を養うことができ,この学習を通して,海岸環境保全の重要性を理解できる。 本授業科目はDP1・3・4・5及びCP1・3・4・5に該当している。 本科目の学修を通して,日本大学教育憲章の「自主創造」を構成する「自ら学ぶ」能力のうちの「豊かな知識・教養を基に倫理観を高めることができる」能力と,「自ら考える」能力のうちの「得られる情報を基に論理的な思考,批判的な思考をすることができる」能力と「事象を注意深く観察して問題を発見し,解決策を提案することができる」能力を養うことができる。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
授業形態:対面授業。 本科目では,沿岸域の自然環境と海洋建築物の相互作用とともに,海洋建築物の設計,波浪,津波などに関する実務経験に基づいて現実に課題となりうる事項への留意点を取り上げて分かりやすく授業を行う。 授業では,海岸や港湾の構造物の設計に必要な基礎知識を学修し,演習により理解を深める。 授業内容の解説には教科書を利用するので,購入することが望ましい。 ExcelやWordが利用できるノートPCあるいはタブレットを毎回持参することが望ましい。 |
履修条件 | 基礎海洋学,水波工学及び演習,海洋環境工学Ⅰの学習内容を確認しておくこと。 授業で学習する内容について,教科書,参考書,インターネット検索により予習し,予備知識を持って授業に臨むこと.また,学習のキーワードと解説をノートに整理し,キーワード集を作ることを推奨する. |
授業計画
第1回 | 【テーマ】ガイダンス 【目標】15回の授業の目的と内容が理解できる。教科書第1章を用いて学修し,海岸の法律的な位置付け,沿岸域と人間とのかかわりが理解できる。 【学修事項】授業計画,海岸法と港湾法,海岸保全施設と港湾施設,海洋建築物設計指針,沿岸域の構造物の設計プロセス(陸域と海岸の構造物,外力要因から荷重の算定,構造設計) 【事前学修】シラバスにより授業範囲を確認すること。教科書第1章や関連する参考書を図書館等で確認すること(120分) 【事後学修】授業資料とノートを用いて本科目で学修する事項を整理すること(180分) |
---|---|
第2回 | 【テーマ】波の基本的な性質 【目標】教科書第2章を用いて学修し,波の分類,波長,波速,群速度,水粒子の軌道と速度の算出方法が修得できる。 【学修事項】構造物の設計プロセスにおける波の性質の重要性,水深波長比による波の分類の数学的な理解,波長,波速,群速度,水粒子の軌道と速度の数値計算 【演習内容】①周期と水深から水深波長比を求め,波の種類を判定する.②水深方向に水粒子の軌道半径,速度,加速度を計算する. 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第3回 | 【テーマ】長周期の波 【目標】設教科書第3章を用いて学修し,潮汐と潮位,高潮,津波,湾水振動の計算方法が修得できる。 【学修事項】構造物の設計プロセスにおける潮汐・潮位の重要性,潮汐と潮位とC.D.L.の算定,調和解析と分潮の計算,高潮の算定,津波の変形,湾水振動の周期の算定 【演習内容】①気象庁HPを利用して潮位変動を求める.②各地の主要4分潮の違いを把握する.③各地の最低水面を求める.④M2の周期で副振動が生じる湾長を求める.⑤海洋建築水槽の固有周期を求める.Option:エクセルで調和分析を行う方法を知る. 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第4回 | 【テーマ】波浪(1) 【目標】教科書の第4章を用いて学修し,風波の発達,計算図表と数値計算による簡易な波浪推算および,波の統計的性質の数学的理解と諸量の計算方法が修得できる。 【学修事項】構造物の設計プロセスにおける沖波推算の重要性,風波の推算,計算図,数式による計算,うねりの推算,波の統計的な性質,レイリー分布と代表波の数学的な関係,波高,周期の分布関数,平均波,有義波,最高波などの関係 【演習内容】①沖波の風波の推算,②代表波の算定,③基準波高と任意波高の関係, 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第5回 | 【テーマ】波浪(2) 【目標】教科書第4章を用いて学修し,極値統計による確率波と設計沖波の算定方法が修得できる。 【学修事項】構造物の設計プロセスにおける設計沖波の重要性,再現期間と遭遇確率,極値の分布関数,極値統計解析による設計沖波の決定 【演習内容】①耐用年数と再現期間と遭遇確率,②極値統計解析による設計沖波の決定 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第6回 | 【テーマ】海岸付近の波の変形(1) 【目標】教科書第5章を用いて学修し,屈折,回折,換算沖波,浅水変形の算定方法が修得できる。 【学修事項】構造物の設計プロセスにおける海底地形と波の変形の重要性,構造物設置水深までの波の変形の計算図と数式による算定,換算沖波 【演習内容】①屈折係数と屈折角の算定,②回折係数の算定,③換算沖波の算定,④浅水係数の算定 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第7回 | 【テーマ】海岸付近の波の変形(2) 【目標】教科書第5章を用いて学修し,砕波水深,砕波波高,設計波の算定方法,簡易な回折計算方法が修得できる。 【学修事項】構造物の設計プロセスにおける設計波の重要性,砕波水深および砕波波高と構造物設置水深の設計波高の計算図を用いた算定,方向分散法による回折波高の計算 【演習内容】①沖波の波高と周期が与えられたときの防波堤背後の波高,②方向分散法による回折波高の算定 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第8回 | 理解度確認授業(1)4択問題(計算問題を含む)+記述問題による理解度確認 |
第9回 | 【テーマ】構造物と波の相互作用(1)打上高,越波 【目標】教科書第6章を用いて,打上高,越波を学習し,高潮・高波対策としての護岸・堤防の天端高の決定方法が修得できる。 【学修事項】護岸・堤防の形状・機能と設計プロセスにおける打上高や越波の重要性,打上高,越波量,option:防波堤の越波と越波伝達波高 【演習内容】①打上高の算定,②越波流量の算定,③護岸の天端高の設定 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第10回 | 【テーマ】構造物と波の相互作用(2)壁体に作用する波力 【目標】教科書第6章を用いて学修し,海域中に建設する防波堤や人工島外周壁体(以下,壁体構造物)に作用する波力の算定方法が修得できる。 【学修事項】壁体構造物の種類と設計プロセスにおける波力の重要性,壁体構造物に作用する波力算定方法,防波堤のような重力式構造物の安定性検討 【演習内容】①合田式による波力の算定,②防波堤の安定検討 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第11回 | 【テーマ】構造物と波の相互作用(3)柱状体に作用する波力 【目標】教科書第6章を用いて学修し,ジャケットや灯標のような柱状部材を有する構造物に作用する波力の算定方法が修得できる。 【学修事項】柱状構造物の種類と設計プロセスにおける波力の重要性,柱状構造物に作用する波力算定方法 【演習内容】①モリソン式による波力とモーメントの算定,②柱状体に作用する砕波力 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第12回 | 【テーマ】構造物と波の相互作用(4)津波波力 【目標】配布資料を用いて学修し,建築物,防波堤,胸壁に作用する波力の算定方法が修得できる。 【学修事項】建築物荷重指針(日本建築学会),港湾の施設の技術上の基準,海岸保全施設の技術上の基準における津波波力の取扱いと算定方法,漂流物に関する新しい知見 【演習内容】①建築物の津波波力の算定,②防波堤の津波波力の算定,③胸壁の津波波力の算定 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第13回 | 【テーマ】海岸地形と海岸侵食 【目標】教科書の7章,8章を用いて学修し,漂砂と主な海岸地形の形成過程,海岸侵食の要因,対策技術が理解できる。 【学修事項】海岸保全を考える場合の漂砂環境/土砂管理の重要性,海岸地形,漂砂と土砂収支,沿岸漂砂量の算定,海岸侵食の要因と事例 【演習内容】①土砂収支の計算,②沿岸漂砂量の算定,③侵食傾向の推定 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第14回 | 【テーマ】海岸侵食対策 【目標】教科書9章,10章を用いて学修し,対策(海岸保全施設,線的・面的対策)の立案プロセスの基礎が修得できる。 【学修事項】侵食対策工法の種類と対策立案プロセスの重要性,九十九里浜の侵食対策の事例,養浜の方法,養浜とヘッドランド工法による対策立案 【演習内容】①養浜砂の選定,②必要体積,③地形変化予測技術の利用 【事前学修】シラバスをよく読み,教科書の該当箇所を熟読し,質問 等を整理すること(150分) 【事後学修】教科書と演習課題の結果を用いて知識を整理すること(150分) |
第15回 | 理解度確認授業(2)4択問題(計算問題を含む)+記述問題による理解度確認 |
その他
教科書 |
小林昭男 『沿岸域工学の基礎』 技報堂出版 2019年 第1版
授業と演習で必ず必要になります。
|
---|---|
参考書 |
海岸保全施設の技術上の基準・同解説(2018),港湾の施設の技術上の基準・同解説(2018),建築物荷重指針・同解説(2015)など,授業内容に該当する条文と解説に目を通しましょう。
|
成績評価の方法 及び基準 |
毎回の授業への参加と演習課題の提出を50点満点,2回実施する理解度確認テストの平均点を50点満点として,合計値で成績評価する。 |
質問への対応 | 適宜しますが,教員宛にメールで質問事項と時間予約をするとスムーズに対応できます。 |
研究室又は 連絡先 |
星上幸良: hosigami.yukiyoshi@ 相田康洋: aida.yasuhiro@ 小林昭男: kobayashi.akio@ |
オフィスアワー |
月曜 船橋 17:00 ~ 19:00
|
学生への メッセージ |
沿岸域の構造物の計画や設計に役立つ知識が修得できます。海洋建築ならではの学習内容ですので,楽しみながら,履修しましょう。 |