2023年 理工学部 シラバス - 海洋建築工学科
設置情報
科目名 | 基礎海洋学 | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 海洋建築工学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 小林 昭男 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | D44C |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 海洋で生じている現象の理解は,海洋建築物の目標,すなわち海洋における人間の快適で安全な活動や資源利用の考究と,海洋建築物の建設による環境影響の評価に必要不可欠である。そこで,本授業はそれらに関する専門科目への導入科目として,海洋の地理学,地学,物理学,化学,生物学の基礎事項を平易に解説する。本授業の受講生の学修目標は,海洋における基本的な現象が説明できるようになることである。 本授業科目はDP1・3及びCP1・3に該当している。 本科目の学修を通して,日本大学教育憲章の「自主創造」を構成する「自ら学ぶ」能力のうちの「豊かな知識・教養を基に倫理観を高めることができる」能力と,「自ら考える」能力のうちの「得られる情報を基に論理的な思考、批判的な思考をすることができる」能力を養うことができる。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
授業形態:対面授業を行うと共に,その授業映像を記録してmoodleに掲示する。 授業方法:印刷教材,パワーポイントのスライドを用いて解説する 本科目では,海洋建築による海洋空間と海洋資源の持続的な利用に必要な海洋環境を学修する。海洋構造物の設計実務における環境への配慮の経験をもとに,海洋環境全般の重要事項を取り上げて授業を行う。 授業構成:事前・事後学習の確認(10分),教科書を用いて重要事項を20~30分間の3~4つの学習ユニットに分けて解説(70分),各回の理解度チェック(10分) |
履修条件 | 履修条件はないが,学修では以下のことを心掛けること。 事前学修では,印刷教材を読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと. 事後学修では,印刷教材とノートを用いて知識を整理すること.また,さらに深く学修したい場合は,担当教員への質問やインターネット等を利用して調べること. |
授業計画
第1回 | 【テーマ】ガイダンス,海洋建築と基礎海洋学 【内容】海洋建築物は,海洋における私たちの快適で安全な活動や資源利用を目的に建設され,建築空間である海洋の持続的利用のためには海洋環境の理解が必要である。そこで,基礎海洋学では,海洋環境の全体像を学修する。また,授業の進め方や効果的な学修方法を解説する。 【目標】海洋建築工学科で海洋学を学ぶ理由,海洋建築と海洋環境の関わり,本科目の学修内容の全容が説明できる。 【事前学習】シラバスを読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分) 【事後学習】各自のノートを用いて知識を整理すること(120分) |
---|---|
第2回 | 【テーマ】海洋の構造(1)地球の構造と海底地形 【内容】地震の要因や海底資源の成因に関係する地球の構造の特徴とプレートテクトニクスについて学修する。 【目標】地球は地核,マントル,地殻からなる3層構造であり,プレートの移動によって海底地形が形成されている。これらの地球の構造の特徴と海底地形を理解し説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①地球が3層構造の理由,②地殻の構成物質と密度,③海底地形の特徴,④プレート境界の特徴 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分) |
第3回 | 【テーマ】海洋の構造(2)海底の堆積物 【内容】大洋底の堆積物を知ることは,地球上の過去の現象と今後の気候変動による環境変化のプロセスの予測,海底資源の分布の手がかりになる。そこで,大陸棚と深海底の堆積物の堆積要因とその特徴を学修する。 【目標】大陸棚の堆積作用は陸域の侵食物の運搬と沈殿であり,深海底の堆積作用は,陸や浅瀬からの土砂の運搬や微生物の死骸等の沈殿である。これらの起源や特徴が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①生物源と陸源の堆積物の違い,②海水面の変動の証拠,③太平洋型と大西洋型の縁辺部の地形の特徴,④炭酸塩補償深度(CCD)と堆積物の関係 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分) |
第4回 | 【テーマ】海洋の構造(3)海水の鉛直構造 【内容】海水の流動と物資循環を知るうえで重要な水や海水の化学的な特徴を学修する。 【目標】海水の主成分は水であり,水を溶媒とした溶質の種類,溶質のイオンの重量の比率一定,海洋の化学的・物理的構造,基礎的な物質循環が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①水分子の双極構造と水の熱容量や溶解力などの特徴,②海水の密度と塩分の主要成分,③海水の塩分の起源と滞留,④温度,塩分,密度の関係,⑤躍層の存在と水質環境 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分) |
第5回 | 【テーマ】海洋の動態(1)海流-大気と海流- 【内容】エネルギーや物質を交換し相互に影響を及ぼしている大気と海洋の循環の成因を学修する。 【目標】温度,密度,圧力傾度,コリオリ偏向の相互作用を考え合わせて,大気の大循環と表層の風,海洋の表層循環(海流)と深層循環が説明できる。 【事前学習印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①コリオリ偏向と風向や海水の流向,②地衡流と西岸強化,③密度流と深層循環,④閉鎖性水域の海水流動と環境影響 【事後学習印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第6回 | 【テーマ】海洋の動態(2)波-波浪,高潮,津波- 【内容】水波の基本的な性質と共に,海水の動態として沿岸域の環境に大きな影響を与える波浪や津波の特徴と環境作用を学修する。 【目標】波の基本的性質を波高,波長,周期,波速によって説明できる。また,風波の発達とうねりの成因,波浪の地形による変形,津波の成因と特徴が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①波高や周期の測り方,②波の分散とうねりの伝搬,③深海波と浅水波,④津波の伝搬速度,⑤高潮・高波の成因 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第7回 | 【テーマ】海洋の動態(3)潮汐と潮位 【内容】海洋建築物の水面からの高さや海域の海水流動を知るうえで重要な潮汐の性質を学習する。【目標】潮汐の発生要因が説明できる。また,潮汐の動態を平衡モデルと動力学モデルで説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①潮汐の測り方,②地球上の海水への天体間力の作用,③日潮不等の要因,④主要な分調 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第8回 | 【テーマ】理解度確認授業(1) 【内容】理解度確認問題で知識を確認し,その解答を資料やノートを使って復習する。 【目標】本科目で学修したことの理解度を知り,不足している知識や理解を補う。 【事前学修】第2回~第7回までの学修範囲の資料やノートを利用して,学修内容を整理すること(120分) 【事後学修】理解度確認問題とその周辺知識を再度復習すること(120分)。 |
第9回 | 【テーマ】海洋生態学(1)海洋の生態系 【内容】海洋の生息環境と生物の分類,生物と物理・化学的環境の相互作用を学修する。 【目標】海洋の環境区分,生物の分類階級と生活様式による分類,プランクトン,ネクトン,ベントスの生活史や機能分類が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①生物多様性,②海洋の生物環境,③プランクトンやネクトンの生活史, 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第10回 | 【テーマ】海洋生態学(2)海洋生物の生産性 【内容】海洋生物の生産性として,生物間の栄養の相互関係,海水の動態に関係する生産性の違い,生産性の変動要因を学修する。 【目標】海洋の生態系におけるエネルギーと物質の流れ,湧昇や乱流の生態系への役割,エルニーニョ現象による生化学的影響が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①海洋の食物連鎖・食物網・エネルギーピラミッド,②分解と栄養,③エルニーニョ現象で生じること 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第11回 | 【テーマ】持続可能な海洋の利用(1)-沿岸利用と環境問題 【内容】海洋建築物や防災施設が建設される海岸に関して,自然の海岸地形の形成過程と人間が海岸地形に与える影響を学修する。 【目標】海岸地形が,地質学的な時間スケールの変形と波浪や人為による変形が混在して存在していること,海浜での土砂動態とその収支,特徴的な海浜地形,人為による海岸侵食の要因が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①沿岸の波と砂の動き,②砂丘の形成,③砂州,砂嘴,バリアの形成過程,③海岸の構造物による地形変化 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第12回 | 【テーマ】持続可能な海洋の利用(2)-沿岸の災害と防災 【内容】気候変動に伴う環境変化に対して,持続的な沿岸域の利用を安全かつ快適にするための環境保全・修復と防災の技術を学修する。 【目標】海岸保全施設による環境保全・修復と防災の技術が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①高潮・高波に対する防護水準,②津波に対する防護水準,③海岸保全施設の機能 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第13回 | 【テーマ】持続可能な海洋の利用(3)-海岸の生態系 【内容】海岸,特に河口域,ラグーン,塩性湿地,マングローブ湿地,サンゴ礁の形成過程,その場の生物の生息環境の特徴と生物相を学修する。 【目標】河口域,ラグーン,塩性湿地,マングローブ湿地,サンゴ礁に生息する生物の特徴と種の多様性が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①河口域における生物多様性,②塩性湿地の植物,③マングローブ湿地の特徴,④腐食連鎖,⑤白化現象 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第14回 | 【テーマ】持続可能な海洋の利用(4)-海洋資源開発と環境問題 【内容】持続的な海洋開発や資源利用を考究するために,遵守すべき国連海洋法条約,生物資源・溶存資源・堆積資源・埋蔵資源の分布と採取方法を学修する。 【目標】国連海洋法条約における資源利用に関わる主要な内容,海洋資源の分布や採取方法が説明できる。 【事前学習】印刷教材を次のことを考えながら読み,理解できないところは質問できるようにまとめておくこと(120分)。①国連海洋法条約と排他的経済水域における役割,②鉱物資源の分布,③海洋開発と海洋環境,④生物の生息環境の変化,⑤乱獲,⑥富栄養化 【事後学習】印刷教材とノートを用いて知識を整理すること(120分)。 |
第15回 | 【テーマ】理解度確認授業(2) 【内容】理解度確認問題で知識を確認し,その解答を資料やノートを使って復習する。 【目標】本科目で学修したことの理解度を知り,不足している知識や理解を補う。 【事前学修】第9回~第14回までの学修範囲のmoodleに掲示されている資料を利用して,学修内容を整理すること(120分) 【事後学修】理解度確認問題とその周辺知識を再度復習すること(120分)。 |
その他
教科書 |
『基礎海洋学 授業用の印刷教材』 moodleで配布 2022年
授業ではオリジナルの印刷教材を使用します。
参考図書は,基本的なことを理解するための図書として指定してします。
印刷教材や推薦している参考図書は平易に書かれているので,よく読んで内容を理解しましょう.
|
---|---|
参考書 |
横瀬久芳 『はじめて学ぶ海洋学』 朝倉出版 2015年 第1版
日本海洋学会編 『海はめぐる』 地人書館 2012年 第1版
柏野祐二 『海の教科書』 ブルーバックス 講談社 2016年 第1版
道田豊,小田巻実,八島邦夫,加藤茂 『海のなんでも小事典』 ブルーバックス 講談社 2008年 第1版
基本事項の解説が分かり易い参考書です。
|
成績評価の方法 及び基準 |
評価基準:毎回の小テストへの取組みの合計を40点満点,第8回と第15回目の理解度確認問題への取組みの合計を60点満点とし,それぞれの成績が60%以上である場合に単位を認定します。 2022年度の成績分布 S:17%,A:23%,B:33%,C:16%,D:11% 2022年度の合格者の平均点 75.2点 |
質問への対応 | 授業中に理解できなかった事項や授業内容についての疑問がある場合は,授業後に質問内容を整理して,eメールの利用や研究室に来室して相談しましょう。研究室に来るときは,予め eメールで講師の在室を確認すると確実に相談できます。 |
研究室又は 連絡先 |
13号館3階1335号室 沿岸環境防災研究室 小林:kobayashi.akio@ |
オフィスアワー |
月曜 船橋 16:40 ~ 18:10 小林:毎日,5時限がオフィースアワー
|
学生への メッセージ |
海洋環境を理解するうえで重要な基礎事項を学修します。楽しみながら学修しましょう。 |