2023年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | 物性の基礎 | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 松田 健一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I23M |
クラス | A,B共通 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 本講義では、物質の示す様々な巨視的な特性を知るために,「熱力学」を中心に学びます.熱力学は、非常に普遍的な理論体系を持っており,材料・物性全般に共通する基本概念を与えてくれ学問体系です.最近では、生物学、環境科学、情報科学,経済学などの理解の助けにもなっています.従って到達目標は,「熱力学」の基礎を習得すること,とします. 講義の進行状況によっては,物質を構成する原子や分子等の微視的構造についてお話し,高学年で学ぶ半導体デバイス,電気材料への導入を行います. 本授業科目はDP3・5及びCP3・5に該当しています。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面で講義を実施します.ただし,社会情勢によってはオンライン講義に切り替える場合があります. |
履修条件 | 令和2年度以降の入学者,および令和3年度以降の2年次編入学生を対象としています. 令和元年度以前の入学者,および令和3年度3年次編入学生が履修を希望する際には 履修登録の前に担当教員に申し出て指示を受けるようにしてください. |
授業計画
第1回 | 「熱」、「温度」、「エネルギー」、「仕事」などの基本的な語彙の物理学的な意味を説明し、物質と熱現象の例を示す。「熱平衡状態」について説明する。講義全体の計画についても説明する。 【事前学習】高校で学ぶ「熱」に関する部分の復習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
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第2回 | 理想気体の状態方程式について説明する。気体運動の微視的な理論はあとから学ぶこととし、いくつかの熱力学的量の間の関係式や、熱力学的な状態を指定する方法を学ぶ。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第3回 | 「内部エネルギー」について学ぶ。また系の「断熱的変化」の意味についても説明する。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第4回 | 熱力学的所量の微少変化を記述する数学として全微分の概念を説明する。熱力学の第一法則の説明の準備を行う。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第5回 | 「熱力学の第一法則」を学ぶ。系になされる仕事、系に流入する熱量、内部エネルギーの関係を知る。特に全微分の形式を使って記述する方法を学ぶ。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第6回 | 熱力学の第一法則と、それに関連した応用問題について解説する。簡単な例題を解く過程を学ぶことで、法則の使い方を体得する。理想気体に関連した問題や、比熱についても学ぶ。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第7回 | 「熱機関」について説明し、また「カルノーサイクル」、「カルノーの定理」を解説する。「可逆過程」や「不可逆過程」についても解説する。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第8回 | 「熱力学の第二法則」を学ぶ。「トムソンの原理」、「クラウジウスの原理」について解説する。「永久機関」不可能性について考察する. 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第9回 | 熱機関の効率、「エントロピー」の概念を学ぶ。また「熱力学の第三法則」を学ぶ。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第10回 | 熱力学関数について学ぶ。ヘルムホルツの自由エネルギー、ギッブスの自由エネルギー、いくつかの熱力学的諸量について、再確認する。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第11回 | 熱力学的諸量の間の関係について「マクスウェルの関係式」を解説する。微分形式による表記を再確認し、具体的な応用例に当たる。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第12回 | 「相」と「相転移」について学ぶ。「相平衡」などの言葉の意味を理解しつつ、相図を理解できるようにする。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第13回 | 物質を構成する原子の構造について学ぶ.周期律表と原子の構造,電子と原子核の相互作用.電子の軌道などの概念を理解する. 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第14回 | 理想気体と分子運動についてまなぶ。古典的な体系としての分子集団に対し、微視的な視点を導入しながら、集団としての性質を予想する手段を考える。「位相空間」などの言葉の意味も理解する。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
第15回 | 気体の分子運動について、微視的な視点を導入し、確率・統計てきな手法で系の性質を理解する系統的な手法を学ぶ。ボルツマン因子、エネルギーの等分配則について理解する。 【事前学習】事前に予告された部分の予習.(120分) 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理.(120分) |
その他
教科書 |
和達三樹,十河清,出口哲夫 『ゼロからの熱力学と統計力学』 岩波書店 2016年 第10版
学部の教科書販売で入手可能です.
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参考書 |
小出昭一郎 『熱学』 基礎物理学2 東京大学出版会 1988年
田崎晴明 『熱力学―現代的な視点から』 培風館 2000年
久保亮五 『大学演習 熱学・統計力学』 裳華房 1998年
戸田盛和 『熱現象30講 (物理学30講シリーズ)』 朝倉書店 1995年
F. Reif 『統計熱物理学の基礎』 吉岡書店 1984年
参考書1は,本講義の内容に近い.レベルも適切である.
参考書2は,著者独特の視点で熱力学分野を再構成する熱意にあふれている教科書である.
参考書3は,有名な演習書.どちらかと言うと,統計力学のほうが比重が大きい.はじめは例題を解くだけでもよい.
参考書4は,「ソリトン」の研究で著名な著者の個性的な教科書.
参考書5は,出版年は古いが比較的に平易に多くの話題を取り扱っている(日本語版は入手が難しくなっている).
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成績評価の方法 及び基準 |
課題やレポートを課す場合があります. 理解度確認期間に筆記試験を実施します. 成績評価は,試験結果や課題の内容,出欠状況を含め,総合的に評価します. |
質問への対応 | 講義時またはオフィスアワーに,対面での質問が可能です(社会情勢によっては対面で実施できなくなる可能性もあります). 電子メールによる質問は受けますが,回答は対面で行います. ZOOM等のメディアを利用することも可能です.その場合には事前に 日時に関して相談してください. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラ16階,S1615室 TEL : 03-3259-0772 email: matsuda.kenichi@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
金曜 駿河台 10:00 ~ 12:00
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学生への メッセージ |
数式によって理解するのではなく,具体的な現象に対するイメージをつかむことを優先してください. 簡単な例題にたくさん取り組むことは大切です.基本の考え方が身につきます. |