2023年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | エレクトロケミストリ | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 4年 |
担当者 | 鈴木 薫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I43U |
クラス | A・B | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | この科目は、エレクトロケミストリ(電気化学)の基礎理論とその応用に関して理解することを目標とする。化学現象のうち特に電気と深い関係を持つ分野を対象とする学問であり、イオンや電子のやり取りを通じて、物質と電気エネルギー間の変換を行なう様々な分野における諸法則を説明することができる。特に、電池(一次・二次・燃料電池)、表面処理(電気分解・電解処理・腐食と防食)、計測(測定法・センサー)、あるいは光や熱及び力が関わる電気化学(光触媒・色素増感太陽電池)等について諸量を計算することができる。 本授業科目はDP3・5及びCP3・5に該当しています。 |
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授業形態及び 授業方法 |
教科書や講義の資料 I63N を用い、対面授業により講義を行う。理解を深めるために講義内容や章末問題などの課題や演習を行う。 |
履修条件 | なし。工学のための化学や物性の基礎の知識があれば理解は早い。 |
授業計画
第1回 | エレクトロケミストリの概略 : エレクトロケミストリ(電気化学)を利用した歴史は極めて古く、概略と体系的な特徴を歴史的な経緯や理論的な考え方などについてまとめ、電気化学の基礎と応用に関する導入として講義する。【事前学習】教科書の1ページから3ページと「講義の資料」No.1エレクトロケミストリの概要を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査する。(120分) |
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第2回 | エレクトロケミストリの基礎 : 電気化学系として取り扱われる対象の多くは電気化学セルである。セルは二つの電極と電解液からできている。一例として、水素ー酸素燃料電池と水の電気分解について述べる。また、セルを通過する電気量と反応によって変化する化学物質の質量との関係を示すファラデーの法則について講義する。【事前学習】教科書の4ページから10ページと「講義の資料」No.2電気化学の基礎を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第3回 | 電解質溶液の性質(1) : 電気化学セルを構成する電解質は液体・気体・固体のいずれの形態であっても存在するが、電気伝導にあずかるキャリヤはイオンや電子である。主として液体の電解質溶液を取り上げ、その構成と電気伝導性を中心に、電気伝導率の測定法や考え方などについて講義する。また、電気化学を学ぶための必要な熱力学の知識・様々な法則・自由エネルギー変化などについて述べる。【事前学習】教科書の11ページから16ページと「講義の資料」No.3_4電解質溶液の性質を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第4回 | 電解質溶液の性質(2) : 溶液中のイオン解離・イオンの輸率と移動度・イオン伝導の機構についてアレニウスの電離説をもとに説明する。更に強電解質において、溶液内のイオンの相互作用によって理想的な挙動が取れないような実存系としてイオンの活量や非水電解液について講義する。【事前学習】教科書の16ページから33ページと「講義の資料」No.3_4電解質溶液の性質を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第5回 | 電極反応の速度(1) : セルにおける電極と電解液の界面の構造について、金属上の電荷によって電解液中のプラスとマイナスのイオンが界面に引き寄せられ、電極と電解液中に電気二重層が形成される。このモデルと電極反応の素過程と反応速度について講義する。【事前学習】教科書の57ページから62ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第6回 | 電極反応の速度(2) : 電極/電解液界面で電極と電解液中に存在する反応種の間で電子が移動する電荷移動過程・過電圧が大きいときや反応物の濃度が低いときに生じる物質移動過程・電解液や電極/電解液界面及び電極の内部や表面あるいは隔膜などの電気抵抗大きいために生じるIR損の影響・電極反応速度の測定法・電極触媒作用について講義する。【事前学習】教科書の62ページから77ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第7回 | 電池の起電力と電極電位 : 化学電池は電池内で化学反応が自然に進み、その結果生ずるエネルギーを電力として電池外に取り出すものである。ダニエル電池を一例として、電池の起電力と電極電位をギブスの自由エネルギー変化をもとに熱力学的な計算を行う。また、電極の種類や標準電極電位・参照電極・膜電位・濃淡電池などについて講義する。【事前学習】教科書の35ページから55ページと「講義の資料」No.7電池の起電力と電極電位を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第8回 | エネルギーの変換と貯蔵(1) : 物質の持っている化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである実用電池の基礎として、電池の定義と分類・構成と反応及び起電力・容量などについて学修する。一度放電してその容量を失うと廃棄して新しいものと取り替えなければならない一次電池の主な種類・構成・公称電圧などについて講義する。【事前学習】教科書の79ページから94ページを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第9回 | エネルギーの変換と貯蔵(2) : 二次電池は充放電の繰返しができる電池で、一度放電したものに外部電源から逆方向の直流を流して充電すると、再び容量を回復するので、繰り返して使用できる。主な実用二次電池の種類・構成・公称電圧などについて学修する。エネルギー変換装置である燃料電池や電荷を蓄える電気二重層キャパシタの種類や構造などについて講義する。【事前学習】教科書の94ページから120ページと「講義の資料」No.9エネルギーの変換と貯蔵 二次電池・燃料電池・キャパシターを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第10回 | エレクトロケミストリを応用する計測 : 化学的な現象は電子やイオンの移動を伴うが、反応推進力・反応速度・反応量はそれぞれ電位・電流・電気量に対応しており、いずれも電気信号として計測できる。電極反応の解析や電気分析のための電気化学測定法の分類し、代表的な測定法について講義する。【事前学習】教科書の220ページから242ページと「講義の資料」No.10電気化学を応用する計測を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第11回 | 光や熱及び力が関わる電気化学 : 光や熱及び力が関係する電気化学は電荷を運ぶキャリヤの数が極めて少ない半導体や絶縁物と電極の界面において生じる現象である。光照射の効果としては光触媒反応や色素増感太陽電池を、熱については焦電性高分子を、応力については圧電性高分子などの種類や作用及び応用を講義する。【事前学習】教科書の179ページから200ページと「講義の資料」No.11光や熱及び力が関わる電気化学を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第12回 | エレクトロケミストリを応用したセンサー : センサーは物質を認識検知するレセプター部分と、そこで生じる変化を信号に変換するトランスデューサー部分を組み合わせたものである。イオンセンサーとガスセンサーについて、種類や特性などを講義する。【事前学習】教科書の242ページから249ページと「講義の資料」No.12電気化学を応用したセンサーを読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第13回 | 電気分解の応用 : 物質の電解合成では電圧や電流及び電気量を調整することによって反応の種類・速度・量を容易に制御することができ、選択性がよく、高収率で目的の生成物が得られる。実用電解槽の構成や反応及び分解電圧などについて講義する。【事前学習】教科書の120ページから159ページと「講義の資料」No.13電気分解の応用を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第14回 | 金属の腐食と防食 : 金属が自然に溶解したり錆びたりする現象を腐食と呼び、資源・エネルギーの浪費であるばかりか、安全性や美観の点からも問題である。腐食の種類・機構・速度論などについて学修する。腐食を引き起こす要因を取り除けば、腐食は防止される。環境制御による防食や電気防食について、その種類や機構などを講義する。【事前学習】教科書の161ページから178ページと「講義の資料」No.14金属の腐食と防食を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、章末の演習問題を計算する。(120分) |
第15回 | エレクトロケミストリの平常試験及びその解説 : エレクトロケミストリの体系的な特徴や理論的な考え方および基礎と応用に関する平常試験を行い、その解説を行う。【事前学習】教科書の章末にある演習問題と「講義の資料」No.15演習問題を読み、理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分) 【事後学習】講義において解答できなかった問題を詳細に調査する。(120分) |
その他
教科書 |
松田好晴・岩倉千秋 『第2版 電気化学概論』 丸善出版 2014年 第2版
教科書のみで不足する部分はインターネットに「講義の資料」を掲示する
http://www.ele.cst.nihon-u.ac.jp/DisLasLab/
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参考書 |
ムーア または バーロー 『物理化学』 東京化学同人
渡辺正・金村聖志・益田秀樹・渡辺正義 『電気化学』 丸善出版 2015年 第20版
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験(60%) 課題・演習(40%) |
質問への対応 | 授業中も可能、講義の後は電子メールを利用 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラS1509号室 TEL : 03-3259-0770 E-mail : suzuki.kaoru@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 13:20 ~ 16:30
木曜 駿河台 15:00 ~ 16:30
金曜 駿河台 13:20 ~ 16:30
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学生への メッセージ |
板書を書き写し記憶するだけでなく、応用を含めた理解に努めて下さい。 |