2023年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | 熱力学 | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 糸井 千岳 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M42N |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 熱力学に関する諸法則を実験事実に基づいて解説し、平衡状態での状態の記述、平衡状態間の過程についての熱力学の法則についての理解を深める。 本授業科目はDP3及びCP3に該当しています。 |
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授業形態及び 授業方法 |
解答付きの演習問題を多く含む教科書に沿って講義を行うので、教科書を購入し演習問題を解きながら学習すること。問題に正解するだけで満足せず、熱力学の本質的な部分を論理的に熟考し理解してほしい。講義は黒板の板書を中心に行うが、図などを含むスライドの投影も行う。スライドのコピーは後でアップロードするので、板書のノートを取って受講すれば良い。 |
履修条件 | 多変数関数の微積分および力学の基礎 |
授業計画
第1回 | 熱力学の設定(平衡状態、状態の記述と状態方程式の存在、熱、熱容量、温度、量の定義と単位について学ぶ。) SI単位系において、いくつかの物理量の定義が今年から変わっているので注意すること。産総研のホームページなどを見て予習復習に利用するとよい。予習、復習に2時間程度かけること。 |
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第2回 | 熱力学における環境、操作、状態の変化について解説する。 2時間程度は復習すること。 |
第3回 | 熱力学の第1法則(系の行う力学的仕事と吸収する熱の過程依存性、内部エネルギーという状態量と保存則について学ぶ。) ここから定量的になるので、復習に2時間以上必要であると思われる。 |
第4回 | 熱力学の第1法則(準静的過程など、いろいろな過程での熱力学量の計算練習を行う。) 復習に2時間以上必要であると思われる。 |
第5回 | 熱力学の第2法則(断熱過程での可逆過程の定義と断熱周期過程における内部エネルギー増大の原理であるPlanckの原理から不可逆過程の存在を確認する。) ここから、非常に論理的な概念が導入され始める。復習に2時間必要であると思われる。 |
第6回 | 熱力学の第2法則(エントロピーを定義し、理想気体のエントロピーを状態の関数として求め,Clausius等式を導く。) ここから不可逆性に関して定量的かつ論理的な議論となるので、復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第7回 | 熱力学の第2法則(理想気体に対するエントロピー増大の法則をPlanckの原理から導く。力学系と相互作用する熱力学系など、様々な不可逆過程の終状態を求める例題を解き、エントロピー増大の法則を確認する。) 引き続き、定量的かつ論理的な議論が展開されるので、復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第8回 | 熱力学の第2法則(一般の系に対するエントロピーのClausius等式とエントロピー増大の法則を証明する。) 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第9回 | 熱力学の第2法則(Kelvinの原理と最大仕事の原理を証明する。) 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第10回 | 熱機関(Carnotサイクルを学び、Carnotの定理を証明する。) 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第11回 | Helmholts自由エネルギーを定義し,平衡状態から環境を変化させた場合の平衡状態への漸近を議論する. 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第12回 | Gibbs自由エネルギーを定義し,平衡状態から環境を変化させた場合の平衡状態への漸近を議論する. 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第13回 | エンタルピーを定義し,平衡状態から環境を変化させた場合の平衡状態への漸近を議論する. 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第14回 | 応答関数の間の関係(圧縮率、膨張率、熱容量の間の関係を導く。) 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
第15回 | 熱力学量としての物質量を取り扱い、化学ポテンシャルを導入する。 復習に2時間程度必要であると思われる。 |
その他
教科書 |
糸井千岳 他 『明解熱力学』 共立出版 2023年 第1版
不可逆過程の熱力学量を定量的に予測する具体例が他の教科書に比べて豊富である。理解しにくいエントロピーの定義が素過程に対して定義されるので、その役割が簡潔に述べられている。演習問題及びその解答は、自習の助けになるはずである。
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参考書 |
佐々真一 『熱力学入門』 共立出版 [ISBN 978-4-320-03347-4]
田崎晴明 『熱力学』 新物理学シリーズ 培風館 {ISBN 9784563024321} 2000年
清水明 『熱力学の基礎』 東京大学出版会 [ISBN978-4-13-062622-4] 2021年 第2版
上に述べた3冊は現代的な視点から書かれている。上から順に程度が高くなる。
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成績評価の方法 及び基準 |
15回中に行われる、レポートまたは小テスト、試験、レポートで評価する予定である。対面の期末試験ができる場合は、その得点を80%の割合で成績に採用する。場合によっては、定期試験期間に対面試験行うので、連絡に注意すること。オンライン受講の人も、原則、対面試験を受験すること。 |
質問への対応 | メールやGoogle classroom |
研究室又は 連絡先 |
8号館3階833G itoi.chigakuアットマークnihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 12:20 ~ 13:20
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学生への メッセージ |
大学の熱力学の本質を理解できるかどうかは熱力学第2法則を理解できるかどうかで決まります。熱力学第2法則は物理学の法則のなかでは少し変わっていて、様々な表現があり、そのうえ不等式で与えられます。そのことから熱力学は分かりにくいと言われるのですが、できるだけ単純に分かりやすく、かつ論理的に厳密な講義をします。基本的なことを理解してしまうとその深遠さに感銘を受け、とりこになると思います。 |