2023年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 倫理学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 奥波 一秀 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | P14A |
クラス | 1年生は、精機・航宇・電気のみ。2年生以上は学科による履修制限はありません。 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 人のこと、行為をどう見るべきか、評するべきか、うけとめるべきか? 歴史的な出来事に即して、さまざまな倫理的問題とそのための諸前提を考える。この科目履修を通して、現在進行形の身近な事例について抽象的・原理的な思考を行う能力を身につけることができる。 ※本授業科目はDP1・2・3・4・6及びCP1・2・3・4・6に該当しています。 |
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授業形態及び 授業方法 |
オンデマンド型授業。 プリント・視覚教材等を適宜利用しながら講義を行う。毎回講義終了後にレスポンスカードを書いてもらい、そこで出された疑問・要望等を(次の)講義にフィードバックさせていく。 |
履修条件 | 中学ていどの歴史・社会の知識を前提とする。講義において、学生たちの事情にあわせて、適宜、歴史的背景については補足説明を行う。 |
授業計画
第1回 | 倫理学とはどういう学問か:人間存在の相互連関の事実性と、その見通しがたさ・制御不可能さがもたらす「倫理的」な諸問題について導入をはかる。 予習:「倫理」「道徳」という語の意味について調べる。(120分) 復習;「倫理」「道徳」についての理解を深める。(120分) |
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第2回 | 「行為」の理解・評価に必要になる「意図」「結果(効果)」という観点について考察することで、人々(の行為)を理解し、さらに倫理的に評価するとはどういうことか、についての理解を深め、倫理学的な思考の助走とする。 予習:自身の身近にみられる「倫理的」判断事例を探し、その成り立ちについて考える。(120分) 復習:講義をうけて自身の考えを深める。(120分) |
第3回 | 戦争事例考察(1):特攻という現象の経緯と意味:慶応大学を早期卒業のかたちで学徒出陣し、特攻死した上原良司の事例に即して、まずは太平洋戦争前までの日本の状況について、解説する。 予習:特攻についての一般的なイメージ・言説を調べる。(120分) 復習:特攻に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。(120分) |
第4回 | 戦争事例考察(2):職業軍人と徴兵の違い、いわゆる「学徒出陣」による学徒兵の独特な位置づけなどについて解説し、上原良司という事例の特殊性と普遍性について解説する。 予習:軍隊と国民の関係について、歴史的な理解を深める(120分) 復習:現代の世界状況のなかで、軍隊と国民の関係がどうなっているか考える。(120分) |
第5回 | 戦争事例考察(3):志願か指名か強制か? 自由に決める、とはどういうことか? 特攻は形式上「志願」とされたが、上原良司の場合のように、かならずしも実質として「志願」だったわけではない。こうした事情について解説する。 予習:「自由に決める」とはどういうことか、自分なりに考えてみる。(120分) 復習:「自由」という概念についての理解を深める。(120分) |
第6回 | 戦争事例考察(4):上原良司の日記記述・遺言等を丁寧に分析し、彼の目から見えていた当時の日本および世界について、また戦後の世界に抱いていた彼の希望について、考察する。 予習:「自由に決める」とはどういうことか、自分なりに考えてみる。(120分) 復習:「自由」という概念についての理解を深める。(120分) |
第7回 | 戦争事例考察(5):特攻を計画・実行するにいたった理由を説明し、特攻が許容されるか、されるとすればどのような状況、どのような理由によるといえるか、考察する。 予習:日本の特攻についての周囲、とくに世界の人々の一般的なイメージ・言説を調べる。(120分) 復習:特攻の理由を考えることで、「近代国民国家」に対して「個人」のとりうる関係の限界を考える。(120分) |
第8回 | 戦争事例考察(6):東京大空襲についてとりあげ、無差別攻撃(爆撃)とはどういうことか、説明する。 予習:広島・長崎への原爆投下がどのような意味で批判されているか、周囲の言説を調べる。(120分) 復習:広島・長崎と東京大空襲が、どのような意味で比較可能か、比較不能か、考える。(120分) |
第9回 | 戦争事例考察(7):座間味村で起きた「集団自決」の事例を中心に、「集団自決」の条件や経緯について考察する。 予習:「集団自決」に関する周囲のイメージ・言説を調べる。(120分) 復習:「集団自決」に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。(120分) |
第10回 | 戦争事例考察(8):「集団自決」に関する二つの事例として、チビチリガマとシムクガマをとりあげ、集団の意思決定において重要となりうる問題を考察する。 予習:集団の一員として、集団の意思決定にかかわった自分の経験や周囲の例を調べ、そこでどのようなことが起きているか、考えてみる。(120分) 復習:今後、さまざまな集団の一員として、その集団に責任を負う立場に置かれた場合、どのように振る舞いうるか、振る舞いたいか、自分なりの格率を考えてみる。(120分) |
第11回 | 戦争事例研究(9):沖縄戦の歴史が、現地の沖縄において戦後、どのように「語られ」てきたか。沖縄各地にある碑文の文面から考察する。 予習:沖縄戦についての身の回りの「判断」「評価」に留意する。(120分) 復習:沖縄戦がとくに顕在化させている問題があるとすれば、どのようなことか、自分なりに考えてみる。(120分) |
第12回 | 戦争事例考察(10):挙国一致のもとの一般市民の位置:久米島事件は、敵国市民への戦争犯罪というカテゴリーにおさまらない、難しい問題を提起している。このことについて解説・考察する。 予習:戦争に関する一般的なイメージ・言説を調べる。(120分) 復習:戦争に関する一般的なイメージ・言説の問題点を列挙する。(120分) |
第13回 | 戦争事例考察(11):ニューギニアその他において、スパイ容疑での現地人の殺害が起こり、戦後、BC級犯罪として処罰されることになった。こうした問題を中心に、戦時国際法の理念と限界について考察する。 予習:戦時国際法の歴史について大まかに言説を調べる。(120分) 復習:実際の現地人殺害が当時の戦時国際法からみてどう評価・判断されうるか、自ら考える。(120分) |
第14回 | 戦争事例考察(12):靖国神社と沖縄各地の戦後碑文をもとに、すぎた戦争の意味づけの問題について、とくに鎮魂・慰霊と顕彰の違いに注意しながら、考察する。 予習:日本の過去の戦争についての身の回りの「判断」「評価」に留意する。(120分) 復習:慰霊・鎮魂/顕彰の違いという観点から、身の回りの歴史評価を見直してみる。(120分) |
第15回 | まとめ:14回の講義においてあつかった諸事例をふりかえりつつ、戦争責任等、戦争の問題に関する基本的なカテゴリー、分析枠組み等を再確認し、講義全体の総括とする。 予習:日中戦争、太平洋戦争の事例から、倫理学的な問題をいくつか抽出・定式する。(120分) 復習:上記問題についてみずから考える。(120分) |
その他
教科書 | |
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参考書 |
鴋澤歩(編) 『ドイツ現代史探訪[ISBN-13 : 978-4872592979]』 大阪大学出版会 2011年
ドイツにおける「過去の克服」について論じた章を参考にしてほしい。
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成績評価の方法 及び基準 |
平常点・レポート等で評価する。最低限の基礎知識と、諸問題の的確な消化にもとづく自分なりの思考、この二点が評価のポイントとなる。 ※新型コロナウイルスの影響に伴い変更の可能性がある。変更の場合は授業時に伝達する。 |
質問への対応 | okunami.kazuhide20@nihon-u.ac.jp に連絡・質問すること |
研究室又は 連絡先 |
okunami.kazuhide20@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |