2023年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 心理学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 伊藤 令枝 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | Q13K |
クラス | 1年生は精密機械工学科、航空宇宙工学科、電気工学科の学生のみ。2年生以上は学科による履修制限なし。 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 心理学は、人の心を読むテクニックやマインド・コントロールなどではなく、人間の「こころ」を客観的に把握しようとする科学である。そこで本講義では、人間が周囲の環境情報を受容、認識する仕組み、社会(対人関係や集団)や状況と人間行動との関係性などに関する基礎的な理論を習得し、人間の特徴や複雑性、多様性について科学的に理解することを目指す。 さらに、こころにまつわる俗説を批判的に思考する視点を養う。 なお、本科目はディプロマ・ポリシー1及び6、カリキュラムポリシー1及び6に該当する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
オンデマンド型授業として実施され、授業の資料や講義動画、課題等はすべてCST-VOICEを通して配信される(各自に付与されたNUアドレスで資料にアクセスすること)。 授業の配信スケジュールは第1回講義で連絡する。各種授業資料へのアクセスや課題提出には期限が設定されるので、学習スケジュールを自己管理することが求められる。 |
履修条件 | 履修を希望する場合は、予めシラバスを熟読すること。 本科目は、履修者数等によって履修が制限される可能性があるため、履修手続きを行う際は、各自で履修登録に関するお知らせを確認しなければならない。 すべての授業や課題提出はオンライン上で行われるため、機器の基本的な操作技能が求められる。また、講義動画が安定的に視聴できる環境で学習することが望ましい。 サブメジャー・コースについては、履修要覧等を参照のこと。 |
授業計画
第1回 | 心理学へのアプローチ -科学としての心理学の成立と発展、心理学による日常生活の理解と応用可能性、学習の進め方、履修上の注意点 【事前学習】履修要覧や一般教育科目の手引き、本科目のシラバスを熟読する。(2時間) 【事後学習】教養教育科目としての心理学の学習の意義を熟考し、今後の学習に対する心構えを整える。(2時間) |
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第2回 | 欲求と行動(1) -動機づけのメカニズム、欲求と欲求不満、適応機制、薬物依存 【事前学習】こころの状態と行動との関係性、ストレス解消行動について具体的に考える。(2時間) 【事後学習】行動の背景にある「こころ」を測定する方法について考察する。(2時間) |
第3回 | 欲求と行動(2) -後天的な学習による行動の変容、学習能力と環境適応、精神分析と行動主義 【事前学習】人工知能におけるディープ・ラーニングについて調べる。(1時間) 【事後学習】学習のメカニズムについて実験的観察を行う。(3時間) |
第4回 | 記憶(1) -記憶と忘却のメカニズム、長期記憶とその定着、長期記憶としての知識とその利用、意味ネットワークモデル 【事前学習】専門的知識はどのように習得されるのか具体的に考察する。(2時間) 【事後学習】経験を通して蓄積された知識を可視化することによって、記憶の構造を検討する。(2時間) |
第5回 | 記憶(2) -ワーキング・メモリの機能、短期記憶として保持できる情報量と保持時間、心的イメージ、記憶障害の症例 【事前学習】感覚記憶、短期記憶、長期記憶の違いとそれぞれの特徴について調べる。(1時間) 【事後学習】感覚記憶、短期記憶と長期記憶に関する実験的観察を行う。(3時間) |
第6回 | 記憶(3) -外的情報による長期記憶の変容と「汚染」、フォルス・メモリ、犯罪捜査と記憶 【事前学習】日常生活における記憶の重要性について検討する。(2時間) 【事後学習】記憶のダイナミクスについて考察する。(2時間) |
第7回 | 感覚・知覚(1) -神経系の構造と機能、ニューロンによる情報伝達メカニズム、精神機能の局在性と可塑性 【事前学習】こころの所在について熟考する。(2時間) 【事後学習】「脳科学」的俗説に対して批判的に思考し、その俗説が科学的事実とは異なることを確認する。(2時間) |
第8回 | 感覚・知覚(2) -感覚器官での情報受容と中枢系への情報伝達、特殊神経エネルギー説、共感覚 【事前学習】感覚の受容に関する体験的学習を行う。(1時間) 【事後学習】神経生理学的観点に基づいて、感覚・知覚システムを考察する。(3時間) |
第9回 | 感覚・知覚(3) -眼球の構造と視覚・色覚のしくみ、三色説と反対色説、主観色、眼球運動と盲点 【事前学習】色覚のメカニズムを特殊神経エネルギー説から考察する。(2時間) 【事後学習】眼球の構造的な盲点を探り、視覚系の情報伝達メカニズムの理解を深める。(2時間) |
第10回 | 感覚・知覚(4) -ゲシュタルト心理学の考え方、順応、残像、対比と同化、主観的輪郭、幾何学的錯視、運動知覚と錯視 【事前学習】視知覚に関する実験的観察を行う。(1時間) 【事後学習】精神物理学的測定法を用いて、幾何学的錯視を実証する。(3時間) |
第11回 | 認知と思考(1) -パタン認識と知覚の恒常性、奥行き知覚、思考上の限定合理性とバイアス 【事前学習】対人認知におけるステレオタイプや差別について具体的に考察する。(2時間) 【事後学習】知覚心理学的観点から、芸術作品を理解する。(2時間) |
第12回 | 認知と思考(2) -選択的注意、携帯端末使用による「ながら歩き」「ながら運転」の危険性、選択的注意と交通事故 【事前学習】多重課題を用いた実験を行い、注意力の分散と限界について考察する。(2時間) 【事後学習】交通場面におけるさまざまな不安全行動を減らす方策を検討する。(2時間) |
第13回 | 個人と社会(1) -社会的相互作用、社会的手抜き、社会的な意思決定の複雑性と傍観者効果 【事前学習】課題遂行場面での他者の影響について実験的に検討する。(2時間) 【事後学習】状況や対人関係が個人の行動に与える影響について具体的に考察する。(2時間) |
第14回 | 個人と社会(2) -集団規範と同調圧力、権威への服従、集団浅慮、群集心理 【事前学習】個人の自由意思と、集団や他者に対する忖度について具体的に考察する。(1時間) 【事後学習】平和と安全のための人間行動について具体的に考察する。(3時間) |
第15回 | 総括と確認 -心理学の独自性と研究の発展、総括テストの実施 【事前学習】諸学問領域を連結して「扇の要」としての役割を果たすとされる心理学の存在意義を考察する。(2時間) 【事後学習】全15回の授業を通して学習した内容を総括し、人間および自己に関する考察を深化させる。(2時間) |
その他
教科書 |
鹿取廣人・杉本敏夫・鳥居修晃・河内十郎(編) 『心理学』 [978-4-13-012117-0] 東京大学出版会 2020年 第5版補訂版
教養課程心理学教育研究会(編) 『教材心理学 : 心の世界を実験する』 [978-4-7795-1476-0] ナカニシヤ出版 1976年 第新装版
教科書の購入については、第1回講義内で別途指示する。
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参考書 |
梅本堯夫・大山正(編) 『心理学への招待-こころの科学を知る』 新心理学ライブラリ[978-4-7819-1347-6] サイエンス社 2014年 第改訂版
和田万紀(編) 『教育心理学』 Next教科書シリーズ[978-4-335-00212-0] 弘文堂 2014年
V.S.ラマチャンドラン・S.ブレイクスリー(著)、山下篤子(訳) 『脳のなかの幽霊』 角川文庫[978-4-04-298211-1] 角川書店 2011年
大山正(著) 『色彩心理学入門-ニュートンとゲーテの流れを追って』 中公新書[978-4-12-101169-5] 中央公論新社 1994年
C.チャブリス・D.シモンズ(著)、木村博江(訳) 『錯覚の科学』 文春文庫[978-4-16-790176-9] 文芸春秋 2014年
V.E.フランクル(著)、霜山徳爾(訳) 『夜と霧-ドイツ強制収容所の体験記録』 [978-4-622-00601-5] みすず書房 1956年
その他、授業時に適宜紹介する。
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成績評価の方法 及び基準 |
毎回授業後の小テストまたは小課題(計50%)、総括テスト(約30%)、錯視実験レポート(約20%)による総合評価とする。 課題の内容や提出はすべてCST-VOICEを通して実施される。 |
質問への対応 | 駿河台校舎:月曜日4限および6限(1号館講師室にて)(前期・後期とも) 船橋校舎:水曜日3限および4限(14号館講師室にて)(後期のみ) 上記日時・場所にて対面で受け付ける。 それ以外の場合は、CST-VOICEの連絡機能やメールにて応じるが、都合により返信に時間を要す場合がある。 |
研究室又は 連絡先 |
メールアドレス:ito.yoshie20(at)nihon-u.ac.jp 送信する際に、(at)部分を@に変換すること。 メール本文中に、履修科目名、履修曜日・時限、学科、学生番号、氏名を必ず記載すること。 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
人間の心や行動に興味を持ち、積極的に授業に臨んでほしい。 講義動画を漫然と眺めるような態度では学習にならない。オンデマンド型授業であっても、対面学習と同様の授業態度で学習に臨まなければならない。 また、授業内容をノートにとったり、与えられた課題を指示通りにこなしたりするだけでは、真の「学び」やアクティブな学習にならない。心理学的研究によって明らかにされた諸理論・現象を追試・追体験しながら具体的に把握することを心がけ、自分自身について、そして、人間について理解を深めてほしい。 授業で配信される資料はすべて、本科目の学習目的に利用が限定され、講義動画の撮影や録音録画、二次利用、SNSへの転載や公開などの行為は禁止されている。 身体的・精神的健康に十分留意するとともに、規則正しい学習習慣を心がけてほしい。 (本シラバスの最終更新日2023/03/11) |