2023年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 地球環境化学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 2年 |
担当者 | 村上 雅彦 | 履修期 | 後期 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 土曜5 水曜5 |
校舎 | 船橋 駿河台 | 時間割CD | S65A T35B |
クラス | 学科共通(全学科) | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 人類は科学技術によって自らの活動を飛躍的に拡大させ物質的な豊かさを手に入れてきたが,その一方で地球の環境維持システムに多大な影響を与えた続けた結果,無視できない影響が表面化しつつある。我々の生命にとって適していた地球の環境がどのように確立され,我々の生活活動がこれにどのように影響しているのか?を理解することは,これからの科学技術を担う者にとって必要不可欠と言える。 そこで本講義では,地球環境の成り立ちと現状,および人類活動の影響に関して考えられるメカニズムを理解し,技術者として今後の科学技術の方向性を模索するための基礎を養うことを目標とする。 なお,本授業科目はDP1及びCP1に該当する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
メディア(動画)配信によるオンデマンド型授業とする。 授業に関する連絡,プリント配布,課題の出題・回答および解説は,CST-VOICEを通して行う(見落とさないよう注意すること)。 |
履修条件 | 選択科目。開講時に指示する課題の提出が必須。化学についての基礎的な知識はある程度持っていることが望ましい。単なる知識ではなく「なぜか?」に関心を持つこと。 |
授業計画
第1回 | ・概論 物質およびエネルギー的側面から見た人類活動の肥大化の現状について概観し,本講義の目的を把握する。 【予習】シラバスを参照し,知らない用語等があれば調べて科目の概要を理解する(30分)。 【復習】講義時に指定されたテーマについて図書館やWebを利用して調べ,第3回の講義までにレポートを作成し,CST-VOICEを通して提出する(210分)。 |
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第2回 | ・宇宙と元素の進化(1) ビッグバン宇宙論に基づく宇宙の進化について理解する。また、理解に必要な基本的知識(原子構造と素粒子、原子核の性質・反応など)を再確認する。 【予習】高校「物理」の教科書等で原子核の構造・反応,放射線について再確認する。「黒体放射」「宇宙の歴史についての現在の知見」の概略について図書館・webサイト等を利用して調べる(120分)。 【復習】「ビッグバンと,これが起きたと考えられる根拠」を説明できるようにする。「原子核の構造」と「原子核の反応(核融合・核分裂・放射性壊変)と安定性」について講義内容を整理し,説明できるようにする(120分)。 |
第3回 | ・宇宙と元素の進化(2) 恒星と元素の形成過程を理解し、現在の宇宙の進化と元素の構造・性質についての知見が,矛盾無く物質進化の過程を表していることを理解する。 【予習】「宇宙元素存在度」「超新星爆発」「ブラックホール」の概略について図書館・webサイト等を利用して調べる(120分)。 【復習】「恒星の誕生〜崩壊までの過程」と「これに伴って起こる元素の形成」について説明し,宇宙元素存在度との相関について説明できるようにする(120分)。 |
第4回 | ・地球環境の成り立ち(1) 太陽系の形成過程について解説し,比較惑星論的に地球環境の特異性とその理由を考える。 【予習】「太陽系」「太陽系惑星」の概略について,図書館やWebを利用して調べる(120分) 【復習】「太陽系の形成過程」「内惑星と外惑星の違いとそれが生じた理由」「地球と金星・火星の環境の主な違いとそれが生じた理由」について説明できるようにする(120分)。 |
第5回 | ・地球環境の成り立ち(2) 地球環境の進化過程と,これにおける地圏・水圏・気圏の相互作用について理解する。 【予習】高校「地学」の教科書,図書館やWebを利用して,「微惑星衝突」「マグマオーシャン」「固体地球の構造」の概略について確認する(120分)。 【復習】「現在までの地球大気組成の変化とその理由」を説明できるようにする(120分)。 |
第6回 | ・地球大気の構造~オゾン層破壊(1) 地球大気の成り立ちと大気成分の光化学反応について概観し,オゾン層の形成と役割・フロンガス(CFC類)によるオゾン層破壊の発見の過程について理解する。 【予習】「電磁波の波長と性質」「光化学反応」「ラジカル(遊離基)とその反応」の概略について,高校「物理」「化学」などの教科書及び図書館・Webサイトを利用して確認する(120分)。 【復習】「地球大気の構造(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏)とこれができた理由」「オゾン層でのオゾン生成反応と環境への作用」について説明できるようにする(120分)。 |
第7回 | ・オゾン層破壊(2) オゾン層破壊(ClOxサイクル及び極域でのオゾンホール形成)のメカニズムと破壊の現状について理解する。 【予習】高校「化学」教科書及び図書館・Webサイトなどを利用して,「化学反応の速度」「触媒の種類と作用」について確認する(120分)。 【復習】「ClOxサイクルとその終止反応」「極域でのオゾンホールとその特徴,形成メカニズム」について説明できるようにする(120分)。 |
第8回 | ・オゾン層破壊(3) オゾン層保護対策の流れと、フロンガス(CFC類)の特性・代替フロンとその問題点について理解する。 【予習】図書館・Web等を利用して,「エアコンや冷蔵庫の構造と原理」「半導体プロセスにおける洗浄」について調べる(120分)。 【復習】「CFC類の基本構造」「代替フロン類の構造とこれによるオゾン層保護対策の考え方・問題点」「オゾン層破壊の現状」について説明できるようにする(120分)。 |
第9回 | ・地球の気候システム 地表付近の気候を支配する地球の熱収支と温室効果のメカニズム,赤外線と分子の相互作用(温室効果気体),温暖化要因①(各温室効果気体と温暖化能・GWP,二酸化炭素の生物地球化学的循環)について理解する。 【予習】「分子の極性」「赤外線」「結合の振動」について,図書館・Webを利用して調べる(120分)。 【復習】「大気の温室効果」「温室効果気体分子とその作用」「地球の熱収支」「地球の気候を制御している基本要素」「気候に影響を与える人為的要因とその影響」「放射強制力」「温暖化能・GWP」について説明できるようにする(120分)。 |
第10回 | ・温室効果と地球温暖化(1) 温暖化要因②(エアロゾル・雲の影響),人為的温暖化の評価法と温暖化の現状,今後の予測(シミュレーション)の方法と現状について理解する。 【予習】図書館・Web等を利用し,「IPCC」「IPCC第4次報告書」,現在までの「2100年の気候予想の概略とその変遷」について調べるについて調べる(120分)。 【復習】「二酸化炭素の循環とその現状」,温暖化予測の方法とその現状・問題点についてについて説明できるようにする(120分)。 |
第11回 | ・温室効果と地球温暖化(2) 予想される温暖化影響と現在の気候変動対策の考え方,気候変動対策(京都議定書)とその現状について理解する。 【予習】図書館・Web等を利用し,「京都議定書」「パリ協定」の概略について調べる(120分)。 【復習】温暖化予測の方法とその現状・問題点について説明できるようにする(120分)。 |
第12回 | ・温室効果と地球温暖化(3) 気候変動に対する積極的な対策(二酸化炭素の回収・貯留技術など),今後の考え方について理解する。 【予習】図書館・Web等を利用し,「日本の電力供給の現状」について調べる(120分)。 【復習】「二酸化炭素回収・貯留技術の現状とその問題点」について説明できるようにする(120分)。 |
第13回 | ・放射性物質の環境影響とそのリスク 核分裂生成物及びそこから生じる放射能についての基礎的知識とその環境影響について理解する。 【予習】高校「物理」教科書及び図書館・Web等を利用し,「核分裂」「放射線」「放射能」「中性子」「半減期」について調べる(120分)。 【復習】「各種放射線とその違い」「核分裂反応とその制御」「放射線の生体への影響」について説明できるようにする(120分)。 |
第14回 | ・リスクの考え方(1) リスクとは?リスクの性格的分類と評価について理解する。 【予習】図書館・Web等を利用し,「致死量」「発がんリスク」について調べる(120分)。 【復習】「リスクとその種類」「閾値の有無によるリスク評価方法の違いと問題点」について説明できるようにする(120分)。 |
第15回 | ・リスクの考え方(2) リスクの統一的評価の手法及びリスクに基づく判断について概説する。 【予習】図書館・Web等を利用し,「平均寿命とその計算」について調べる。(120分)。 【復習】「リスクの統一的評価法」「リスクに基づく判断の必要性と問題点」について説明できるようにする(120分)。 |
その他
教科書 |
中村朝夫,村上雅彦,沖野龍文 共著 『基礎環境化学 〜持続可能な社会を目指して〜 [ISBN 978-4-563-04636-1 C3043]』 培風館 2023年 第1版
教科書以外に必要なデータは,CST-VOICEを通してPDFで配布するので必ず講義前に確認し,各自ダウンロードするなどして参照すること。
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参考書 |
御代川喜久夫 著 『 環境科学の基礎 [978-563-04597-5]』 培風館 2004年 第2版
参考文献欄にあるものの他、講義内で適宜指示する。
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成績評価の方法 及び基準 |
授業内の課題および総合レポートの成績(70%),平常点(30%,課題に対する取り組み姿勢を含む)に基づいて評価する。 |
質問への対応 | CST-VOICEを通して対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎821号室 |
オフィスアワー |
火曜 船橋 18:30 ~ 19:30 。連絡が付かない場合は,教務課に相談して下さい。
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学生への メッセージ |
地球環境は科学にとって最も複雑といえる対象であり、理解のためには自然科学の各分野に関する最低限の知識が必要になります。可能な限りサポートしますが、足りない部分は自分で少しでも埋めるよう努力する姿勢を持ち,暗記に頼らず各種メカニズムや理由の理解に努めること。 |