2023年 短期大学部 シラバス - ものづくり・サイエンス総合学科
設置情報
科目名 | 物理化学Ⅰ | ||
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設置学科 | ものづくり・サイエンス総合学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 木屋 幸蔵 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | E31M |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 物理化学を構成する学問分野は主に、原子・分子の構造を解明する量子化学、化学変化をエネルギーの面から考える化学熱力学、化学反応の速度などを扱う化学反応論の三つに分けられる。この内、本講義では量子化学の基礎を学習対象とし、電子を中心とした原子構造の捉え方を学んだ上で、原子同士の共有結合による分子の成立過程や、成立した分子の形の差異などを説明できるようにする。そしてさらに量子化学の応用的手法である分子分光学を学ぶための基礎となることを目指す。 本授業科目はDP1及びCP1に該当しています。 科目ナンバリング:MFmAc-212 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 授業は基本的にプロジェクターによる授業資料共有と板書を併用した形で進める。また毎回、授業の最後に演習を実施する。CST-VOICE上に各回の授業資料(演習も含む)を公開するので、授業当日までに必ず各自で出力し用意すること。演習は授業当日の午後9時00分までにCST-VOICE上にPDFで提出する。 |
履修条件 | 高校数学(理系大学受験レベル)の三角関数、指数関数、微積分の計算知識は必須である。 |
授業計画
第1回 | 【授業内容】原子の構造と原子軌道の形 電子の配置の仕方 量子数の表し方 フントの規則 パウリの排他原理 【事前学習】教科書p40~45、p54~p56を予習しておく。(100分) 【事後学習】3種類の量子数の組み合わせで規定された固有関数の式(簡単なものから5つ程度)と原子軌道関数の立体的な形を対応させて確認する。(120分) |
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第2回 | 【授業内容】プランクの量子仮説 アインシュタインの光量子仮説 物質波の考え方(粒子性と波動性) ボーアの量子条件 【事前学習】教科書p9~p18を予習しておく。(100分) 【事後学習】式の変形・誘導を確認し、自分で理解しやすい形に書き直してまとめる。(120分) |
第3回 | 【授業内容】前期量子論での電子の運動とエネルギーの考え方(水素原子のエネルギー) ボーア半径 波動関数 波の表し方 【事前学習】教科書p19~p25を予習しておく。(100分) 【事後学習】式の変形・誘導を確認し、自分で理解しやすい形に書き直してまとめる。(120分) |
第4回 | 【授業内容】古典論での波動方程式 量子論の考え方 シュレディンガーの波動方程式(演算子・波動関数・エネルギー固有値) 井戸型ポテンシャル 【事前学習】教科書p26~p35、p38~p39いを予習しておく。(100分) 【事後学習】二階の微分方程式の解と得られるエネルギー固有値までの計算過程を確認し、自分で理解しやすい形に書き直してまとめる。(120分) |
第5回 | 【授業内容】直交座標系と極座標系 水素原子および水素類似原子・ヘリウムイオンHe⁺の波動方程式・波動関数・エネルギー固有値 【事前学習】教科書p19~p25、p38~p39、p41~p49、p53~p54を予習しておく。(100分) 【事後学習】式の誘導過程を確認する。(120分) |
第6回 | 【授業内容】He原子の波動方程式・波動関数・エネルギー固有値 N電子系の波動関数・エネルギー固有値の取り扱い方 有効核電荷 遮蔽効果 水素分子イオンH₂⁺の波動方程式・波動関数・エネルギー固有値 【事前学習】教科書p53~p54、p68~p73を予習しておく。(100分) 【事後学習】多電子原子の波動方程式の成り立ちを理解する。演算子・波動関数・エネルギー固有値の扱い方を式の形で理解する。ヘリウムイオンHe⁺とヘリウム原子Heの波動方程式・波動関数の違いを比較してみる。(120分) |
第7回 | 【授業内容】分子軌道の成立と表し方(LCAO近似):分子軌道法の初歩 結合性軌道と反結合性軌道 ポテンシャル曲線 結合解離エネルギー 【事前学習】教科書p64、p68~p73を予習しておく。(100分) 【事後学習】教科書p64図4‐1上で、反結合性分子軌道のポテンシャル曲線を付け加えて考えてみる。教科書p71図4‐4、p72図4‐5を中心に、分子軌道の形成までの考え方をもう一度辿る。(120分) |
第8回 | 【授業内容】水素分子の波動方程式・波動関数・エネルギー固有値 簡単な等核二原子分子・二原子イオン(He₂・He₂⁺・Li₂)の分子軌道とエネルギーダイアグラム 【事前学習】教科書p68~p73を予習しておく。(100分) 【事後学習】水素分子イオンH₂⁺と水素分子H₂の波動方程式・波動関数の違いを比較してみる。(120分) |
第9回 | 【授業内容】σ軌道とπ軌道の成立過程 等核二原子分子(B₂・C₂・N₂)の分子軌道(エネルギーダイアグラムと結合次数) 【事前学習】p73~p76をもう一度予習しておく。(100分) 【事後学習】p75表4‐2を参考にして、授業で扱った以外の等核二原子分子の分子軌道についてエネルギーダイアグラムで考えてみる。(120分) |
第10回 | 【授業内容】簡単な異核二原子分子(LiH、HF、NO)の分子軌道(エネルギーダイアグラムと結合次数) 結合性軌道・反結合性軌道・非結合性軌道 【事前学習】教科書p75~p76を予習しておく。(100分) 【事後学習】授業や演習で扱った以外のかんたんな異核二原子分子や多原子分子(例えば教科書p88に登場するような)の分子軌道をエネルギーダイアグラムで考えてみる。(120分) |
第11回 | 【授業内容】オクテット則・ルイス構造・原子価結合法(分子軌道法との比較) 炭素原子の混成軌道(sp³、sp²、sp) 炭化水素の成り立ち(σ軌道とπ軌道の成立と特徴) 【事前学習】教科書p60、p66~p67、p79~p81を予習しておく。(100分) 【事後学習】炭化水素分子におけるσ結合とπ結合の電子雲の広がりの様子を教科書以外の文献で調べてみる。(120分) |
第12回 | 【授業内容】窒素原子、酸素原子の混成軌道(N₂・O₂分子の成り立ち) 多原子分子(NH₃、H₂O)における分子軌道 分子の極性 双極子モーメント【事前学習】教科書p79~p81、p86~p90を予習しておく。(100分) 【事後学習】この回と第9回の授業内容を対比させ違いを明確にする。(120分) |
第13回 | 【授業内容】原子価殻電子対反発理論(ⅤSEPR理論) CH₄・NH₃・H₂Oの結合角 分子の形 【事前学習】教科書p77~p79を予習しておく。(100分) 【事後学習】教科書p78の図中の分子の選んで、その分子軌道を予想し分子の形と対応させてみる。(120分) |
第14回 | 【授業内容】色とは何か 分子の色 吸収スペクトルとは 井戸型ポテンシャルの考え方(復習) 分子分光学の基礎 【事前学習】教科書p101~p111を予習しておく。(100分) 【事後学習】光の三原色、色の三原色、補色の関係を理解する。様々な染料・色素分子の構造式を調べてみる。(120分) |
第15回 | 確認テストとその解説 全体的な振り返り 【事前学習】授業1回目から14回目までの内容と演習を十分に復習しておく。(420分) 【事後学習】解答できなかった問題をもう一度調べなおす。(100分) |
その他
教科書 |
真下清 他 『物理化学入門』 東京教学社
2~4章および5章の一部の内容を扱う。事前学習では各授業回で指示したページをあらかじめ学習し、疑問点や不明点を明らかにしておくこと。
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参考書 | |
成績評価の方法 及び基準 |
確認テスト(60%)、授業への出席状況・取り組む姿勢(10%)、演習(30%) 授業への出席および演習の提出が総授業時間数の3/5に満たない場合は履修放棄として取り扱い、成績の査定は行わない。 【令和3年度成績分布状況】S:9%,A:9%,B:27%,C:27%,D:27% |
質問への対応 | 授業終了後に教室で質問を受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館838号室 E-mail:kiya.kouzo@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
量子化学では化学反応式に類するものはほとんど扱われず、基本的には数式や考え方が中心で、微積分等の数学的知識も必要です。決して取り組みやすい分野ではなく、積み重ねの学習が大切です。そのためにも毎回の出席を心がけて下さい。授業では分かりやすい資料の提供、説明を心がけます。皆さんは真面目な学習態度で授業に臨んでください。 |