2023年 短期大学部 シラバス - ものづくり・サイエンス総合学科
設置情報
科目名 | 有機化学Ⅰ | ||
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設置学科 | ものづくり・サイエンス総合学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 赤澤 寛行 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | E53M |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 主に炭素C水素H酸素O窒素Nで構成される有機物は, あらゆる生体物質や生活の基礎となる衣服などの素材である高分子(ポリマー)も含まれる. それら有機物について学ぶことは化学系科目を志すものにとっては重要である. 本科目ではその基礎となる簡単な有機物であるアルカン, アルケン, アルキンの性質とそれにかかわる理論および有機反応の基礎を学ぶことを目標としている. 下記にその個別の目標を記載する. ①炭素の基底状態と混成軌道における電子配置を記載できる. ②極性共有結合とは何かを説明できる. ③ねじれ型および重なり形配座をNewman投影式で描き, その時のポテンシャルエネルギーのグラフを単純なアルカンについて作図できる. ④立体配置の違うシクロアルカンにおけるひずみエネルギーを計算し, その構造の安定性について判断できる. ⑤有機反応の種類について分類し, その反応機構を電子の流れを追うことにより説明できる. ⑥反応エネルギー図を作図し, その反応のしやすさ, 速さを図から読み取ることができる. ⑦有機反応の求核的・求電子的反応について説明できる. ⑧アルケン・アルキンの関わる反応について説明できる. 本授業科目はDP1及びCP1に該当しています。 科目ナンバリング:MFmAc-203 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面での授業をを実施する. パワーポイントを中心とした講義を行う. 各回講義中に演習を行い, 受講生に板書により回答してもらう. 回答後、解説も含めて説明する. 上記板書による回答などを通じた授業に対する積極度と各回の課題の提出状況を授業に対する評価に含める. 質問には対面のほかメールにより行う. 必要があればCST-VOICEを経由し共有する. 平常試験は授業内で3回行い, 平常点として扱う. 分子模型が理解の手助けとなることがあるので適宜使用すること. |
履修条件 | 特になし |
授業計画
第1回 | 1. ガイダンス・有機化学Ⅰ講義内容紹介 【事前学習】シラバスをよく読んでおくこと. (30分) 【事後学習】成績評価の方法や日程について確認しておくこと. (30分) 2. 原子の構造, 化学結合と原子価結合法(混成軌道):炭素鎖の表現方法, 構造の描画方法(教科書p.1~p.25) 【事前学習】教科書p.1~p.25をよく読んでおくこと. (60分) 【事後学習】炭素の基底状態の電子配置と混成軌道の電子配置をノートに記載すること. sp3混成軌道, sp2混成軌道, sp混成軌道は炭素に限定されることではないことを確認し、 それらの構造や性質についてまとめること(60分) |
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第2回 | 極性共有結合・電気陰性度・酸と塩基(ブレンステッド・ローリーの定義とルイスの定義)(教科書p.33~p.61) 【事前学習】教科書p.33~p.61をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】極性共有結合とは何か, 双極子モーメントの方向, 形式電荷, 非共有結合性相互作用(分子間力, ファンデルワールス力)について ノートにまとめておくこと(120分) |
第3回 | アルカンとその立体化学(教科書p.68~p.99) 【事前学習】教科書p.68~p.99をよく読んでおくこと. 分子模型でプロパンを作っておくこと. (120分) 【事後学習】アルカンの命名法について振り返り, ねじれ型配座および重なり形配座の図を Newman投影式の形でノートに記載すること. またブタンの結合回転に対する ポテンシャルエネルギーのグラフをNewman投影式とともに作図すること(120分) |
第4回 | シクロアルカンとその立体化学(教科書p.100~p.130) 【事前学習】教科書p.100~p.123をよく読んでおくこと. 分子模型でシクロヘキサンを作っておくこと. (120分) 【事後学習】シクロアルカンのcis型trans型を含めた命名法について振り返り, 立体異性体についてまとめること. また、シクロヘキサンのいす型配座を描き, 一置換型または二置換型の最も不安定または安定な構造とその 全ひずみエネルギーを記載すること(120分) |
第5回 | アルカンとシクロアルカンの立体化学演習(教科書p.68~p.130) 【事前学習】教科書p.68~p.130をよく振り返っておくこと. 分子模型でプロパン・シクロヘキサンを作っておくこと. (120分) 【事後学習】次週の試験に向けて第一回目から第五回目の内容について各自で復習をすること(120分) |
第6回 | 平常試験①およびその解説 【事前学習】第一回目から第五回目までの内容を振り返り復習すること. 第一章から第四章の範囲の教科書中の問題を解いておくこと(180分) 【事後学習】解説後に自らの答案を振り返り解けなかった問題を解きなおすこと(120分) |
第7回 | 有機反応の種類, 反応機構(教科書p.169~p.184) 【事前学習】教科書p.169~p.184をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】ラジカル反応と極性反応の違いについてノートにまとめておくこと. また、曲がった矢印で極性反応の電子の流れを図示できるようにすること(120分) |
第8回 | 反応エネルギー(教科書p.184~p.197) 【事前学習】教科書p.184~p.197をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】化学反応が正方向に進み, かつ早く進む場合の平衡定数Kと その時の反応熱の関係についてまとめること. また, 1つ以上の遷移状態を有する 反応エネルギー図をノートに記載すること. (120分) |
第9回 | アルケン・アルキンとその立体化学, マルコフニコフ則(教科書p.215~236, p.297~p.299) 【事前学習】教科書p.215~p.236, p.297~p.299をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】アルケン・アルキンの安定性についてまとめること. アルケンの求電子付加反応でのマルコフニコフ則とは何かノートにまとめておくこと (120分) |
第10回 | カルボカチオンとその安定性, Hammondの仮説, カルボカチオンの転位, マルコフニコフ則に従うアルケン・アルキンの反応(教科書p.215~236, p.297~p.299) 【事前学習】教科書p.215~p.236, p.297~p.299をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】アルケンの求電子付加反応での中間体であるカルボカチオンの安定性と それに伴う反応終了後の立体構造の仮説であるHammondの仮説をノートにまとめること. また, カルボカチオンの転位からカルボカチオンが存在することを確認すること(120分) |
第11回 | アルケンおよびアルキンの演習(教科書p.184~p.197, p.215~236, p.297~p.299) 【事前学習】教科書p.184~p.197, p.215~p.236, p.297~p.299)をよく振り返っておくこと. (120分) 【事後学習】アルケンおよびアルキンの重要事項について説明できるようにしておくこと(120分) |
第12回 | 平常試験②およびその解説 【事前学習】第七回目から第十一回目までの内容を振り返り復習すること. 第六章, 第七章の問題と, アルキンアルケンの製法, ハロゲンに関する反応について振り返っておくこと(120分) 【事後学習】解説後に自らの答案を振り返り解けなかった問題を解きなおすこと(120分) |
第13回 | アルケン・アルキンの反応(教科書p.246~p.309) アルケン・アルキンにまつわる反応について授業内では大事な反応をピックアップして説明する。 (アルケン・アルキンの製法, ハロゲン化水素付加, ハロゲン付加, ハロヒドリンの生成, アルケン・アルキンの水和反応, 還元反応, アルケン・アルキンの酸化反応, カルベン付加, シクロプロパン環の生成, アセチリドアニオンによる炭素鎖延長反応) 【事前学習】教科書第八章および第九章をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】ピックアップした反応について次回の演習時に使用できるようによくまとめておくこと(120分) |
第14回 | アルケン・アルキンを用いた目標物質の合成方法の計画 【事前学習】教科書p.309~p.313をよく読んでおくこと. (120分) 【事後学習】アルケン・アルキンの各種反応を用いて, 目的物を得るには どうすればよいか問題解答を通じてまとめておくこと(120分) |
第15回 | 平常試験③およびその解説 【事前学習】第十三回目および第十四回目までの内容を振り返り復習すること. 第八章, 第九章の問題を解いておくこと. また, 講義内容全体を振り返りポイントを 押さえておくこと(120分) 【事後学習】解説後に自らの答案を振り返り解けなかった問題を解きなおすこと(120分) |
その他
教科書 |
John McMurry著, 伊藤・児玉・萩野・深澤・通 訳 『マクマリー有機化学(上)』 東京化学同人 2017年 第9版
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参考書 |
久保拓也, 細矢憲 『有機化学』 化学の基本シリーズ② 化学同人 2017年 第初版
Susan McMurry, マクマリ―有機化学問題の解き方 英語版, 東京化学同人, 2016, 9 edition
荒井貞夫 著 『工学のための有機化学』 ライブラリ工科系物質科学3 サイエンス社 2001年 第初版
マクマリ―有機化学問題の解き方は大きく、重く、高価なので、図書館を活用すること. 版の違いに注意すること.
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験(①+②+③ を総合的に判断し 60% へまとめる) 授業への取り組み状況( 40% ) 出席(または出席に代わるもの)が総授業時間数の3/5に満たない場合は評価しない. |
質問への対応 | 対面授業の時間内およびその前後の時間の他は,原則として質問はメールで対応する。オフィスアワーの時間帯以外は返信が後日になることもあるので注意すること。 |
研究室又は 連絡先 |
赤澤寛行:8号館835A室, akazawa.hiroyuki@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
木曜 船橋 12:10 ~ 13:20 個別質問対応時間
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学生への メッセージ |
有機化学は書いて覚えることも大事ですが, 分子模型などを使用して立体的に考えると 理解しやすいです. 言語と同じで覚えた知識を活かせるかどうかがカギとなります. 【令和4年度成績分布状況】履修者数13名 S:3人(23.08%),A:2人(15.38%),B:3人(23.08%),C:4人(30.77%),D:0人(0%),E:1人 |