2023年 大学院理工学研究科 シラバス - 海洋建築工学専攻
設置情報
科目名 | 沿岸構造物設計特論 | ||
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設置学科 | 海洋建築工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 小林 昭男 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | D14B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 学修目標:沿岸構造物のなかで護岸,胸壁,離岸堤などの海岸保全施設や防波堤は,海岸と沿岸域の生命・財産の防護,海岸の環境保全や利用に資することを目的としており,海洋建築物に対しても重要な施設である。本授業では,これらの構造物に求められる要求性能と性能規定を理解し,防護・環境・利用に配慮した設計方法を修得する。 学修概要:海岸保全施設および港湾施設は,沿岸の海洋建築物に隣接する重要な施設である。これらの施設には,背後地の防護の役割があるが,周辺の海岸や海域への環境影響と利用への影響が生じる。そこで本授業では,防護・環境・利用のバランスに配慮した施設の設計技術を学修する。また,これらの技術の学修に併せて,沿岸域管理を効果的に行うための基礎知識として,人為や気候変動が沿岸施設に及ぼす影響や影響緩和策の現状と課題を随時学修する。 本授業科目はDP1・3・4・5及びCP1・3・4・5に該当している。本科目の学修を通して,日本大学教育憲章の「自主創造」を構成する「自ら学ぶ」能力のうちの「豊かな知識・教養を基に倫理観を高めることができる」能力と,「自ら考える」能力のうちの「得られる情報を基に論理的な思考,批判的な思考をすることができる」能力と「事象を注意深く観察して問題を発見し,解決策を提案することができる」能力を養うことができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
授業形態:対面式授業 授業方法:毎回の授業テーマから重要事項を3~5項目抽出して解説する。毎回の授業方法は,1)目的と概要の解説(5分),2)3~5項目の解説(70分),3)質疑応答・議論(15分)。 序業では,実務経験に基づいて,海岸保全施設や港湾施設の計画・設計における留意点を分かり易く解説する。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
『沿岸域工学の基礎』(技法堂出版)を学修していることが望ましい。また,前期科目「海洋環境工学特論Ⅰ」を履修していることが望ましい。 印刷教材を配布するので,毎回の授業の前に該当する範囲を熟読してから授業の臨むこと。また,印刷教材の参照した参考書にも目を通しておくことが望ましい。 |
授業計画
第1回 | テーマ:ガイダンス 目標:授業の到達目標および授業全体の構成の理解 授業資料の紹介 |
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第2回 | テーマ:海岸法と港湾法 目標:海岸法と沿岸域の目的と範囲が理解できる。 内容: 海岸法の目的/海岸の技術基準の位置づけ/港湾法の目的/港湾の技術基準の位置づけ |
第3回 | テーマ:海岸保全基本方針と基本計画 目的:海岸保全施設の求められる性能が理解できる。 内容: 海岸保全施設/海岸保全基本方針/海岸保全基本計画の定める基本事項 |
第4回 | テーマ:海岸保全施設の設計上の配慮事項 目的:海岸保全施設の機能の多様性,環境保全,周辺景観との調和,経済性,維持管理,施工性,公衆の利用に対して配慮すべき事項が理解できる。 内容:防護・環境・利用という機能の多様性,自然共生型海岸づくり,周辺環境への配慮,費用便益分析と海岸事業の効果,費用便益分析の方法,予防保全型維持管理,施設の変状,長寿命化計画 |
第5回 | テーマ:施設に共通する設計条件(1)設計の方針,考慮する作用,潮位 目的:性能設計の体系および長周期の波(潮位,高潮・高波副振動)の条件設定の方法が理解できる。 内容:設計の方針/考慮する作用/潮位/高潮/副振動 |
第6回 | テーマ:施設に共通する設計条件(2) 目的:波浪の統計的性質,風波・うねり・設計沖波の推算方法が理解できる。 内容: 設計に用いる波の設定/波の確率密度関数と代表波/設計沖波の設定 |
第7回 | テーマ:施設に共通する設計条件(3) 目的:不規則波の性質,設計沖波,設計波高の推算方法が理解できる。 内容:設計波の設定/越波・打上・越波伝達波 |
第8回 | テーマ:施設に共通する設計条件(4)波力と津波波力 目的:波力と津波波力の算定方法が理解できる。 内容:壁体・柱状体に作用する波力/ブロック等の安定質量/直立壁・胸壁に作用する津波波力 |
第9回 | テーマ:防護機能を有する海岸保全施設の設計-堤防・護岸,胸壁- 目的:施設の設置目的・機能,設計方針,要求性能,性能規定,性能照査の方法が理解できる。 内容: 施設の目的と機能/設計方針/構造諸元/主な構造細目 |
第10回 | テーマ:漂砂制御機能を有する海岸保全施設の設計-突堤,離岸堤- 目的:施設の設置目的・機能,設計方針,要求性能,性能規定,性能照査の方法が理解できる。 内容:施設の目的と機能/設計方針/構造諸元/主な構造細目 |
第11回 | テーマ:環境創造機能を有する海岸保全施設の設計-砂浜- 目的:砂浜の設置目的・機能,設計方針,要求性能,性能規定,性能照査の方法が理解できる。 内容:施設の目的と機能/設計方針/構造諸元/主な構造細目 |
第12回 | テーマ:波浪制御機能を有する港湾施設の設計-防波堤- 目的:防波堤の設置目的・機能,設計方針,要求性能,性能規定,性能照査の方法が理解できる。 内容:施設の目的と機能/設計方針/構造諸元/主な構造細目 |
第13回 | テーマ:沿岸構造物の施工と材料 目的:各種構造型式の施工法と使用材料の耐久性向上技術を理解する。 内容:/重力式防波堤/ジャケット式係船岸/材料の耐久性向上技術 |
第14回 | テーマ:気候変動と沿岸構造物 目的:気候変動の沿岸域への影響と適応策の考え方が理解できる。 内容:気候の変化と将来予測/自然環境と社会環境への影響と適応策/海岸と港湾への影響と適応策 |
第15回 | テーマ: 理解度確認授業 目的:学修内容の復習と理解度を確認する。 内容:レポート課題の出題趣旨と解答方法の説明 |
その他
教科書 |
初回授業時に印刷教材,『沿岸構造物特論』(小林昭男,2023)のダウンロード方法を提示する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
小林昭男:『沿岸域工学の基礎』,技法堂出版,2019年,第1版
全国農地海岸保全協会,他:『海岸保全施設の技術上の基準・同解説』,2018年8月,第1版
水産庁:『漁港・漁場の施設の設計参考図書』,2015年
全国漁港漁場協会:『漁港海岸事業設計の手引き』,2013年
土木学会 『海岸施設設計便覧』,丸善㈱,2000年,第1版
日本港湾協会:『港湾の施設の技術上の基準・同解説』,2018年5月,第1版
Takaaki Uda: 『Japan’s Beach Erosion』, World Scientific, 2010.
㈶土木研究センター:『実務者のために養浜マニュアル』 ㈶土木研究センター 2004年 第1版
その他,資料や技術論文は授業中に紹介または配布する。
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成績評価の方法 及び基準 |
毎回の小テストの結果と2回の理解度確認試験の結果の合計点で評価する。 |
質問への対応 | 随時受け付けます。教員宛にメールで質問事項と時間予約をするとスムーズに対応できます。 |
研究室又は 連絡先 |
小林昭男: kobayashi.akio@ |
オフィスアワー |
月曜 船橋 16:40 ~ 18:10
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学生への メッセージ |
海岸保全施設や港湾施設は,海洋建築物の立地条件を整備するための重要な施設です。それらの設計に係る基本事項を楽しく学修しましょう。 |