2024年 理工学部 シラバス - 海洋建築工学科
設置情報
科目名 | 物質の構造と状態 | ||
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設置学科 | 海洋建築工学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 村上 雅彦 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | D14C |
クラス | 1クラス |
概要
学修到達目標 | 「物質」についての知識は,工学において特に材料や環境を理解する上で基礎的な情報として必須である。この「物質」の性質や反応を理解するには,微視的に(ミクロな視点で)原子や分子を理解することが重要である。本講義では,このような見方を通して物質とこれに関わる現象を理解・説明できるようにする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業とする。授業に関する連絡,資料(プリント)の配布,および課題の出題・回答・解説は,原則CST-VOICEを通して行う(見落とさないよう注意すること)。 |
履修条件 | 選択科目。出席状況は,教室設置のカードリーダーによる記録に基づいて判断する(学生証忘れについては,一切対応しない。但し,紛失して再発行中であることが証明できる場合には対処するので,申し出ること)。 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3及びCP1・3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | ・科目説明と基礎的事項の確認 高校化学との違いなど基礎的事項を確認し,科学の方法と特徴を理解する。 | 【事前学習】シラバスを参照し,不明な用語があれば教科書や図書館・Webを利用して調べ,科目の概要を確認する。 【事後学習】講義で扱われた事例について,高校「化学基礎」「化学」教科書及び本講義の教科書を確認し,違いについて理解する。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
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第2回 | ・原子の構造(1) 原子構造解明の過程(電子の発見,質量電荷比の決定)とその実験について理解する。 | 【事前学習】高校「物理基礎」および「物理」教科書の”電気・磁気”,”原子”の単元等を再確認しておくこと。 【事後学習】講義で説明された例題を解き,これらの実験における電場および磁場中の電子の運動について理解し,説明できるようにする。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第3回 | ・原子の構造(2) 放射線を用いた原子構造解明の過程(α線散乱実験と原子核モデル,人工元素変換,中性子の発見)とその実験について理解する。また,これにより明らかとなった古典力学の限界について理解する。 | 【事前学習】高校「物理」教科書の”原子”の単元等を参照し,これらの実験に見られる物理現象を理解しておくこと。 【事後学習】講義で説明された例題を解き,これらの実験方法・原理と結果の解釈について理解し,説明できるようにする。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第4回 | ・量子論的原子モデルの確立(1) 量子力学の始まりとなる黒体放射とエネルギー量子仮説について理解する。 | 【事前学習】高校「物理」教科書の”波動”および”気体分子運動”に関する単元を参照し,波動の特性と干渉現象,ボルツマン分布・定数などについて再確認しておくこと。 【事後学習】講義で説明された例題を解き,これらの原理・考え方,式の誘導と結果の解釈について理解し,説明できるようにする。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第5回 | ・量子論的原子モデルの確立(2) 光電効果と光量子仮説(光の粒子性)と電子線回折と物質波仮説(物質の波動性)について理解する(120分)。 | 【事前学習】高校「物理基礎」および高校「物理」教科書の波動と干渉作用,運動量保存について確認しておく。 【事後学習】物質波の波長の式を用いて種々の運動する物質の波長を計算し,それらの物質の大きさと波長の関係から量子力学と古典力学の適用範囲について確認する。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第6回 | ・量子論的原子モデルの確立(3) 量子化学の基本とシュレディンガーの波動方程式,ならびにその解(波動関数)として求められる原子軌道とそのエネルギー,4つの量子数(n, l, m, s)について理解する。 | 【事前学習】高校「物理基礎」および高校「物理」教科書の”電場中の力とエネルギー”,”遠心力”に関する項目および”原子”の単元等を参照し,原子核と電子の間に働く力とエネルギーの釣り合いを理解しておくこと。 【事後学習】講義で解説したシュレディンガー方程式を解くために必要な条件の意味と解き方について理解し,説明できるようにする。水素原子の軌道の半径とエネルギーを求める式を導出し,水素原子の基底状態の軌道半径(ボーア半径)とエネルギーを計算する。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第7回 | ・原子軌道(オービタル)と電子配置 原子軌道の種類と電子配置とその規則(構成原理),原子軌道の表し方と”原子の形”について理解する。 | 【事前学習】原子軌道関数の特徴と量子数について確認しておく。 【事後学習】原子軌道の種類と形状,エネルギー準位,電子配置の規則(構成原理)を理解し,原子番号21番(Sc)までの元素の電子配置と原子の形状を全て示せるようにする。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第8回 | ・電子配置と周期表 元素の化学的性質・イオン化エネルギーの周期性とその主な理由となる有効核電荷・遮蔽効果について理解する。 | 【事前学習】電子配置,原子軌道の形,半径方向の電子密度(動径分布)について確認しておく。 【事後学習】原子番号11番(Na)までの元素の第一イオン化エネルギーの変化の特徴を,有効核電荷の変化と原子構造の違いで説明できるようにすること。遮蔽の考え方を理解し,有効核電荷を計算できるようにする。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第9回 | ・化学結合(1) 分子軌道理論に基づく化学結合の考え方について理解する。 | 【事前学習】高校「物理基礎」および高校「物理」教科書の”波動の位相と干渉”について確認しておく。構成原理と原子番号21番(Sc)までの電子配置について確認する。 【事後学習】水素分子の形成,ヘリウムなどの希ガス元素が結合を作らない理由,光エネルギーによる結合の切断などを分子軌道理論で説明できるようにする。第二周期元素の二原子分子の電子配置について理解し,説明できるようにする。 | 【事前学習】1.5時間 【事後学習】2.5時間 |
第10回 | ・化学結合(2) 混成軌道の形成と原子価殻電子対結合(VSEPR)理論による便宜的な分子形状・性質の考え方について理解する。 | 【事前学習】高校「化学基礎」「化学」で学んだ”有機化合物の結合と分子の形””水の性質”について確認する。 【事後学習】混成軌道の考え方を理解し,炭素化合物をはじめとする簡単な分子の結合と分子形状について説明できるようにする。分子軌道理論とVSEPR法の違い,それぞれの位置付け・使い分けについて理解する。 | 【事前学習】1.5時間 【事後学習】2.5時間 |
第11回 | ・化学結合(3) 結合のイオン性とその結合及び分子集団の性質への影響,電気陰性度,双極子モーメントについて理解する。 | 【事前学習】有効殻電荷,電気陰性度について確認する。 【事後学習】分子内での電子の偏りと,その物質の性質への影響を理解し,双極子モーメントと結合のイオン性が計算できるようにする。 | 【事前学習】1.5時間 【事後学習】2.5時間 |
第12回 | ・化学結合と物性(1) 結合の種類と固体(結晶)の性質の関係ついて理解する。 | 【事前学習】高校「化学基礎」「化学」で学んだイオン結晶,金属結晶,分子結晶の結合とそれによってできた固体の性質・特徴について確認する。 【事後学習】イオン性結晶,共有結合性結晶,分子結晶の違い,水および炭素(黒鉛・ダイヤモンド)の結晶構造と性質を結合から説明できるようにする。 | 【事前学習】1.5時間 【事後学習】2.5時間 |
第13回 | ・化学結合と物性(2) 固体物性の基礎となるバンド理論を分子軌道の延長として理解し,遷移金属元素の電子配置と物性の関係について理解する。 | 【事前学習】周期表と電子配置・電気陰性度の関係,分子軌道理論による結合の考え方について確認する。 【事後学習】金属とその性質,導体・半導体・絶縁体の違いを,バンド理論で説明できるようにする。遷移金属元素の電子配置を示せるようにし,これに基づいて各元素金属の融点・硬度・電気抵抗などの物性の違いを説明できるようにする。 | 【事前学習】1.5時間 【事後学習】2.5時間 |
第14回 | ・分子集団としての物質の状態 物質の三態(気体,液体,固体)およびプラズマ状態,超臨界状態を,物質の状態とその変化の基礎について理解する(90分)。 | 【事前学習】高校「化学基礎」「化学」で学んだ物質の三態,状態変化について確認する。 【事後学習】各状態の違いと特性について,分子の状態の違いで説明できるようにする。状態曲線の読み方,プラズマ状態,超臨界状態について理解し,説明できるようにする。 | 【事前学習】1.5時間 【事後学習】2.5時間 |
第15回 | ・理解度確認テスト及び振り返り | 【事前学習】本講義全体を通した重要事項の再確認を行う。 【事後学習】講義全体を振り返り,内容の理解度を確認する。 | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
その他
教科書 |
教科書は指定せず,必要な図表はCST-VOICEを通じてPDFで事前に配布する。ダウンロードするなどして,適宜参照すること。
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参考書 |
Peter Atkins 他(渡辺正 訳) 『アトキンス 一般化学(上) [ ISBN-10: 4807908545]』 東京化学同人 2014年 第1版
高度な内容も含まれるが、判りやすくより詳しく解説されている。図版も美しく、より発展的な理解のために役立つ。講義の内容は上巻の範囲だが,卒業後にも十分に役立つ参考書として,いずれは上・下揃えて手元に置くことを勧める。
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成績評価の方法 及び基準 |
授業内の課題および期末の理解度確認テストの成績評価(70%),講義への取り組み姿勢を含めた平常点(30%)で評価する。 |
質問への対応 | 特別の場合を除き,講義の際に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館821室 |
オフィスアワー |
火曜 船橋 18:30 ~ 19:30
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学生への メッセージ |
判らないことは判らないままにしないこと。常に”物質や物質の性質がどのように決まるか?変化する理由は何か(これらはどのように説明できるか)?”を理解し,必要に応じてそれらを実際に説明できるようになるよう,心がけて下さい。 |