2024年 理工学部 シラバス - まちづくり工学科
設置情報
科目名 |
まちづくり人間科学演習
まちづくりを知るためには、「まちを使う人」のことを探求する必要があります
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設置学科 | まちづくり工学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 牟田・八藤後 | 履修期 | 後期 |
単位 | 1 | 曜日時限 | 金曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | E52A |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | まちづくりは人間と環境との関係を最適化する作業である したがって、まちづくりを考えるためにはそれを利用する人間そのものを探求している必要がある。 そのためには、人間がどのように機能的に構成されているのか、またそれらが相互にどのように影響を及ぼし、その結果「身体」や「精神」が形作られ、やがてそれらは統合し、環境と適応していくというプロセスをだどっている。本講義においては、人そのものの探求によって、まちという環境に対し、どのような要求を人がもつのか、快適性、安全性とは人間にとってどのような状態をいうのかを、あらためて考究する。そのためには人間の構造だけではなく、環境との多様な関わりに関する既存の知見を学修し、これらを統合化し、人間にふさわしいまちづくりを探求していくことを目的とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」とします。 (講義と実習)パワーポイントと板書を併用し講義、ならびに実習課題を提示して行う。 授業毎に行う課題の解説は、次授業時に行い、15回目授業課題は授業の最後に解説する。 なお、八藤後 猛は、前職において障害者本人もしくは事業者から、障害者の住環境ならびに職場環境、公共交通環境に関する相談、技術指導、設計・研究業務に携わっていました。 |
履修条件 | 特になし. |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3・4・5・7・8及びCP1・3・4・5・7・8に該当しています。 |
授業計画
第1回 | ■講義:人間と作業環境(1)椅子とテーブル、高さの人間工学(担当:牟田) 人が日常生活を送るための「空間」を作るためには、その最小単位である人体の各部寸法を理解する必要がある。まちに関係するありとあらゆる物の基本の大きさ、物のシステムを考えるために必要な人体各部寸法の基礎知識や、日常的なものの主要寸法との関係を学んでいく。さらに、人体寸法を用いた物の中でもっとも身近な椅子とテーブルを人間工学的視点から捉え、その関係について学ぶ。 キーワード:エルゴノミクス、ヒューマンファクター、人体寸法、スライディングスケール、差尺等 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
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第2回 | ■演習:人間と作業環境(2)椅子とテーブル、高さの人間工学(担当:牟田) 自身の身体寸法を計測し、認識することで日常生活において空間と身体寸法のかかわりについて意識できるようにする。さらに、身体寸法の計測からスライディングスケールの算出、椅子と机の測定をすることで、人体寸法と物の基本の大きさについて考察する。 | 【事前学修】前回授業で学んだ内容を配布資料等を参考にしながら復習しておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、人体寸法と「空間」の関係について考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第3回 | ■講義:人間と作業環境(3)安全と適切な操作器具、作業と動作分析と行動習性(担当:八藤後) 人間工学には「アフォーダンス」という概念があり、誰もが共通してもつ特性や認知、感覚をいう。これをうまく利用すれば、各種操作器具、建築物の設計計画、家具配置等において共通理解に基づいた設計ができる。これによって、誰もが利用しやすい環境設計、安全設計が実現する。しかしこれはまた、この共通特性から外れた人々に対しては、暮らしにくい、不安全な環境となる。このことを理解したうえであらためてアフォーダンスについて考えていく。 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第4回 | ■演習:人間と作業環境(4)安全と適切な操作器具、作業と動作分析と行動習性(担当:八藤後) 「アフォーダンス」は、どのようにして計測するのかを環境場面ごとに考えていく。また、これらの抽出のための方法について、さまざまなテストバッテリーを使用してみる。そのうえでアフォーダンスにも、各自の共通性が高いもの、共通性が希薄なものが存在すること、もしくは人間属性によってそれが変化することを確認する。 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第5回 | ■講義:動作行為別単位空間の計測歩行と段差とつまずき・転倒、床の滑り(担当:牟田) 「空間」には、人、家具、設備等が常に存在し、さらに人はその「空間」の中で生活に必要な動作をしながら日常生活を送っています。このような日常生活動作で、人体の動作寸法に機能的に必要なものの寸法を加えた寸法を「動作寸法」といいます。さらに、日常生活動作のうち、基本動作である「歩行」を取り上げ、そのメカニズムを学ぶとともに、「空間」で「歩行」することによって発生する段差によるつまずきや転倒、滑りの原因を知ることで、安全な「空間」を作り出すための要素について考え、学んでいきます。 キーワード:日常生活動作、動作寸法、単位空間、基本動作、事故、つまずき、転倒、滑り等 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第6回 | ■演習:動作行為別単位空間の計測歩行と段差とつまずき・転倒、床の滑り(担当:牟田) 履物や床材が変化すると 歩行感にどのような影響を与えるのか、履物を変えながら、異なる床材上を歩行し、安全な空間整備について考察を行う。 | 【事前学修】前回授業で学んだ内容を配布資料等を参考にしながら復習しておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、安全な空間整備について考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第7回 | ■講義:人をとりまく見えない空間、プライバシーと集団(担当:牟田) 「空間」には目に見えない人の周りをとりまく空間があります。まず「個」をとりまく空間にはテリトリー、パーソナル・スペース、ソシオペタル・ソシオフーガルがあります。これらは、都市の中の通路や広場公園などの設計においてより快適性のある空間整備の基本知識になります。さらに、「個」があつまり「集団」になることで、「空間」の中に人の流動、対流といった流れや、滞留といった人だまりが発生します。このように、「個(=人)」が「集団」となって行動した時の、行動特性(群集行動)を日常と非日常の両面から解明し、人々が地域で安心・安全に暮らせるための環境改善を学びます。 キーワード:テリトリー、パーソナル・スペース、ソシオペタル、ソシオフーガル、群集行動等 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第8回 | ■演習:人をとりまく見えない空間、プライバシーと集団(担当:牟田) 日常生活で使用する「コレ・ソレ・アレ」を使い、自身が感じている領域を物理量として認識するとともに、自身の目に見えない「個」をとりまく空間との関連について考察する。さらに、教室を使用し、疑似的な群集行動を体験し、その特性や安全な環境整備について考察する。 | 【事前学修】前回授業で学んだ内容を配布資料等を参考にしながら復習しておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、安全な空間整備について考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第9回 | ■講義:空間知覚・触覚認知(含む誘導ブロック、触地図)(担当:牟田) 視覚情報によって、部屋の広さや、高さなど、さらには質感を認知することは知られている。それ以外にも、人は部屋の中に入ってから聞き取る音の周波数帯ごとに異なった反射を認識し、部屋の広さばかりでなく形状までも認知することができる。 また空間知覚による快適性、もしくは不安といったさまざまな感情を、空間によって呼び覚ますことがある。空間の快適性を求めるためには、こうした人の空間認知について知ることが必要である。さらに、視覚障害者用誘導ブロックや触地図が、視覚障害者にどのように知覚されているのか、空間把握に貢献しているのかその現状と問題点についても触れる。それにより、視覚障害者の生活環境もしくはまちづくりにおける安全と快適性について学んでいく。 この講義では、それらの空間認知に関する一般的な知見と共にこれからのまちづくりや建築計画に役に立つ空間設計の方法などについて思考するための基礎とする。 キーワード:知覚、空間知覚、触覚知覚、視覚障害者用誘導ブロック、点字、触地図、音サイン等 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第10回 | ■演習:空間知覚・触覚認知(含む誘導ブロック、触地図)(担当:牟田) 「触知」によって得られる情報から図面をおこすことで、「触知」から得られる情報を認識し、その上で、それを踏まえて、視覚、聴覚、触覚を活用した情報取得方法について考察を行う。 | 【事前学修】前回授業で学んだ内容を配布資料等を参考にしながら復習しておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、安全な空間整備について考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第11回 | ■講義:視覚環境とサイン計画(担当:牟田) 日常生活を送る中で、さまざまな情報を目、すなわち視覚から得ている。その比率は全体の80%とも言われ、多くの情報を視覚から得ている。このように日常生活の中で情報取得手段として重要な視角の特性について学ぶ。さらに、視角による情報取得手段の一つであるサイン計画の基礎について学ぶ。 キーワード:照度、輝度、明度、視界、視界、視認性、誘目性、明視性、識別性、コントラスト等 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第12回 | ■演習:視覚環境とサイン計画(担当:牟田) 視覚障害を疑似体験することでさまざまな「見えにくさ」があることを認識した上で、そのような「見えにくさ」が日常生活の中でどのような不自由をもたらしているか、またその不自由さを工学的解決するためにはどのようなことができるかを考察する。さらに、サイン計画に使用されているマークについて学び、そのわかりやすさについて考察する。 | 【事前学修】前回授業で学んだ内容を配布資料等を参考にしながら復習しておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、安全な空間整備について考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第13回 | ■講義:都市と感染症、放射線と人体への影響空気と換気設備(担当:八藤後) 感染症は、人類の長い歴史において文明の発展とともに常に共存していたといって過言ではない。近年のCOVID-19もそうした流れに沿って発生し広まったものと理解できる。人々は都市におる感染症に対して、どのように対応し社会インフラを整えていったのか、今後のまちづくりは以下にあるべきかをこうした資料を読み解くこと、ならびに環境測定によって解明していく。 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】授業内容、テキスト、配布資料に基づいて復習し、授業において出された課題を達成し、そのうえでより学修内容が深まるように関連する参考書籍、文献、ネット情報に自らアクセスし、その内容をまとめておく。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第14回 | ■演習:都市と感染症、放射線と人体への影響空気と換気設備(担当:八藤後) 放射線は日常的にもわれわれのまわりに存在し、人類もまた一定の放射線被ばくの中で生活している。これ以外にも、医療放射線などによる被ばく量多い環境に曝されていることも多い。東日本大震災では福島第一原子力発電所事故により、多くの放射性物質が拡散し私たちの生活を脅かしている。これらの人体への影響と放射線災害に対する防災まちづくり施策の現状、そして放射線モニタリングポストからの情報の読み取り方、ならびに周囲の放射線量の計測を通し、生活者として放射線を身近な存在として捉えていく。 | 【事前学修】前回授業で学んだ内容を配布資料等を参考にしながら復習しておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、安全な空間整備について考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
第15回 | ■講義と演習:コンピューターアクセス(担当:八藤後) 1980年代にコンピューターがパーソナル化したことにより、人々の生活は一変した。とくに障害者にとって、コンピューターは就労や生活を支援する重要なシステムとなっていった。そのために、コンピューター側には障害者にかぎらず、多様な人々の利用を想定したシステムが組み込まれるようになった。本学修では、コンピューターへ多様な人々がアクセスできるようなシステムが組み込まれていった歴史的変遷と、現在の支援システムを使用し、これらがまちづくりにどのように応用されているか、応用ができるかといった課題にも取り組みたい。 | 【事前学修】上記に示しているテーマに関わるキーワードについて自ら調べまとめておく。 【事後学修】出題された課題について、再度授業内容を振り返り、コンピューターアクセスについて考察を行う。 | 【事前学修】30分 【事後学修】30分 |
その他
教科書 |
とくにありません。
授業において資料等を配布します。
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参考書 |
『福祉住環境コーディネーター2級 公式テキスト 改訂5版』 東京商工会議所 第5版
前半部分に触れます。
後半部分は、住宅都市のユニバーサルデザインにも役立ちます。
福祉住環境2級の受験者にも役立ちます。
随時、授業中に紹介します。
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成績評価の方法 及び基準 |
出席は70%以上であることが、成績評価がされる条件である。 毎回実施される課題による採点(評価) |
質問への対応 | 講義の前後、もしくはメールにより受け付けます。 メールでの回答は、次回以降の講義で回答する場合もあるので予めご了承ください。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室は、第一回講義で開示します。 E-mail 八藤後 yatogo.takeshiアットマークnihon-u.ac.jp 牟田 muta.satokoアットマークnihon-u.ac.jp アットマークを @(半角文字)に置き換えてください。 |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:10 ~ 13:00 他の授業が終わった後など随時
火曜 駿河台 12:10 ~ 13:00 他の授業が終わった後など随時
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学生への メッセージ |
ヒトについての理解は「まち」を理解し,「まちづくり」をするための一歩です. 一緒に学んでみませんか. 福祉住環境コーディネーター2級の受験者にも役立ちます。 |