2024年 理工学部 シラバス - 航空宇宙工学科
設置情報
科目名 | 航空力学Ⅰ | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 菊池 崇将 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H12A |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 航空機の飛行の原理に関わる空気力学の基礎的な事項や考え方を全般的に学ぶ. 航空機に働く空気力(空気力学)に関して,空気力の基本的な特性,空気の流れと物体表面圧力との関係,翼型の空力特性,航空機の高速飛行時に現れる不安定現象,3次元翼の空力特性などの内容の理解を深め,説明することができる. |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業で行う。スライドにまとめた資料と口頭説明の講義を中心に、適宜演習を実施する。 研究所における研究業務をもとに,この科目で学んだ理論と知識が,実際の研究の現場でどのように利用されているかについて解説する. |
履修条件 | 熱力学と流体力学の基礎,流体力学Iを修得していることが望ましい. この授業科目は「未来博士工房対応科目」です. |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3及びCP1・3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | 講義概要の説明:航空力学Ⅰの半年間の講義概要の説明をする. 航空機: 航空機 航空機の定義,航空力学の位置づけ,揚力の種類について説明する. 揚力の発生原理に基づき定義される航空機の分類について説明する.また,航空機の飛行時に機体に作用する力の釣合い関係についても説明する. | 【事前学習】 シラバスの内容をよく読んでおくこと.また,教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に説明した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
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第2回 | 空気力学(1): 空気の性質,流体力学の講義の嘘 現実の空気の力学的特性「粘性」「圧縮性」,時間・空間での変化,状態方程式について説明する. | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第3回 | 空気力学(2): 完全流体の力学 粘性を無視した流れ場での物理法則を説明する。 ベルヌーイの式,動圧・静圧を紹介する。 | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第4回 | 空気力学(3): 実在流体の力学 粘性のある流れ場での物理法則を説明する 摩擦応力,境界層,流れの剥離現象,圧力分布を紹介する | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第5回 | 空気力学(4): 渦と循環 「翼理論」に関わる重要な要素である渦と循環に関する概念を説明する | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第6回 | 空気力学(5): 揚力と抗力,風洞装置 揚力と抗力:流れ中におかれた物体には空気力が作用する.物体に作用する空気力の成分である「揚力」と「抗力」の定義について説明する. 空気力学の実験装置である風洞装置について,話す | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第7回 | 翼(1):翼の重要な用語の確認 航空機で用いられる主翼の形状について,翼を構成する幾何学的要素である「平面形」,「断面形(翼型)」,「空間的な配置」について説明する.また,「幾何平均翼弦」,「空力平均翼弦」,「縦横比」の定義についても説明する. | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第8回 | 翼(2):翼の性能,薄翼理論(1) 翼に作用する空気力である「揚力」,「抗力」,「縦揺れモーメント」の定義を説明し,「風圧中心」と「空力中心」の違いを説明する.また,空気力の特性(「空力特性」)の表し方についても説明する. 翼厚を限りなく薄い条件とした翼に作用する揚力と縦揺れモーメントについて理論的に扱うことができる「薄翼理論」の概念について説明する。 | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第9回 | 翼(3):薄翼理論(2),任意翼型の理論,翼型の表し方 「薄翼理論」の計算過程について説明し,代表的な薄翼である「平板翼」,「放物線キャンバ翼」,「反転キャンバ翼」を例に挙げ,どのような理論解が得られるかを説明する. 等角写像を用いて翼型の特性を計算できる「ジューコフスキー翼」についても概説する. 系統的に開発された翼型として代表的な「NACA4字番号翼型」,「NACA5字番号翼型」,「NACA6字系翼型」を例に挙げ,翼型の表し方や翼型の特性について説明する. | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第10回 | 翼(4):翼型の空力特性(摩擦抗力,失速) 翼型に作用する空気力のうち特に抗力に注目し,層流境界層と乱流境界層で「摩擦抗力係数」がどのように変化するのか説明する.また,空力特性で重要な要素である「翼型の失速」についても代表的な失速例を例に挙げて説明する. | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第11回 | 翼(5):翼型の空力特性(圧縮性の影響),三次元翼での空力特性(誘導抗力) 圧縮性を考慮した状態で翼に作用する空気力の特性がどのように変化するのか,実際の航空機で生じる「不安定現象」を含めて説明する. 翼端をもつ翼(「3次元翼」)で生じる「誘導抗力」の発生原理や,「縦横比」が翼の空力特性に与える影響についても説明する. | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第12回 | 翼(6):三次元翼での空力特性(揚力線理論) 3次元翼では翼幅方向に揚力分布が変化する.その翼幅方向の流れ場の特性について説明する。 翼幅方向の流れ場,揚力分布を計算するための理論である揚力線理論について説明する。 | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第13回 | 翼(7):翼端失速+諸々の話 全機の空力係数の計算方法 「テーパー翼」で現れる「翼端失速」の特性についても説明する.その他に,翼の平面形による空力特性への影響や「ウイングレット」,「高揚力装置」の特性についても説明する. | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第14回 | 総復習 ・この半年で紹介した講義内容を,再度確認する。 ・航空機の飛行情報から,実機の諸元を推定するような,より実践的な演習を実施する。 | 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること. 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと. | 【事前学習】[1] 【事後学習】[2] |
第15回 | 平常試験 | 【事前学習】 半年間の内容を総復習し,全ての演習問題に再度取り組む | 【事前学習】[9] |
その他
教科書 |
牧野光雄 『航空力学の基礎(第3版)』 産業図書 2012年
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参考書 |
李家賢一,新井隆景,浅井圭介 『空気力学入門 [978-4621089934]』 航空宇宙工学テキストシリーズ 丸善出版 2016年
久世紳二 『旅客機の開発史 [978-4902151145]』 日本航空技術協会 2008年
Anderson, J., Fundamentals of Aerodynamics [978-1259129919], McGraw-Hill, 2016, 6 edition
その他にも「航空工学」に関連する書籍は数多くあるので,興味を持ったものを参考書として使ってもらいたい.
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験(100%) 出席状況を平常点として考慮する |
質問への対応 | 講義時間に積極的に質問してほしい。 講義時間外では,オフィスアワーを利用して欲しい。 |
研究室又は 連絡先 |
332号室 kikuchi.takamasa@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
木曜 船橋 13:30 ~ 14:30
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学生への メッセージ |
航空機に興味を持ってもらい,「なぜ飛ぶことができるのか?」「なぜ翼はこのような形状をしているのか?」その理由を理論的に学んでもらいたいです. 講義の進捗の程度をみて,一部内容を変更する可能性がある。 講義時間内の解説を動画撮影する人が居るように思えます。当然,撮影は禁止です。 |