2024年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 科学技術と人間 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 槇野 沙央理 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | Q13V |
クラス | 1年生は「精機・航宇・電気」のみ。2年生以上は全学科。 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 科学は人の生き方にどう関わるでしょうか。科学の営みは、人の認識をどう変化させてきたでしょうか。本講義では、科学史・科学技術史・科学哲学・自然哲学といった歴史および哲学の分野を架橋する、科学に対する人文的アプローチを学んでいきます。これにより、一見すると高度に専門化され、市井の人々の人生観や物事の考え方からは独立に成立するかのように見える科学的営為を捉え直し、諸個人の生の問題および認識のありようを考えるきっかけとして吟味します。 歴史パートでは、自然哲学者ないし科学者と呼ばれてきた人たちが、人間を含むこの大きな宇宙を秩序だったものとして描き出してきたプロセスを検討し、科学的思考の足腰を鍛えます。各論パートでは、科学の営みを集団的に捉え、科学業界の内外において生じてきた文化的問題を検討し、専門家としての科学集団とはどのようなものかを考察します。最後の哲学パートでは、科学がどのような知的営みであるかを、人間の認識の歴史として吟味する方法を学びます。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業 |
履修条件 | ・特になし ・環境ライフサブメジャーコースの指定科目 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・2・3及びCP1・2・3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | イントロダクション①:理系と文系はなぜ分かれたのか | 事前学修 隠岐さや香(2018)『文系と理系はなぜ分かれたのか』、星海社の1章〜2章を読む。 事後学修 問い「理系と文系はなぜ分かれたのか」に対する解答を与える。 | 事前学修2時間、事後学修2時間 |
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第2回 | イントロダクション②:「標準」と「互換性」——個別性・特殊性を捨象することでさまざまな人たちの生活にフィットするものを作る | 事前学修 橋本毅彦(2013)『「ものづくり」の科学史:世界を変えた《標準革命》』、講談社学術文庫の1章〜2章を読む。 事後学修 前掲書3〜4章を読む。 | 同上 |
第3回 | 科学の歴史①古代:科学の起源としてのギリシア自然哲学 | 事前学修 河村豊・小長谷大介・山﨑文徳(2023)『未来を考えるための科学史・技術史入門』、北樹出版の3章を読む。 事後学修 クリストファー・シールズ(2022)『古代哲学入門——分析的アプローチから』、文景楠・松浦和也・宮崎文典・三浦太一・川本愛訳、勁草書房の1章を読む。 | 同上 |
第4回 | 科学の歴史②中世:アラビア文化と12世紀ルネサンス | 事前学修 『未来を考えるための科学史・技術史入門』4章を読む。 事後学修 伊藤俊太郎(2007)『近代科学の源流』、中公文庫の8章を読む。 | 同上 |
第5回 | 科学の歴史③近代:17世紀科学革命 | 事前学修 『未来を考えるための科学史・技術史入門』5章・7章を読む。 事後学修 R. S. ウェストファール(1980)『近代科学の形成』、渡辺正雄・小川眞理子訳、みすず書房の1章を読む。 | 同上 |
第6回 | プレゼンテーションおよびディスカッション これまでの授業内容を踏まえ、有志の者1~2名によるプレゼンテーションおよび、全体でのディスカッションを行う。 | 事前学修 第1回から第5回までの授業内容を復習する。 事後学修 ディスカッションを踏まえ、提起された問題に自分なりの解答を与える。 | 同上 |
第7回 | 各論①:科学とジェンダー | 事前学修 『文系と理系はなぜ分かれたのか』4章を読む。 事後学修 ロンダ・シービンガー(2022)『科学史から消された女性たち』、小川眞理子・藤岡伸子・家田貴子訳、工作舎の5・8・10章を読む。 | 同上 |
第8回 | 各論②:科学とキリスト教 | 事前学修 R. リンドバーク、R. L. ナンバーズ編(1994)『神と自然:歴史における科学とキリスト教』、渡辺正雄監訳、みすず書房の1章・2章を読む。 事後学修 科学とキリスト教との関係について自分なりの関心事をまとめる。 | 同上 |
第9回 | 各論③:科学と専門家の視覚 | 事前学修 ロレイン・ダストン、ピーター・ギャリソン(2021)『客観性』、瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪訳、名古屋大学出版会の図版を確認しておく。 事後学修 客観性および合理性の概念がいかに専門家の科学集団によって形成されてきたかについて自分なりにまとめる。 | 同上 |
第10回 | プレゼンテーションおよびディスカッション これまでの授業内容を踏まえ、有志の者1~2名によるプレゼンテーションおよび、全体でのディスカッションを行う。 | 事前学修 第7回から第9回までの授業内容を復習する。 事後学修 ディスカッションを踏まえ、提起された問題に自分なりの解答を与える。 | 同上 |
第11回 | 哲学的視点①:ポパーの反証主義 | 事前学修 小河原誠(2024)『ポパー 第2版』、ちくま学芸文庫の2章を読む。 事後学修 ポパーの反証主義を学んだ上で、集団の認識とは何かを自分なりにまとめる。 | 同上 |
第12回 | 哲学的視点②:クーンのパラダイムおよび通約不可能性 | 事前学修 トマス・S・クーン(2023)『新版 科学革命の構造』、青木薫訳、みすず書房の序説を読む。 事後学修 科学を歴史的出来事として捉えるための認識論的前提を、自分なりに説明する。 | 同上 |
第13回 | 哲学的視点③:ウィトゲンシュタインの“反”科学 | 事前学修 人類全体への恩恵を志向する科学が、個人をどう規定することで成立してきたかを考える。 事後学修 科学が社会全体の前進及び改良・発展を前提とする歴史観を取ることで、個人の生をどう矮小化するかについて自分なりにまとめる。 | 同上 |
第14回 | プレゼンテーションおよびディスカッション これまでの授業内容を踏まえ、有志の者1~2名によるプレゼンテーションおよび、全体でのディスカッションを行う。 | 事前学修 第11回から第13回までの授業内容を復習する。 事後学修 ディスカッションを踏まえ、提起された問題に自分なりの解答を与える。 | 同上 |
第15回 | 筆記試験(持ち込み可能) | 事前学修 第1回から第14回までの授業内容を復習する。 事後学修 筆記試験をふり返り、今後学修したい領域の文献リストを作る。 | 同上 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
伊藤俊太郎 『近代科学の源流』 中公文庫 2007年
小河原誠 『ポパー 第2版』 ちくま学芸文庫 2024年
隠岐さや香 『文系と理系はなぜ分かれたのか』 星海社 2018年
河村豊・小長谷大介・山﨑文徳 『未来を考えるための科学史・技術史入門』 北樹出版 2023年
橋本毅彦 『「ものづくり」の科学史:世界を変えた《標準革命》』 講談社学術文庫 2013年
R. S. ウェストファール著、渡辺正雄・小川眞理子訳 『近代科学の形成』 みすず書房 1980年
トマス・S・クーン著、青木薫訳 『新版 科学革命の構造』 みすず書房 2023年
ロンダ・シービンガー著、小川眞理子・藤岡伸子・家田貴子訳 『科学史から消された女性たち』 工作舎 2022年
クリストファー・シールズ著、文景楠・松浦和也・宮崎文典・三浦太一・川本愛訳 『古代哲学入門——分析的アプローチから』 勁草書房 2022年
ロレイン・ダストン、ピーター・ギャリソン著、瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪訳 『客観性』 名古屋大学出版会 2021年
R. リンドバーク、R. L. ナンバーズ編、渡辺正雄監訳 『神と自然:歴史における科学とキリスト教』 みすず書房 1994年
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成績評価の方法 及び基準 |
・平常試験70%、授業毎のコメントシート30%にて評価する。 ・15回中6回以上欠席した場合には、単位認定を行わない。 ・筆記試験および単位認定に関わる提出物の作成の際、ネット上の情報をコピー&ペーストしたり、ChatGPT等の生成AIを使用したりした者は、単位認定不可とする。また、不正行為として事務に報告する。 ・授業中に私語をする者に関しては、退室を命ずることがある。 |
質問への対応 | 授業前後に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
makino.deutsch@gmail.com |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
・プレゼンテーション回にて発表した人には、成績評価を行う際に優遇措置を取ります。 ・PMS(生理前不快症候群)をはじめとして、日常生活を送ることを困難にする慢性的な疾患を有し、また、それにより履修に不安を覚える人は、メールにて相談してください。 |