クリティカル・シンキング (S15G S25B S55C T61N T61P T62H T62J)

日本大学理工学部

2024年理工学部シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎

設置情報

科目名	クリティカル・シンキング
設置学科	一般教育	学年	1年 3年
担当者	島村　修平	履修期	後期前期
単位	1	曜日時限	月曜5 火曜5 金曜5 土曜1 土曜2
校舎	船橋駿河台	時間割CD	S15G S25B S55C T61N T61P T62H T62J
クラス
履修系統図	履修系統図の確認

概要

学修到達目標	「クリティカル・シンキング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか？「批判的思考」などと訳されることもありますが、批判すること自体は必ずしも本来の目的ではありません。クリティカル・シンキングとは、与えられた情報や人の意見をただ鵜呑みにするのではなく、自問自答や周囲の人との話し合いを通じて、本当に納得できる考えを見つける（あるいは、それに近づく）ための技術です。この授業では、哲学や論理学の分野で反省的に積み重ねられてきた探究の手法を下敷きとして、こうしたクリティカル・シンキングの要点を学ぶことを目指します。具体的には、接続詞を使いこなす技術、事実と意見を区別する技術、論証を評価する技術、論証の隠れた前提を掘り出す技術、論証を明確な言葉で表現する技術などが含まれます。この講義のもう一つの目標は、そうして学んだ思考の技術を自分にとって身近な問題に当てはめることができるようになることです。このために、身の回りの問題や科学技術に関連するトピックを取り上げ、先の技術を実践的に活用するトレーニングを行います。
授業形態及び授業方法	オンデマンド型授業です。この授業は、①講義と演習中心の回、②ディスカッション（サイレントダイアローグやルーブリックを使った相互評価）の回の二種類の回から成ります。①では、学習する内容の要点を記載したハンドアウトを配布し、それに基づき講義を行い、また関連する演習問題を解いてもらいます。②では、Google Drive上の共有フォルダを用いて、意見交換を行ってもらいます。②の回に限って、本来の開講時限でのオンタイム参加を推奨しますが、都合がつかない人は時間外で参加することも可能です。これら二種類の回からなる入力→咀嚼→出力のサイクルを回すことで、批判的思考の要点を、頭だけでなく、手を使って習得します。
履修条件	履修条件はとくにありません。社会コミュニケーションサブメジャーコース設置科目。
ディプロマ・ポリシー（DP）及びカリキュラム・ポリシー（CP）との関連	本授業科目はDP1・3・4・6及びCP1・3・4・6に該当しています。

授業計画

第1回	イントロダクション: 「クリティカル・シンキング」って何？	【事前学習（30分）】シラバスをよく読んでおく。【事後学習（30分）】配布したハンドアウトを読み、要点を復習しておく。	1
第2回	接続詞を使いこなそう	【事前学習（30分）】日常に潜む「クリシン」の例を探してみる。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第3回	「議論」ってどんな文章？	【事前学習（30分）】第2回のハンドアウトを用いて、その回で学んだ内容を実際に使える状態にしておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第4回	サイレント・ダイアローグ：身の回りの素朴な疑問を掘り起こしてみよう	【事前学習（30分）】SDの題材として、自分にとっての素朴な疑問を見つけておく。【事後学習（30分）】配布物を利用して、SDの成果をまとめておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める	1
第5回	事実と推測・意見を区別しよう	【事前学習（30分）】身近な文章に当たり、そこで事実と意見がどう区別されているかを調べておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第6回	よい批判って何だろう(1)：議論の前提と主題を区別する・暗黙の前提を掘り起こす	【事前学習（30分）】他の人の行う論証を評価する際、自分がどこに気を付けているかを考えておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第7回	よい批判って何だろう(2)：論証図を使ってみる	【事前学習（30分）】「よい批判」とはどんな批判だろうかということについて、自分なりに考えておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第8回	サイレント・ダイアローグ：哲学の問題に挑戦！	【事前学習（30分）】自分にとって気になるけれども、簡単には答えが出なさそうな問いを見つけておく。また、それまでの講義内容を復習し、使える状態にしておく。【事後学習（30分）】配布物を利用して、SDの成果をまとめておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第9回	推測とその評価：仮説形成とは何か	【事前学習（30分）】日常の中で自分が行っている推論・推測の例を三つ見つけておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第10回	否定は案外難しい：否定と演繹	【事前学習（30分）】身の回りで否定が印象的に使われている文を一つ見つけておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第11回	条件構造に敏感になろう	【事前学習（30分）】身の回りで条件構造を表す文を見つけておく。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第12回	ルーブリックって何だろう――相互評価を通じて議論の質を高めるために	【事前学習（30分）】「ルーブリック」についてインターネットで調べてみる。【事後学習（30分）】ハンドアウトを使って、要点を復習しておく。また、図書館に行って関連文献に当たり、理解をさらに深める。	1
第13回	ディープ・サイレント・ダイアローグ①：素材づくり	【事前学習（30分）】DSDに備え、自分の問いを見つけ、それに対する考えをまとめておく。【事後学習（30分）】DSDで生まれた素材を元に相互評価の対象となる素材を作成する。	1
第14回	ディープ・サイレント・ダイアローグ②：ルーブリックに基づく相互評価と提案	【事前学習（30分）】ルーブリックを復習し、使える状態にしておく。【事後学習（30分）】自分の素材に対する相互評価の結果を踏まえ、改善点について考える。	1
第15回	総まとめと理解度確認テスト	【事前学習（60分）】これまでの内容を復習し、理解度確認テストに備える。	1

その他

教科書
参考書	楠見孝・道田泰司『批判的思考　21世紀を生き抜くリテラシーの基盤 [9784788514140]』新曜社 2015年アン・トムソン『論理のスキルアップ　実践的クリティカル・リーズニング入門 [9784393323069]』春秋社 2008年伊勢田哲治（他）『科学技術をよく考える　クリティカルシンキング練習帳 [9784815807283]』名古屋大学出版会 2013年野矢茂樹『新版　論理トレーニング [‎9784782802113]』産業図書 2006年野矢茂樹『論理トレーニング101題 [9784782801369]』産業図書 2001年 NHK『ロンリのちから』製作班『ロンリのちから [9784837926160]』三笠書房 2015年シャロン・ケイ、ポール・トムソン『中学生からの対話する哲学教室 [9784472404467]』玉川大学出版部 2012年野矢茂樹『大人のための国語ゼミ [9784634151215]』山川出版社 2017年 NHK『ロンリのちから』製作班（著）、野矢茂樹（監修）『「ロンリ」の授業 [9784837927648]』三笠書房 2019年
成績評価の方法及び基準	平常点（講義・演習回は小テストの回答あるいは提出物で採点）：70% オンラインでの理解度確認テスト：30%
質問への対応	授業に関する質問は、下記のメールアドレスで受け付けます。
研究室又は連絡先	shimamura.shuuhei@nihon-u.ac.jp
オフィスアワー
学生へのメッセージ	批判的思考はとても汎用性の高い技能です。一人の市民として、あるいは専門知を身に付けた技術者・科学者として、批判的思考の力が求められる場面は様々に考えられます。それは、誰かの話をきちんと理解したいとき、自分自身や周囲の人や社会にとって大事な事柄について納得行くまで考えたいときなどです。批判的思考の訓練は一人でももちろんできますが、仲間と力を合わせて訓練することで、その効果を一層実感できるでしょう。この授業を通じて、普段とは少し違う、新しい頭の使い方をぜひ体験してみてください。

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