2024年 大学院理工学研究科 シラバス - 物質応用化学専攻
設置情報
科目名 | 高分子合成化学特論 | ||
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設置学科 | 物質応用化学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 青柳 隆夫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜4 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L24A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 環境、エネルギー、医学分野などの分野で、機能性高分子材料が用いられている。本講義を受講することにより、用いられている材料の構造と機能を関連づけができるとともにその技術を説明できるようになる。さらに、最先端の機能性高分子材料関連分野の知識を深め、的確に説明できるようになる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
パワーポイントを用いて対面での講義を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部講義で行われた「高分子化学」、「高分子合成化学」の内容に関して復習しておくこと。特に、連鎖重合の項目についてよく復習しておくこと。 |
授業計画
第1回 | 開講に当たり、講義の進め方、成績の評価について説明する。高分子材料開発における分子設計の重要性を説明する。 | 事前学修;ラジカル重合、イオン重合など高分子合成反応の復習 事後学修;合成高分子、天然高分子の特徴を整理し、分子量および分子量分布の制御の意義を理解する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
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第2回 | 高分子合成(1)精密重合法と高分子構造 均一な分子量分布を目指したリビングラジカル重合法の特徴について解説する。 | 事前学修;ラジカル重合、遷移金属の配位、配位子などに関しての予習 事後学修;遷移金属、安定ラジカル種を用いたリビングラジカル重合機構を理解し、反応式を書けるようにする | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第3回 | 高分子合成(2)連鎖構造と機能について 機能性高分子を得るのに有効な可逆的負荷開裂連鎖移動重合(RAFT重合)と得られるブロックコポリマーの機能制御について解説する。 | 事前学修;ラジカル重合における連鎖移動反応などに関しての復習 事後学修;RAFT剤を用いたリビングラジカル重合機構を理解し、反応式を書けるようにする | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第4回 | 高分子の連鎖設計論と機能材料への応用展開(1)分岐ポリマーを中心として グラフトポリマー、多数の分岐点を有するハイパーブランチドポリマーなどの例を紹介する。特にデンドリマーについてその構造と機能について取り上げる。 | 事前学修;リビングラジカル重合、RAFT重合の反応機構の復習 事後学修;分岐ポリマーの特徴や合成法を関して、例示しながら簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第5回 | 高分子の連鎖設計論と機能材料への応用展開(2)表面、界面での高分子化学 固体表面への高分子の導入方法について解説する。特に表面グラフト重合法と機能材料への応用について紹介する。 | 事前学修;リビングラジカル重合、RAFT重合の反応機構の復習 事後学修;合成高分子の固体表面修飾の意義とその方法について、例示しながら簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第6回 | 高分子の連鎖設計論と機能材料への応用展開(3)無機材料とのハイブリッド 有機―無機ハイブリッド材料について解説する。異種界面を接合させるための最近のアプローチについて紹介する。 | 事前学修;シランカップリング反応およびゾルゲル法について予習しておく 事後学修;合成高分子と金属、セラミックスなどの無機系材料との複合化、界面反応について、例示しながら簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第7回 | 高分子自己修復材料 自己修復とは何か、どのような材料設計が行われているか、その応用は、などについて解説する。 | 事前学修;共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、疎水性相互作用を復習しておく 事後学修;自己修復材料に関して例示しながら簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第8回 | 高分子形状記憶材料 形状記憶合金との相違、実際の高分子形状記憶材料の性質およびその応用例について解説する。 | 事前学修;合成高分子の融点、ガラス転移温度など高分子の固体物性を復習しておく 事後学修;形状材料に関して、形状記憶合金との違いを理解し、高分子形状記憶材料に関して例示しながら簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第9回 | 高分子分離膜材料 環境、エネルギー、医療へ応用される膜材料について解説する。逆浸透膜、限外濾過膜などへ応用される膜材料、分離のメカニズム、Fickの拡散方程式についても触れる。 | 事前学修;化学工学における膜分離に関して復習しておく 事後学修;分離膜の合成法を理解し、分離対象と用いる膜分離法を簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第10回 | 高分子光学材料 光学レンズ、光ファイバー、レジスト材料、非線形光学材料フォトクロミック材料などについを解説する。 | 事前学修;光の屈折、光反応に関してまた、高分子材料の種類に関して復習しておく 事後学修;光学系高分子材料を理解し、フォトレジストの手順やフォトクロミックのメカニズムを簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第11回 | 導電性高分子材料 電子伝導、イオン電導、燃料電池などのメカニズムと実際に用いられる高分子材料の特徴を紹介する。 | 事前学修;ポリアセチレン、高分子電解質に関して予習しておく 事後学修;電子伝導、イオン電導、燃料電池などのメカニズムと実際に用いられる高分子材料の特徴を簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第12回 | 生体適合性高分子材料とドラッグデリバリーシステム 高分子材料が生体適合性を獲得するにはどのようなアプローチがなされてきたか、その歴史も紹介しながら最近の研究を論じる。また、ドラッグデリバリーシステムの概念と機能性高分子材料が果たす役割を論じる。 | 事前学修;タンパク質の吸着、変性、細胞の構造と機能に関して復習しておく。また、膜材料の時に説明したFickの拡散方程式についても復習しておく 事後学修;高分子材料と生体分子との界面反応に重要性を理解し、生体適合性獲得のアプローチを例示できるように復習する。ドラッグデリバリーの意義やその方法、製剤例を簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第13回 | スマートポリマーの医療分野への応用 スマートポリマーとは何か、その材料設計論およびドラッグデリバリーシステム、再生医療などの医療分野への応用について解説する。 | 事前学修;生体適合性材料とドラッグデリバリーシステムを復習しておく 事後学修;スマートポリマーの種類やメカニズムを例示できるように復習する。再生医療への応用例を簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第14回 | 講義の総まとめを行う。 これまで紹介した例を取り上げながら、機能性高分子材料の設計について論じる。最後に、レポート課題の内容を発表する。 | 事前学修;2回から14回に紹介した高分子精密合成や得られる機能性高分子に関して復習しておく 事後学修;機能性高分子の種類や応用例、スマートポリマーを用いた新材料研究を簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第15回 | 提出されたレポート課題の講評と各論の重要ポイントを復習する。 | 事前学修;2回から14回に紹介した高分子精密合成や得られる機能性高分子に関して復習しておく 事後学修;機能性高分子の種類や応用例、スマートポリマーを用いた新材料研究を簡単に説明できるように復習する | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
その他
教科書 |
教科書は特に指定しない。講義に必要な資料がある場合は都度配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
青柳隆夫 監修 『全章』 医療用バイオマテリアルの研究開発 シーエムシー出版 2017年 第1版
Ebara, M., Kotsuchibashi, Y., Narain, R., Idota, N., Kim, Y.-J., Hoffman, J.M., Uto, K., Aoyagi,T., 全章, Smart Biomaterials, Springer, 2014, 1 edition
それぞれの参考書は、12-14回の講義の参考に適している。
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成績評価の方法 及び基準 |
提出されたレポート(14回目に課す)内容によって評価する。試験は実施しない。15回目にレポートのポイントを説明し、提出されたレポートに関してフィードバックする。60点以上を合格とする。(レポートの内容のみで評価する(100%)) |
質問への対応 | 授業終了後、随時対応する。研究室への訪問,E-mailでの問い合わせでもよい。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎2号館 有機材料化学研究室 E-mail: aoyagi.takao@nihon-u.ac.jp Tel; 03-3259-0433 |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 14:00 ~ 18:00
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学生への メッセージ |
最先端の機能性高分子材料に関する知識を身につけることを期待する。 |