2024年 大学院理工学研究科 シラバス - 物質応用化学専攻
設置情報
科目名 |
応用化学特別講義Ⅳ
SDGs・地球温暖化対策と応用化学
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設置学科 | 物質応用化学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 風間 伸吾 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L25A |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 地球温暖化、海洋プラスチック汚染、エネルギー問題、食料不足など、人類がサステナブルな発展を遂げるために解決すべき社会課題が多く存在する。これらの課題の解決に高分子化学を中心に応用化学がどのように貢献しているか、今後どのように貢献できるか、について理解して、自らの改善策を対案する能力を養う。 |
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授業形態及び 授業方法 |
スライドを用いる講義を中心に、講師との対話の時間を取り入れる。 民間企業と公的研究機関における地球温暖化対策のための応用化学の研究開発の実務経験をもとに、地球温暖化問題などの国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals(SDGs))」の実現に、高分子化学を中心に応用化学が貢献している実例を解説し、更なる貢献のために何をすべきかを議論する。高分子化学の基礎を学び、高分子化学が関わる社会課題の解決方法を考察する。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部で履修した講義についての予備知識を有することを前提として講義する。次週の講義内容の概要を説明するので、必要な知識は既習の教科書、参考書で予習することが望ましい。重要な基礎知識は授業中に解説する。 |
授業計画
第1回 | 『サステナブルな社会と応用化学の貢献』 開講に当たり、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals(SDGs))」の実現に向けた国や企業の取組みについて解説して、SDGsにおける高分子化学を中心とした応用化学の役割についての理解を深める。 | 事前学習:「持続可能な開発目標(SDGs)」の内容と意義を予習する。 事後学習:SDGsにおける応用化学の役割を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
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第2回 | 『身近な高分子とSDGs』 ポリエチレンなどの身近な高分子について化学構造、物性と用途を解説する。SDGsの中から解決したい目標と、身近な高分子からマイポリマーを選び、目標の実現するためのマイポリマーの課題を確認する。以降の授業で、選んだマイポリマーの改良方法を習得する。 | 事前学習:身近なプラスチック製品に使用されている高分子を調べて整理する。 事後学習:選定したマイポリマーの用途、物性を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第3回 | 『つくる責任つかう責任(SDGs目標12)と高分子』 国内で年間に1,000万トンを超えるプラスチックが生産されている。これらプラスチックのリデュース、リユース、リサイクル(3R)を中心に、応用化学の視点からサーキュラーエコノミーを解説する。 | 事前学習:プラスチックごみ問題を調べて、整理する。 事後学習:プラスチックの3Rを理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第4回 | 『海の豊かさを守ろう(SDGs目標14)と高分子』 マイクロプラスチックなどの海洋プラスチック問題と、その解決に貢献する生分解性プラスチックを解説する。海洋国家である日本が、海の恵みの恩恵を受けるために応用化学が貢献すべきことを学ぶ。 | 事前学習:海洋プラスチック問題を調べて、整理する。 事後学習:海の豊かさに貢献する高分子を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第5回 | 『住み続けられるまちづくりを(SDGs目標11)と応用化学』 住み続けられる街づくりに重要な役割を果たす応用化学を勉強する。例えば、水道インフラに用いるポリ塩化ビニル、保温材に用いるポリスチレンの合成と物性を中心に解説する。 | 事前学習:街づくりに用いる高分子を調べて、整理する。 事後学習:街づくりに用いる高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第6回 | 『産業と技術革新の基盤をつくろう(SDGs目標9)と応用化学』 自動車産業を支える高分子の種類と物性を中心に、産業と技術革新の基盤を支える応用化学の役割を解説する。 | 事前学習:産業に用いる高分子を調べて、整理する。 事後学習:産業に用いる高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第7回 | 『安全な水とトイレを世界中に(SDGs目標6)と応用化学』 安全な水を得るために用いる精密ろ過膜、限外濾過膜などの分離膜に用いる高分子と製膜方法を中心に応用化学の役割を解説する。合わせて、トイレで使用した水を浄化する技術に用いる分離膜を解説する。 | 事前学習:安全な水つくりに必要な高分子などを調べて、整理する。 事後学習:安全な水に用いる高分子などを理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第8回 | 『地球温暖化の基礎』 SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」で取り上げられている地球温暖化について、温暖化のメカニズム、対策についての基礎を学ぶ。 | 事前学習:地球温暖化について調べて、整理する。 事後学習:地球温暖化を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第9回 | 『気候変動に具体的な対策を(SDGs目標13)と応用化学』 化石燃料の燃焼で火力発電所等などから排出されるCO2を分離回収する高分子膜を中心に、応用化学の貢献について解説する。ここでは、高分子の化学構造、物性とガス分離性能の関係を学ぶ。 | 事前学習:CO2排出量削減に貢献する高分子などを調べて、整理する。 事後学習:CO2排出量削減に貢献する高分子などを理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第10回 | 『エネルギーをみんなにそしてクリーンに(SDGs目標7)と応用化学』 エネルギーは文化的な生活を営むために不可欠である。CO2を排出しない再生可能エネルギーのバイオマス、人工光合成 水素製造などの製造における応用化学の役割を解説する。 | 事前学習:エネルギーに貢献する応用化学の技術を調べて、整理する。 事後学習:エネルギー創成に用いる応用化学の技術を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第11回 | 『カーボンニュートラルとカーボンリサイクル』 化石燃料に代わり、大気中などのCO2から高分子や再生可能な燃料を合成するカーボンリサイクルがカーボンニュートラルで果たす役割について解説する。 | 事前学習:カーボンリサイクルを調べて、整理する。 事後学習:カーボンリサイクルを理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第12回 | 『陸の豊かさも守ろう(SDGs目標15)と応用化学』 陸上では多くの天然高分子が生産されている。また、農業では多くの合成高分子が使用され、砂漠の緑地化にも高分子が用いられる。これらの高分子を中心に応用化学の重要性を解説する。 | 事前学習:陸の豊かさに貢献する高分子などを調べて、整理する。 事後学習:陸の豊かさに貢献する高分子の物性などを理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第13回 | 『飢餓をゼロに(SDGs目標2)・すべての人に健康と福祉を(SDGs目標3)と高分子』 飢餓の解決と医療・福祉の分野で私たちの健康を支える高分子を解説する。食品ロスに役立つ包装材料と、医療器具、コンタクトレンズ、福祉用途、衣服の繊維などで用いられる高分子について学ぶ。 | 事前学習:飢餓ゼロや健康と福祉に貢献する高分子を調べて、整理する。 事後学習:飢餓ゼロや健康と福祉に貢献する高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第14回 | 『レポート作成』 授業で学んだSDGs・地球温暖化対策に貢献する高分子の知識を活かして、マイポリマーの改良方法を考察してレポートを作成する。 | 事前学習:第2回から第13回で学んだ高分子と基礎知識を復習しておく。 事後学習:マイポリマーの改良方法を理解して、簡単に説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第15回 | 『総括』 作成したレポートを発表して、皆で小討論を行う。講義全体を総括する。 | 事前学習:マイポリマーがどのようにSDGsに貢献するかを説明できるようにしておく。 事後学習:SDGsに貢献するマイポリマーの役割を理解して、説明できるようにする。 | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
その他
教科書 |
教科書は特に指定しない。講義に必要な資料がある場合は都度配布等する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
SDGsに関しては、国際連合広報センターのHP(日本語)など。
https://www.unic.or.jp/
その他の資料は授業の中で、適宜に紹介する。
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成績評価の方法 及び基準 |
出欠を兼ねた毎回の小テスト、および理解度を確認するレポート。評価比率は50%/50%。 |
質問への対応 | 授業中の質問を歓迎します。 授業中以外の質問は電子メールアドレスで受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
電子メールアドレス: kazama.shingo21@nihon-u.ac.jp メールの「件名」に、【応用化学特別講義Ⅳ】と記入してください。 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
社会課題の解決に向けて、高分子を中心に応用化学がどのように貢献できるかを一緒に考えましょう。 |