2024年 大学院理工学研究科 シラバス - 物質応用化学専攻
設置情報
科目名 | 高分子物性特論 | ||
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設置学科 | 物質応用化学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 伊掛 浩輝 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L32A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 高分子の特筆すべき物性は,母材となる分子が大きいことに起因する。このため,材料の基本物性である弾性,粘性,塑性といったすべて性質を示す。この講義では,これらの基本物性について概説し,整理することで高分子の特徴がより具体的に理解できるようになる。この講義では,(1) 弾性および粘性についての基礎的な知識。(2) 高分子特有の粘弾性体の現象論と分子論。(3) 動的挙動の側面から見た粘弾性体の分子論。これら(1)から(3)の項目を系統的に理解し身に付けることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業。予め配付する授業資料に基づき解説する。各自で該当の資料を印刷,通読した上で授業に臨むこと。また,資料で指定する教科書の該当ページも通読すること。資料をスクラップすると授業ノートとして活用でき,各自の参考書ともなり得る。A4サイズの資料が綴じられるファイルを準備すると良い。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部に設置される「高分子科学」,「高分子合成化学」,「高分子物性」,「高分子材料」を履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 『高分子物性特論』についての概説 受講/授業の動機付け。履修上の注意として成績評価と基準,問合せ先などを周知する。 | 【事前学習】シラバスおよび授業資料を確認する 【事後学習】授業に参加し,受講および授業に係る疑問点を解消する | 事前学習に1時間 事後学習に1時間 |
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第2回 | ガラス転移 ガラス転移,相転移とガラス転移,ガラス転移温度と分子構造・分子量依存性,共重合体のガラス転移温度について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第3回 | 高分子結晶 結晶構造パラメーター,結晶の融解,分子量依存性・共重合体の融点,ガラス転移温度と融点について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第4回 | 粘弾性体1 粘弾性体とは,固体の弾性について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第5回 | 粘弾性体2 等方体の弾性率,弾性の原因について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第6回 | 液体の粘性 ニュートン液体,非ニュートン液体,粘性理論 -Eyringの理論-について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第7回 | 静的粘弾性1 粘弾性モデル,Maxwellモデル・静的性質,Voigtモデル・静的性質について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第8回 | 静的粘弾性2 4要素モデル,静的粘弾性一般論,一般的緩和理論・クリープ理論について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第9回 | 重ね合わせの原理1 Boltzmannの重ね合わせの原理について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第10回 | 重ね合わせの原理2 時間-温度の重ね合わせの原理,自由体積理論による粘性率の温度依存性について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第11回 | 動的粘弾性1 動的粘弾性,動的粘弾性の基礎,動的粘弾性における理想弾性体・理想粘性体,Maxwellモデルでの解析例,動的挙動の一般的関係について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第12回 | 動的粘弾性2 粘弾性体のエネルギー損失,分布関数・粘弾性の分子論,動的粘弾性測定について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第13回 | 誘電緩和 物質の電気的性質,誘電緩和,電場下における誘電挙動,貯蔵/損失誘電率の物理的解釈について学習する。 | 【事前学習】授業資料を読み,理解できない箇所を明確にし質問できるようにする 【事後学習】課題を利用して復習する.不明な点を調べ,質問し,疑問点を解消する | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
第14回 | 授業総括 理解度確認 「高分子物性特論」で学習した内容を総括し理解度を確認する。 | 【事前学習】これまでの学習内容をふり返る。授業資料を読み理解できない箇所を調べておく。 【事後学習】模擬テストを利用して復習するとともに模擬テストで取り扱った専門用語やトピックを整理する。同じく取り扱った数式や単位系についても整理する。 | 事前学習に3時間 事後学習に3時間 |
第15回 | 理解度 解説および質疑応答 理解度確認 解答と解説,疑問点への補足説明,授業総括-第1回をふり返って- | 【事前学習】理解度の際に理解できなかったところを整理する。授業をふり返り質問をまとめる。授業資料を読み理解できな箇所を調べておく。 【事後学習】理解度確認への解説を聞き解き直しする。わからない箇所を明らかにし質問をまとめる。高分子物性,関連事項について調べまとめる。これまでの課題をふり返り,数式の適用条件を含め解法に慣れるように努めること。 | 事前学習に2時間 事後学習に2時間 |
その他
教科書 |
妹尾学,澤口孝志,清水繁,伊掛浩輝 『基礎 高分子科学 改訂版』 共立出版 2018年 第1版
教科書の5章を中心に学習を深める。高分子の固体物性を概説するとともに,理解を深めるために授業内容に関連する分野についても教科書の他章やそれ以外から,また,学術論文などからも紹介と解説を加える。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
参考書は指定しない。単元に応じて参考図書,文献などを紹介する。並行して,図書館などを大いに利用し,手にとってわかりやすい図書をぜひ見つけてほしい。
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成績評価の方法 及び基準 |
単元ごとに実施する課題(40%),理解度確認総合演習(60%)とし,総合点を100点満点とし評価する。 |
質問への対応 | 以下の方法の中から自身にあった方法で質問のこと。課題等への正答,解説は全体向けであり,個々の学習/理解状況を反映していない。質問することで学習効果が上がる。疑問を必ず解消すること。 [1] 授業終了後に教室で質問 [2] Zoom利用によるオンライン質問 (事前予約制.日時も相談に応じる.友人同伴の参加可) [3] メールでの質問 (件名: 高分子物性特論への質問/本文: 所属先,学生番号,氏名を明記) |
研究室又は 連絡先 |
高分子工学研究室(駿河台校舎2号館1階214室) E-mail: ikake.hiroki@nihon-u.ac.jp/電話: 03-3259-0823(直通) |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 15:00 ~ 16:30 メールによる事前予約制
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学生への メッセージ |
今日では身近な素材である高分子だが,その基本的な性質であるはずの力学的性質を理解するだけでも大変険しいものがある。多くの専門用語,いくつもの複雑な数式が紹介されている。この授業では,単元別に基本事項を整理した上で,一歩ずつ理解を深めていきたい。高分子を専門としていない諸子にも苦手意識を持たずに,まずは授業に参加してほしい。 |