2024年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 磁気流体力学Ⅱ | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 飯尾 俊二 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M31B |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 核融合プラズマに理解に不可欠な理想的電磁流体力学を、教科書 Jeffrey P. Freidberg "Ideal MHD"に沿って学ぶ。教科書の分量が多いので、本筋ではない部分は端折る。 板書できない多くの箇所についての教科書本文と図や式をスライドにしたpdfをダウンロードできるようにするので、重要な式は自分で導出するのが望ましい。記憶する必要はないが、磁場閉じ込めプラズマ関連の論文を読むときの基礎となる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 講義形式 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予備知識:F. F. Chen(著), 内田 岱二郎 (訳)「プラズマ物理入門」と同等程度。電磁気学や偏微分方程式に慣れていること。 |
授業計画
第1回 | 理想的電磁流体力学(Ideal MHD): マクスウェル方程式とボルツマン方程式から2流体運動方程式を導出し、保存則について議論する。 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
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第2回 | 理想MHDについての一般的特性 境界条件、局所的保存則 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第3回 | MHD平衡 ビリアル定理、磁気面、プラズマβ、安全係数、トロイダル平衡 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第4回 | 1次元MHD平衡: θピンチ、zピンチ、スクリュー・ピンチ、逆転磁場ピンチ | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第5回 | 2次元MHD平衡: Grad-Shafranov方程式の導出 プラズマ・ベータ、安全係数 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第6回 | Grad-Shafranov方程式の解析解 ソロビエフ分布を利用して、非円形断面トカマクや球状トカマクのMHD平衡の解析解を導出 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第7回 | MHD安定性: MHD安定性の定義、無限一様プラズマ中の波 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第8回 | 一般化線形安定性解析式、力の作用素: プラズマの微小変位が引き起こすエネルギー変化を、理想的電磁流体方程式から導出 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第9回 | エネルギー原理: プラズマの微小変位が引き起こすエネルギー変化に関して、プラズマ内部だけでなく、プラズマ表面、真空中にたくわえられるエネルギーを定式化 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第10回 | エネルギー変化の自己共役形 理想MHD不安定性の分類 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第11回 | 1次元プラズマにおけるMHD不安定性 代表的な1次元磁気閉じ込めプラズマであるθピンチおよびzピンチを例とし、MHD安定性の判別を論ずる。 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第12回 | 2次元プラズマにおけるMHD不安定性 スクリュー・ピンチや高アスペク化の極限である直線トカマクについて、電流駆動ディスラプションと避けることのできないキンク・モードを論じる。 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第13回 | 線形運動方程式に基づく安定性解析 Rayleigh-Taylor 不安定性と Kruskal-Schwarzschild 不安定について論じる。 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第14回 | トーラス・プラズマの安定性解析 キンク・モードと高ベータ不安定性について論じる。 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第15回 | 抵抗不安定性 磁気リコネクションとティアリング不安定性について論じる。 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
その他
教科書 |
Jeffrey P. Freidberg, Ideal MHD, Cambridge University Press, 2014, 1 edition
プラズマ磁場閉じ込めの研究に不可欠な理想的電磁流体力学(Ideal MHD)の専門書の定番。前著の"Ideal magnetohydrodynamics"は1987年に出版され、絶版後5倍以上の高値が付いた本だった。本書は改訂版である。式の導出は丁寧で、優れた英文で書かれており、英語の勉強にもなる。
第1回のみ、同じ著者による"Plasma Physics and Fusion Energy", Cambirdge Univ. Press (2007) 第10章に基づいて式を導出する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
内田岱二郎・井上信幸 『核融合とプラズマの制御 下』 原子力工学シリーズ 12 東京大学出版会 1982年 第1版
磁場閉じ込め核融合プラズマを理解するのに必要な事項が要領よく記載されている。
Freidberg 先生の教科書は後半で難解になる上に抵抗性不安定性を扱っていないため、最後の3回はこの参考資料に沿って講義する。
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成績評価の方法 及び基準 |
レポート点数の合計で評価する。 レポート受付終了後に解答例をClassroomにアップロードする。 |
質問への対応 | メールで対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
iio.shunji@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
核融合プラズマの研究には理想的電磁流体力学(Ideal MHD)の理解が不可欠です。Ideal MHDでも十分難しいのですが、専門書として詳述されており、一緒に解読しましょう。非線形MHDは扱いません。 |