2025年 理工学部 シラバス - 土木工学科
設置情報
科目名 | 物質の構造と状態 | ||
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設置学科 | 土木工学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 小泉 公志郎 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜5 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | A15A |
クラス | Aクラス |
概要
学修到達目標 | 「物質」についての知識は,「材料化学」や「環境学」を学ぶ上で基礎的な情報として必須である。この「物質」の性質や反応を理解するには,微視的に(ミクロな視点で)原子や分子を理解することが重要である。「物質の構造と状態」ではこのような見方を通して,物質とこれに関わる現象を理解・説明できるようにする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」にて実施予定。(ただし感染症の蔓延等で対面授業が実施できない場合は学部の指示によりオンライン形式に変更になる可能性あり) 授業で解説に使用したスライドを別途PDFファイルとして提供し,予習・復習に活用する。 毎回の振り返り(課題提出)はCST-VOICEを通して行い,基本的に翌週の授業にて解説予定。 |
履修条件 | ・基礎教育科目・基礎科学分野(化学系)〔※2単位以上必須〕の選択科目の1つ |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3及びCP1・3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | 科目概要の解説および基礎的事項の確認 高校までの化学との違い,化学の方法と特徴を理解する。 | 【予習】シラバスを参照し,科目の概要を確認して講義に臨むこと。 【復習】「化学とは何か?」「化学と技術の関係」「化学による物事の解明の一般的な方法」について説明できるようにすること。また,周期表を見直し,各元素の枠中にどのような内容が含まれているのか整理しておくこと。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
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第2回 | 物質の構造・性質の理解とその歴史的過程 物質についての考え方とその解明の過程を知り,その途上に現在があることを理解する。 | 【予習】参考書などを元に「元素の情報」「同位体と原子量」について閲覧しておくこと 【復習】配布したスライドを元に,原子量・分子量,同位体とその考え方,などについて再確認すること。また安定同位体の存在割合と原子量の関係を説明できるように復習すること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第3回 | 原子の構造,原子スペクトル 原子構造の解明のための実験過程と,その中で明らかになった古典力学の限界を理解する。 | 【予習】参考書などを元に「原子の構造」「原子スペクトル」について閲覧しておくこと 【復習】配布したスライドを元に,「原子の電子軌道」の考え方,などについて再確認すること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第4回 | 量子論的原子モデル:ボーアの原子模型,量子論の考え方 現在の物質の構造・性質の理解の基礎となる量子力学的な考え方と,これに基づく原子モデルについて理解する。 | 【予習】参考書などを元に「ボーアの原子モデル」について参照しておくこと 【復習】配布したスライドを元に,「ボーアの原子モデル」の考え方,およびその限界などについて再確認すること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第5回 | 量子論的原子モデル:電子配置とその規則(構成原理) 波動として説明される原子軌道(オービタル)の種類(形状・エネルギー)と軌道への電子の入り方(電子配置)のルールを理解し,各元素の電子配置・エネルギー準位・形状をイメージできるようにする。 | 【予習】参考書などを元に,電子雲モデルについて概略を予習しておくこと 【復習】原子軌道の種類と形状,エネルギー準位,電子配置の規則(構成原理)を説明できるようにし,原子番号21番(Sc)までの元素の電子配置と原子の形状を全て示せるようにすること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第6回 | 元素の性質(イオン化エネルギー,電子親和力,原子・イオン半径)の周期性 元素の基本的性質が電子配置から説明できること,それが主に有効核電荷の違いに基づくことを理解する。 | 【予習】参考書などを元に,イオン化エネルギー,電子親和力の概略をしらべておくこと 【復習】原子番号11番(Na)までの元素の第一イオン化エネルギーの変化の特徴を,有効核電荷の変化と原子構造の違いで説明できるようにすること。遮蔽の考え方を理解し,有効核電荷を計算できるようにすること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第7回 | 化学結合:分子軌道理論による結合の理解 原子軌道が重なることで形状・エネルギーが変化し(分子軌道の形成),これによって原子間の結合力及び反発力を生じた結果として化学結合が形成されることを理解する。 | 【予習】参考書などを元に,「分子軌道」の概略を調べておくこと 【復習】H分子の形成,Heなどの希ガス元素が結合を作らない理由,光エネルギーによる結合の切断などを,分子軌道理論で説明できるようにすること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第8回 | 化学結合(1):多重結合(σ結合とπ結合),混成軌道の考え方 原子軌道の重ね方の違いにより多重結合が可能となることや,重ねた軌道を再構成してより安定な結合を作ることを理解する。 | 【予習】参考書などを元に,「混成軌道」の概略を調べておくこと 【復習】原子軌道の重なり方(σとπ)の違いを理解し,σ結合とπ結合の構造・性質の違いを説明できるようにする。各混成軌道(sp〜sp3)の形状・性質の違いを説明できるようにすること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第9回 | 化学結合(2):混成軌道と有機化合物の分子構造 炭素が形成する複雑な分子の形状・性質が,主に混成軌道に基づいて説明できることを理解する。 | 【予習】参考書などを元に,混成軌道のタイプと電子運の形状の関連を調べてみること 【復習】混成軌道・多重結合の考え方をもとに,炭素化合物をはじめとする簡単な分子の結合と分子形状,性質について説明できるようにすること。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第10回 | 化学結合(3):結合のイオン性と双極子モーメント・イオン結合・配位結合 有効核電荷の違いによる結合電子の偏り(結合のイオン性)と,その化学結合及び物性への影響を理解する。 | 【予習】同じ共有結合でも同じ原子同士と異なる原子同士では何が異なるのか調べてみること 【復習】分子内での電子の偏りと,その物質の性質への影響を理解し,双極子モーメントと結合のイオン性が計算できるようにする。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第11回 | 化学結合と物性(1):結合の種類と固体(結晶)の性質の関係ついて理解する。 | 【予習】参考書などを元に,共有結合以外の結合にどのようなものがあるか調べておくこと 【復習】イオン性結晶,共有結合性結晶,分子結晶の違い,水および炭素(黒鉛・ダイヤモンド)の結晶構造と性質を結合から説明できるようにする。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第12回 | 化学結合と物性(2):固体物性の基礎となるバンド理論を分子軌道の延長として理解し,遷移金属元素の電子配置と物性の関係について理解する。 | 【予習】参考書などを元に,金属結合はどのような結合なのか「自由電子」をキーワードに調べておくこと 【復習】金属とその性質,導体・半導体・絶縁体の違いを,バンド理論で説明できるようにする。遷移金属元素の電子配置を示せるようにし,これに基づいて各元素金属の融点・硬度・電気抵抗などの物性の違いを説明できるようにする。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第13回 | 分子間力と分子集団の性質 分子集団において分子同士の間に働く力の種類・性質の違いを知り,これが分子集団の性質に与える影響について理解する。物質の三態(気・液・固)およびプラズマ状態,超臨界状態を,物質の状態とその変化の基礎について理解する。 | 【予習】参考書などを元に,「物質の三態」の概略を調べておくこと 【復習】各状態の違いと特性について,分子の状態の違いで説明できるようにする。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第14回 | 物質の状態変化・束一的性質 状態間の平衡とその見方,温度や圧力との関係について理解する。 | 【予習】参考書などを元に,「物質の状態変化」について概略を調べておくこと 【復習】平衡状態や状態変化,沸点・融点への濃度の影響とその理由,状態図について説明できるようにする。 | 【事前】1時間 【事後】3時間 |
第15回 | 総合演習およびその解説 これまでに学習した全範囲の内容について「テスト形式」による総復習を実施する。 | 【予習】これまでに配布された授業スライドをすべて見直し,総復習しておくこと 【復習】各自が解答した内容がどの程度合っていたか,また間違えている箇所があったとすれば,どこが問題であったのか必ず復習すること。 | 【事前】3時間 【事後】1時間 |
その他
教科書 |
授業を進めるうえで必要な図表やイラストはすべてプレゼンテーション用スライドとして準備するので,教科書の指定は無し。
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参考書 |
『基礎の化学[ISBN:978-4-8079-0846-2]』 大月 穣 東京化学同人 2014年
P. Atkins L. Jones L. Laverman 著,(訳)渡辺 正 『アトキンス・一般化学(上)[ISBN:9784807908547]』 東京化学同人 2014年
基礎的な内容がかなりしっかりと,かつ分かり易く記載されていて理解しやすい
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成績評価の方法 及び基準 |
毎回の授業毎の課題(振り返り課題およびミニッツペーパー)により平常点として評価。 授業に出席・聴講しても,毎回の課題の提出が無い場合は評価しない。 |
定期試験等に ついて |
平常点やレポート等の課題による評価予定 |
質問への対応 | CST-VOICEの機能にて随時質問可能。 下記研究室に在室中であれば随時質問をお受けします。 また,電子メールによる問い合わせも歓迎いたします。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館824室 koizumi.koushirou@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 船橋 13:20 ~ 16:30 左記以外にも在室時には随時対応
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学生への メッセージ |
できる限り平易な表現につとめ,理解してもらえるように努力しますので,きちんと授業に出席し,積極的に学んでいただきたいと思います。 |