2025年 理工学部 シラバス - 建築学科
設置情報
科目名 | 保存修復論 | ||
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設置学科 | 建築学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 田所・小島 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C43P |
クラス | 建築 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 都市と建築を考える上で、歴史的建築の存在を無視することはできない。古代から現代までの保存に関する理論の推移、各国各地域における保存・再生・活用事例を通して、歴史的遺産とまちづくり、修復の理念について考察する。前半では日本とアジア圏における保存修復を採り上げ、後半では近現代建築の保存・活用に対する取り組みについて学ぶ。 |
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授業形態及び 授業方法 |
パワーポイントを用いて、建築物の価値評価と保存修復について解説を行う。 授業の中間期、後半期に確認レポートの作成を行い、それらの解説を通じて、建築の保存修復についての理解を深める。 |
履修条件 | 建築保存の理論/歴史的建築の保存/歴史的建築の活用/歴史的建築の修復/歴史遺産とまちづくり |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・2・3・5・6及びCP1・2・3・5・6に該当しています。 |
授業計画
第1回 | 建築物の価値とその保存修復についてー過去の歴史の中で「保存」「修復」はどのように位置付けられてきたのか。今後のまちづくりに対して、建築サイドからどのような取り組みが可能かを考える。 | [事前学習]シラバスを通読し、授業の主旨と全体の流れを理解する。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、教科書や配布資料、参考書等でさらに調べ、アジア建築の理解を深める。 | [事前学習]60分 [事後学習]180分 |
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第2回 | 古社寺保存法による修理ー明治期の文化財保存 なぜ、日本に木造建築物が多く残ったのか、また、明治以降にどのような形で文化財を守っていったのか。明治期の事例を軸に検証する。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第3回 | 大正・昭和戦前期の文化財修理事業ー国宝保存法から文化財保護法までの流れと、実際の保存手法の変化について学ぶ。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第4回 | 歴史的町並みの保存ー伝統的建造物群保存地区制度について 複合並びに広域指定文化財保存修復―建築並びに構造物と周辺環境との一体で形成されるいわゆる歴史的景観、町並みの保存と保護に関する歴史的経過について学ぶ。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第5回 | 文化財登録制度ー制度からみた保存 各自が調べてきた日本とアジア圏における保存・修復事例について整理したものを発表し、同時にそれらの手法を現代に生かす可能性について検討する。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第6回 | 国際的な文化遺産の法的整備ーアテネ憲章とヴェニス憲章を中心に国際的な保存・整備の経緯を学び、西欧に於ける建築の再生・活用事例を検証する。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第7回 | 世界遺産条約と奈良会議ーオーセンティシティを中心に世界遺産の枠組みを学ぶ。また、産業遺産の保存事例についても検証する。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第8回 | 産業遺産の保存ーある時代においてその地域に根付いていた産業の姿を伝える遺物や遺跡 日本の近代化遺産のように、産業遺産は産業革命以降の鉱工業の遺産を指す場合にしばしば用いられるが、「産業」には農林水産業や商業なども含まれる。 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第9回 | モダニズム建築をいかに保存するか-使い続けるためのデザイン/建築は誰のものか/建築における「モダニズム」とは?/モダニズム建築をいかに保存するか/ドコモモ・ジャパンの活動について | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第10回 | 社会的資産としてのモダニズム建築-建築保存の理念/ヴェニス憲章とイコモス/ユネスコ世界遺産/ドレスデン宣言/奈良ドキュメント/オーセンティシティ(Authenticity)とインテグリティ(Integrity)の概念について/「マドリッド・ドキュメント」が投げ掛ける問題 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第11回 | リビング・ヘリテージ(Living Heritage)としてのモダニズム建築-保存・再生デザインの手法と事例/保存運動のあり方をめぐって/日本における近代建築の保存事例とその手法/保存要望書の功罪 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第12回 | 建築保存における法的問題-文化財保護法における「伝統」と「近代」/登録文化財制度/所有権と文化財享有権/民事訴訟における被保全権利/人格権/客観訴訟と主観訴訟/原告適格-誰が原告になれるのか/住民訴訟の可能性 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第13回 | 現存する日本のモダニズム建築-ドコモモ・ジャパンの設立/ドコモモ憲章/モダニズム建築のリストアップ/「日本におけるモダンムーブメントの建築」選定のプロセスとその選定基準/ドコモモ・ジャパンの諸活動 | [事前学習]事前に伝える次回のキーワードについて、参考資料で調べ、基礎的な知識を得る。 [事後学習]授業内で興味を持った建築や事柄について、配布資料、参考書等でさらに調べ、建築の保存修復に関する理解を深める。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第14回 | 「記録・評価書」の作成(1)-一次資料(典拠資料)と二次資料(批評文献)にもとづく歴史的価値の評価/資料調査の方法 | [事前学習]配布資料や参考書を参照し、授業内で提示した各要点を中心にあらためてまとめる。 [事後学習]これまでの授業内容をもとに、建築の保存修復について、考えをまとめる。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
第15回 | 「記録・評価書」の作成(2)-4つの指標(技術性/社会性/文化・審美生/歴史的背景)にもとづく歴史的価値の記述/作例紹介 | [事前学習]配布資料や参考書を参照し、授業内で提示した各要点を中心にあらためてまとめる。 [事後学習]これまでの授業内容をもとに、建築の保存修復について、考えをまとめる。 | [事前学習]120分 [事後学習]120分 |
その他
教科書 |
鈴木博之 『現代の建築保存論』 王国社 2001年 第1版
日本建築学会近畿支部環境保全部会 『近代建築物の保存と再生』 都市文化社 1993年 第1版
田原幸夫 『建築の保存デザイン 豊かに使い続けるための理念と実践』 学芸出版社 2003年 第1版
とくに購入は義務付けないが、配付された資料と照らし合わせて必ず読んでおくこと。
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参考書 | |
成績評価の方法 及び基準 |
各回の授業内容についての小レポート(リアクションシート)(40%)、および授業の中間期と後半期に出題する確認レポート(各30%)にて評価する。 |
定期試験等に ついて |
平常点やレポート等の課題による評価予定 |
質問への対応 | 対面授業実施の場合には講義終了後、もしくはメールにて対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラS817室(建築史・建築論研究室) メールアドレス:tadokoro.shinnosuke@nihon-u.ac.jp kojima.yoko@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
木曜 駿河台 12:10 ~ 13:10
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学生への メッセージ |
関連図書を読むなど、積極的に講義に取り組んでください。 |