2025年 理工学部 シラバス - 航空宇宙工学科
設置情報
科目名 | 航空機構造力学 | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 柳楽 隆昌 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H32C |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 機体(航空機、ロケット等)構造に関しては、荷重を受けた時に運航に支障を及ぼす過度な変形や破壊が生じないようにすることが重要である。本講では、機体に作用する荷重(荷重環境)とその中での必要な強度及びその評価方法を理解し、荷重環境下で機体の主要各部に荷重がどのように作用するか、検討するための概念的なモデル(解析モデル)やその解析方法について学ぶ。本講により機体構造設計(各部材の形状や配置等)等を行っていくための基礎となる知識、考え方を取得する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業により演習例題を上げ説明しながら講義を実施する。講義および演習、演習では簡単な例題の解法を説明し、各自で課題に対して取り組んでもらう。 H2Aロケットや国際宇宙ステーションに係る構造設計及びその際の航空機構造設計者との開発連携等で培った知見を紹介しながら、機体構造を設計していく上での力学的な考え方を中心に授業を進める。 |
履修条件 | 材料力学の基礎:梁の曲げ理論/せん断理論や柱の座屈計算 力学の基礎:質点と剛体の運動 空気力学の基礎 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3及びCP1・3に該当している。 |
授業計画
第1回 | 本科目の概要/進め方、授業のスケジュール、受講にあたっての事前準備等について説明する。 | 【事前学習】力学、材料力学の基礎学科の整理。 【事後学習】講義での内容を復習し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
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第2回 | 機体構造全体/各部及び、使用する主な材料について。 機体の主要な構造の様式と構造部材の力学的な役割について説明する。 | 【事前学習】参考書1(「教科書コメント」参照)第1、2章の確認と理解。 【事後学習】機体(航空機、宇宙機)に使用する材料について、理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第3回 | 機体構造に対する荷重条件と強度評価方法について。 飛行中に作用する外力を考慮した荷重条件(運動荷重倍数、制限荷重倍数/終極荷重倍数)及び、当該荷重条件に基づく強度評価方法(安全率等)について説明する。 | 【事前学習】参考書1第2、3章のの安全率/安全余裕及び航空機への荷重についての確認。【事後学習】荷重条件、強度評価について理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第4回 | 機体構造に対する荷重条件と強度評価方法について(その2)。 第3回講義内容に基づき、機体の飛行形態を考慮した荷重条件(荷重倍数)の設定方法について説明する。また簡単な演習問題等により解析法を理解する。 | 【事前学習】機体の飛行形態についての確認(参考書1第3章3.3項)。 【事後学習】機体の各種飛行形態における荷重条件設定の考え方について理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第5回 | 機体構造に作用する荷重(外力)について。 機体構造に作用する外力(軸力、曲げモーメント等)の解析方法について説明する。簡単な演習例題等によりその解析方法を理解する。 | 【事前学習】材料力学の梁理論(曲げ、剪断)の復習及び参考書1第3章(特に3.3.1項)についての確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第6回 | 機体構造に作用する圧縮荷重(外力)について。 機体構造の補強部材(ストリンガー等)の損傷、破壊に対して考慮すべき、圧縮荷重による座屈強度(座屈、クリップリング)について説明する。 | 【事前学習】材料力学の柱理論(座屈)の復習及び参考書1第5章の確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第7回 | 機体構造に対する強度評価方法について。 機体構造に対する強度評価の方法について、第5,6回の講義内容を踏まえ、簡単な演習問題等(主に座屈)を交えながら説明し理解する。 | 【事前学習】第5,6回講義内容及び材料力学の梁、柱理論(座屈)の復習と参考書1第5章の確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第8回 | 機体構造に対する応力解析について。 外力が作用する機体構造に対し、特に、せん断力を加味した解析手法の1つである剪断曲げ理論に基づく応力解析について説明し、簡単な演習例題等により解法を理解する。 なお第8~10回講義に関しては、進捗に応じてそれぞれの講義で関連する内容を適宜説明していく。 | 【事前学習】材料力学の梁理論(特に、剪断)の復習。 【事後学習】演習例題題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第9回 | 機体構造に対する応力解析について(その2)。 剪断曲げ理論に基づく強度解析方法について具体的な演習問題等を通じて理解を深める。 | 【事前学習】材料力学の梁理論(曲げ、剪断)の復習及び第8回講義内容についての確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第10回 | 機体構造に作用する捩り荷重について。 機体構造に作用する捩り荷重に対する解析、及び強度評価の方法について説明する。簡単な演習例題等を通じてその方法を理解する。 | 【事前学習】材料力学の梁理論(特に、捩り)の復習。 【事後学習】演習例題題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第11回 | 薄肉構造の剪断中心と剪断場理論について。 別の解析手法として、機体構造に適用可能な薄肉、軽量構造の構造解析に対する剪断場理論について説明する。 | 【事前学習】材料力学の梁理論(特に、適用の前提となる考え方)及び参考書1第7章の確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第12回 | 設計的な応力解析手法について。 これまでの解析方法の考え方をベースとした、設計的な解析手法について説明する。 | 【事前学習】剪断曲げ理論及び剪断場理論についての確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第13回 | 剪断場理論等の解析演習。 簡単な演習例題等を検討し、これまでの解法に対する復習と共に実用的な理解を深める。 | 【事前学習】参考書1付録C等についての確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第14回 | 構造継手と機体の疲労強度について。 航空機の主構造の結合部であるリベット継手や耳金の強度評価の方法、及び機体へ動的荷重(繰り返しかかる荷重等)が作用した場合の強度(疲労強度)の考え方について説明する。 | 【事前学習】参考書1第6章、8章についての確認。 【事後学習】演習例題を再度確認し理解を深める。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
第15回 | 平常試験。 | 【事前学習】平常試験のため、今までの授業および演習問題の復習。 【事後学習】試験結果の総括。 | 【事前学習】 2時間 【事後学習】 2時間 |
その他
教科書 |
授業で必要となる資料等については、クラスルームでの事前配布又は講義室にて配布する。
授業内容を補足するための資料として,次の参照書1を受講者に配布する。参考書1;「航空機構造力学」2021年度 日本大学理工学部 航空宇宙工学科 田上良継
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参考書 |
小林 繁夫 『航空機構造力学』 プレデアス出版 2015年 第1版
Dabid J. Peery, Aircraft Structures, Dover Publications, Inc., 2011
E. F. Bruhn, Analysis and Design of Flight Vehicle Structures, Tri-State Offset Company, 1965
小林繁夫先生の「航空機構造力学」は宇宙機を含め機体構造開発を行う技術者には特に推奨されている著書である。本書の翻訳版が2017年に出版されており後に示す。タイトル 航空機構造 滝敏美訳 プレアデス出版
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成績評価の方法 及び基準 |
主に平常試験として、受講姿勢も考慮しながら総合的に評価する。 |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | 火曜日授業終了後、講義室にて対応。 |
研究室又は 連絡先 |
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オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
材料力学I、材料力学IIの単位を修得していることが望ましい。材料力学I(特に梁理論(曲げ、剪断)、柱理論)、航空宇宙工学の基礎知識を有していることを前提に授業を進める. また本講義で説明する内容は、事前に配布する教科書(補遺)に掲載しているので、詳細な内容については補遺と参考書を参照しながら、先ずは自身で考えて復習、理解に努めてほしい。 本講義内容の理解を深めることができるため、航空機構造設計製図と一緒に受講することが望ましい。 航空機の構造設計に関連する、荷重解析や構造解析についての事項が多く含まれるので、航空工学科で修得した力学系学科の応用として取り組んで欲しい。また本講は航空機を対象とした講義であるが、航空機構造の考え方は宇宙機(機器)開発のベースであるので、宇宙機(機器)開発分野を志望する者の意欲的な受講を期待する。 |