2025年 理工学部 シラバス - 航空宇宙工学科
設置情報
科目名 | 工業数学Ⅳ | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 中根 昌克 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H44C |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 偏微分方程式の基礎的な部分を用いて、Fourier級数やFourier展開の応用を習得する。具体的には以下のことを説明できるようになる。 ・常微分と偏微分の違い ・常微分方程式の解と偏微分方程式の解の違い ・簡単な1階偏微分方程式の解法 ・2階偏微分方程式の分類(楕円型、放物型、双曲型) ・楕円型偏微分方程式の例と特徴 ・放物型偏微分方程式の例と特徴 ・双曲型偏微分方程式の例と特徴 ・Fourier級数とFourier積分について ・Fourier変換について(含むLaplace変換との関係) ・関数空間の基底と内積 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 板書による講義を行う |
履修条件 | 以下の項目について、同時もしくは一度は学んだことがあることが望ましい。 ・偏微分(微分積分学Ⅱ) ・常微分方程式(微分方程式、工業数学Ⅲ) ・線形代数学(線形代数学、工業数学Ⅰ) ・複素数とその演算(関数論、工業数学Ⅱ) |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3及びCP1・3に該当している |
授業計画
第1回 | ・ガイダンス ・常微分と偏微分 常微分と偏微分の違いを解説し、全微分の概念を復習する。 【解説事項】常微分とTaylar展開について、偏微分と全微分の定義。 | 【事前学習】シラバス・事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
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第2回 | ・常微分方程式と偏微分方程式 常微分方程式と対比して偏微分方程式を導入し、その特別解、一般解などの特徴を述べる。 【解説事項】常微分方程式とその解、偏微分方程式とその解、初期条件と境界条件、線形とと非線形・半線形・準線形、同次形と非同次形、定数係数と変数係数 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第3回 | ・2階偏微分方程式の分類 物理的な意味が取りやすい2階偏微分方程式を導入し、それらが3つの型に分類されることを説明する 【解説事項】2階偏微分方程式と変数変換(2変数)、楕円型・放物型・双曲型偏微分方程式、双曲型・放物型・楕円型方程式の具体例、双曲型・放物型・楕円型方程式の分類(3変数以上) | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第4回 | ・放物型偏微分方程式の例と特徴(1) 放物型方程式の物理的な意味、初期条件と境界条件、一般的な解の特徴について説明する。また一般的な解が必要となる場合に、Fourier級数が必要になることを解説する。 【解説事項】変数分離法、拡散方程式への変数分離法の適用、2次元拡散方程式への変数分離法の適用、一般の初期値に対応するためには? | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第5回 | ・Fourier級数 放物型方程式を解く際に出現したFourier級数に関して、関数の直交性を確認してテクニック的側面を解説し、使用できるようにする。 【解説事項】Fourier級数による関数の表現、三角関数の直交性、Fourier級数の係数の計算、偶関数と奇関数およびそれらのFourier級数 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行し始める | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第6回 | ・放物型偏微分方程式の例と特徴(2) 第4回に続き、同次形の一般解を述べた後、非同次形の境界条件や非同次形の放物型偏微分方程式の解法について学ぶ 【解説事項】同次方程式の一般の初期条件に対する解、非同次境界条件を同次境界条件へ変換、時間と共に変化する非同次境界条件、非同次偏微分方程式の解法、随伴同次方程式の解(Sturm-Liouville問題)、非同次項の直交関数展開、非同次偏微分方程式の例(課題第1回目配布、第14週頃に締切・解答配布) | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する。 | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第7回 | ・Fourier変換 Fourier級数の延長としてFourier変換と逆変換を導入し、その有用性を確認する 【解説事項】複素Fourier級数、Fourier変換と逆変換、Fourier変換を用いた微分方程式の解法、Fourier変換の応用(周波数解析) (課題第2回目配布、第14週頃に締切・解答配布) | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第8回 | ・Fourier級数とFourier変換の数学的背景 ベクトル空間との対比から関数空間を導入し、その基底やノルム、内積を定義することで、前回解説したFourier級数やFourier変換における三角関数が基底となっていることを解説する。また作用素の観点から前回説明したSturm-Liouville問題が固有値問題となっていることを解説する 【解説事項】ベクトル空間の内積とノルム・直交、関数空間の内積とノルム・直交、三角関数を用いた関数空間の基底、固有関数を用いた関数空間の基底 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第9回 | ・楕円型偏微分方程式の例と特徴(1) 楕円型方程式の境界条件、一般的な解の特徴について説明する。 【解説事項】変数分離による解法、調和関数と平均値の性質、円座標・円筒座標・球座標の復習、円座標・円筒座標・球座標でのLaplacianの表現 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第10回 | ・楕円型偏微分方程式の例と特徴(2) 楕円型偏微分方程式をLaplacianで表現したうえで、使用する座標系が変わった場合の表現の仕方や代表的な座標系での表現を学ぶ 【解説事項】円座標におけるLaplace方程式とPoisson積分、球座標でのLaplace方程式と基底としてのLegendre関数・Legendre陪関数 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第11回 | ・双曲型偏微分方程式の例と特徴(1) 双曲型偏微分方程式ついて、一般的な解の特徴について説明する 【解説事項】変数分離による波動方程式の定常波の解、標準座標を用いた波動方程式の解(D’Alembertの解) (課題第3回目配布、第14週頃に締切・解答配布) | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第12回 | ・簡単な1階偏微分方程式の解法(1) Lagrangeの微分方程式を題材に1階偏微分方程式を実際に解いてみる。 【解説事項】線形偏微分方程式の特性曲線、準線形偏微分方程式の特性曲線とその解法 (課題第4回目配布、第14週に締切・解答配布) | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。課題を遂行する | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第13回 | ・簡単な1階偏微分方程式の解法(2) もう一つの代表的な1階偏微分方程式の解法である、全微分方程式を用いた解法を解説する。 【解説事項】2変数関数の全微分方程式と完全微分方程式、積分因子、3変数関数の全微分方程式と積分可能条件 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第14回 | ・双曲型偏微分方程式(2):移流方程式 移流現象を表現する方程式として単純移流方程式・Burgers、非粘性Burgers方程式を取り上げ、特性曲線の渋滞現象(衝撃波解・弱解)の入口を解説する 【解説事項】移流現象から見た1次元移流方程式の解、Fourier変換を用いたBurgers方程式の解、非線形1階偏微分方程式(非粘性Burgers方程式)と特性曲線の渋滞(衝撃波) 課題解答の配布 | 【事前学習】事前配布プリントを熟読し、不明点を明確にしておく 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす。これまでの配布プリントを熟読し、理解度確認試験に備える。 | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
第15回 | ・授業のまとめと理解度確認 授業のまとめやより詳しく学ぶためのガイダンスを行い、理解度確認試験を行う。必要に応じて課題の解説も行う。 | 【事前学習】これまでの配布プリントを熟読し、理解度確認試験に備える。 【事後学習】授業の復習をし、不明点をなくす | 【事前学習】:2時間 【事後学習】:2時間 |
その他
教科書 |
教科書は使用しない
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参考書 |
馬場 敬之 『スバラシク実力がつくと評判の偏微分方程式キャンパスゼミ [978-4866152523]』 マセマ出版 2019年 第5版
スタンリー ファーロウ 『偏微分方程式 科学者・技術者のための使い方と解き方 [978-4254110715]』 朝倉出版 1996年
佐野 理 『基礎系 数学 偏微分方程式 [978-4621089040]』 東京大学工学教程 丸善 2015年
寺沢 寛一 『自然科学者のための数学概論 [978-4000054805]』 岩波書店 1983年
足立修一 『信号・システム理論の基礎 ―フーリエ解析、ラプラス変換、Z変換を系統的に学ぶ― [978-4339032147]』 コロナ社 2014年
厳密な話をするとフーリエ解析や複素関数、特殊関数が全て合流する興味深い内容であるため、非常に多くの参考書が出版されている。そのなかで工学よりのものを上げた。1冊目は非常に導出などが非常に丁寧であるが、人によっては丁寧すぎて読みにくいかもしれない。2冊目は若干古いが、内容は網羅しており、数値計算法にも言及している。3冊目は数学的な表現が多いが、良くまとまった良書である。4は物理・工学系の数学全体を網羅した古典的名著である。5冊目は特にFourier級数やFourier変換についてよくまとまっている
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成績評価の方法 及び基準 |
平常点と授業で4回出す課題(50%)および理解度確認試験(50%) |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | メールと授業後に対応 |
研究室又は 連絡先 |
研究室:3号館3階333室 メールで質問する場合は授業名を明記してください nakane.masakatsu@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
金曜 船橋 15:00 ~ 16:30 授業内容の質問は授業後にも受け付けます
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学生への メッセージ |
偏微分方程式は非常に奥が深いです。その入門部分を学びます。 |