2025年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | 物性の基礎 | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 松田 健一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I23M |
クラス | A,B共通 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 本講義では「熱力学」を中心に学びます.「熱力学」は,様々な材料・物質に共通する基本概念や性質を知るうえで重要です.また,近年のエネルギー問題や,生物学,情報科学,経済学などの分野でも応用されています. 本講義の到達目標は,「熱力学」の基礎を習得すること,とします. 一部の話題は,高学年で学ぶ「半導体デバイス」,「電気材料」への導入になっています. |
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授業形態及び 授業方法 |
対面で講義を実施します.ただし,社会情勢によってはオンライン講義に切り替える場合があります. |
履修条件 | 令和2年度以降の入学者,および令和3年度以降の編入学生を対象としています. 令和元年度以前のカリキュラムの適用対象となっている学生は,履修登録の前に 担当教員に相談してください. |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP3・5及びCP3・5に該当しています。 |
授業計画
第1回 | はじめに講義全体の計画について説明する。「熱」、「温度」、「エネルギー」など,普段何気なく使っている言葉について、正しく理解するための導入的解説を行う.また「熱平衡状態」についても講義する。 | 【事前学習】高校で学ぶ「熱」に関する部分の復習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
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第2回 | 理想気体の状態方程式について講義する。気体運動の微視的な理論はあとから学ぶこととし、いくつかの熱力学的量の間の関係式や、熱力学的な状態を指定する方法を学ぶ。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第3回 | 「内部エネルギー」について講義する。また系の「断熱的変化」の意味についても解説する。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第4回 | 熱力学的所量の微少変化を記述する数学として全微分の概念を講義する。熱力学の第一法則のための準備を行う。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第5回 | 「熱力学の第一法則」について講義する.系になされる仕事、系に流入する熱量、内部エネルギーの関係を知る。特に全微分の形式を使って記述する方法を学ぶ。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第6回 | 熱力学の第一法則と、それに関連した応用問題について解説する。簡単な例題を解く過程を学ぶことで、法則の使い方を体得する。理想気体に関連した問題や、比熱についても学ぶ。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第7回 | 「熱機関」について講義し、また「カルノーサイクル」、「カルノーの定理」を解説する。「可逆過程」や「不可逆過程」についても解説する。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第8回 | 「熱力学の第二法則」について講義する。すなわち「トムソンの原理」、「クラウジウスの原理」について解説する。「永久機関」不可能性についても考察する. | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第9回 | 熱機関の効率、および「エントロピー」の概念について講義する。また「熱力学の第三法則」を学ぶ。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第10回 | 熱力学関数について講義する。ヘルムホルツの自由エネルギー、ギッブスの自由エネルギー、いくつかの熱力学的諸量について、再確認する。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第11回 | 熱力学的諸量の間の関係についての関係式「マクスウェルの関係式」について講義する.微分形式による表記を再確認し、具体的な応用例に当たる。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第12回 | 「相」と「相転移」について講義する。「相平衡」などの言葉の意味を理解しつつ、相図を理解できるようにする。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第13回 | 物質を構成する原子の構造について講義する.周期表と原子の構造,電子と原子核,電子の軌道などの概念を理解する. | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第14回 | 理想気体と分子運動についてまなぶ。古典的な体系としての分子集団に対し、微視的な視点を導入しながら、集団としての性質を予想する手段を考える。「位相空間」などの言葉の意味も理解する。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第15回 | 気体の分子運動について、微視的な視点を導入し、確率・統計てきな手法で系の性質を理解する系統的な手法を学ぶ。ボルツマン因子、エネルギーの等分配則について理解する。 | 【事前学習】事前に予告された部分の予習. 【事後学習】講義内容のまとめと疑問点の整理. | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
その他
教科書 |
和達三樹,十河清,出口哲夫 『ゼロからの熱力学と統計力学』 岩波書店 2016年 第10版
学部の教科書販売で入手可能です.
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参考書 |
小出昭一郎 『熱学』 基礎物理学2 東京大学出版会 1988年
田崎晴明 『熱力学―現代的な視点から』 培風館 2000年
久保亮五 『大学演習 熱学・統計力学』 裳華房 1998年
戸田盛和 『熱現象30講 (物理学30講シリーズ)』 朝倉書店 1995年
F. Reif 『統計熱物理学の基礎』 吉岡書店 1984年
参考書1は,本講義の内容に近い.レベルも適切である.
参考書2は,著者独特の視点で熱力学分野を再構成する熱意にあふれている教科書である.
参考書3は,有名な演習書.どちらかと言うと,統計力学のほうが比重が大きい.はじめは例題を解くだけでもよい.
参考書4は,「ソリトン」の研究で著名な著者の個性的な教科書.
参考書5は,出版年は古いが比較的に平易に多くの話題を取り扱っている(日本語版は入手が難しくなっている).
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成績評価の方法 及び基準 |
中間試験,および理解度確認期間に筆記試験を実施します. 成績評価は,試験結果や出欠状況を含め,総合的に評価します. |
定期試験等に ついて |
平常点やレポート等の課題による評価予定 |
質問への対応 | 講義時またはオフィスアワーに,対面での質問が可能です(社会情勢によっては対面で実施できなくなる可能性もあります). 電子メールによる質問は受けますが,回答は対面で行います. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラ16階,S1615室 TEL : 03-3259-0772 email: matsuda.kenichi@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
金曜 駿河台 10:00 ~ 12:00
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学生への メッセージ |
数式によって理解するのではなく,具体的な現象に対するイメージをつかむことを優先してください. 簡単な例題にたくさん取り組むことは大切です.基本の考え方が身につきます. |