2025年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | 物質の構造と状態 | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 岡田 真紀 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜5 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | I55B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 「物質」についての知識は,工学において特に「材料」や「環境」を理解する上で基礎的な情報として必須である。本講義では、原子や分子といったミクロ(微視的)スケールな「物質の構造」の理解を通して、固体・液体・気体といったマクロ(巨視的)スケールな「物質の状態」およびその変化を理解・説明できるようにする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業とする。授業に関する連絡,資料(プリント)の配布,および課題の出題・回答・解説は,原則CST-VOICEを通して行う(見落とさないよう注意すること)。 |
履修条件 | 基礎教育科目(化学系科目),選択科目。 【学部Ⅰ年生】電気工学科を履修対象とする。 【過年度生・短大生】事前に連絡先(メールアドレス)へ申請希望を出すこと。基本的には受講を認める。 【出席】教室の後部に設置されたカードリーダーに学生証を触れさせて出席を取る。 (注意事項:学生証を忘れた学生へのフォローは一切しない。学生証は忘れないこと。) |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目は,DP1・3及びCP1・3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | 科目説明と基礎的事項の確認 高校化学との違いなど基礎的事項を確認し,科学の方法と特徴を理解する。 | 【事前学習】シラバスを参照し,不明な用語があれば教科書や図書館・Webを利用して調べ,科目の概要を確認する。 【事後学習】講義で扱われた事例について,高校「化学基礎」「化学」教科書及び本講義の教科書を確認し,違いについて理解する。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
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第2回 | 物質の構造・性質の理解とその歴史的過程 物質や原子構造についての考え方とその解明の過程を知り,その途上に現在があることを理解する。 | 【事前学修】高校の教科書(化学・化学基礎・物理)から,同素体,原子の構造(電子,陽子,中性子),物質量(モル),アボガドロ数,原子量・分子量,同位体を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:1時間] [事後学修:3時間] |
第3回 | 巨視的と微視的な世界の性質:光(電磁波),黒体放射(熱と光),エネルギー量子仮説,光の粒子,ボーアの原子模型(前周期量子論)による説明と限界 ミクロな世界のエネルギーや運動,原子構造の解明のための実験過程で明らかになった古典力学の限界を理解する。 | 【事前学修】高校の教科書(物理)の「原子」を参照し,これらの実験に見られる物理現象を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:1時間] [事後学修:3時間] |
第4回 | 量子論的原子モデル(1):物質の波動性,不確定性原理,1次元のシュレーディンガー波動方程式,箱の中の粒子 現在の物質の構造・性質の理解の基礎となる量子力学の基礎,水素原子の状態について理解する。 | 【事前学修】高校の教科書(物理・物理基礎)の原子や波動を参照し,原子内の原子核と電子の間の力とエネルギー,波の速度・波長・振動数,回折・干渉現象について学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:1時間] [事後学修:3時間] |
第5回 | 量子論的原子モデル(2):水素原子モデル,動径関数と球面調和関数,量子数,原子軌道の形状・確率密度・広がり,電子配置を決める構成原理 量子数,波動として説明される原子軌道(オービタル)の種類(形状・エネルギー)と軌道への電子の入り方(電子配置)のルールを理解し,各元素の電子配置・エネルギー準位・形状をイメージできるようにする。 | 【事前学修】量子数,原子軌道の種類と形状,エネルギー準位,電子配置の規則(構成原理)を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:1時間] [事後学修:3時間] |
第6回 | 元素の性質と周期性:イオン化エネルギー,電子親和力,原子・イオン半径,電気陰性度 元素の基本的性質が電子配置から説明できること,それが主に有効核電荷の違いに基づくことを理解する。 | 【事前学修】第一イオン化エネルギー,電子親和力,軌道による貫入の違いと遮蔽の関係,有効核電荷の変化,原子半径とイオン半径を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第7回 | 化学結合(1):ルイスの記号,オクテット則と例外,イオン結合,イオン対の集合とエネルギー,イオン結晶(固体)の中のイオン半径比 原子価殻の電子数と反応性,オクテット則,イオン結合とその集合の規則を理解する。 | 【事前学修】オクテット則,イオン結合を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第8回 | 化学結合(2):共有結合,ルイス構造の記述,共鳴構造と形式電荷,結合のイオン性と極性分子,電気双極子モーメント 共有結合,イオン結合との違い,電気双極子モーメント,分子の極性について理解する。 | 【事前学修】共有結合,イオン結合との違い,電気双極子モーメント,分子の極性を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第9回 | 化学結合(3):原子価殻電子対反発理論(VSEPR),原子価結合法(σ結合,π結合),混成軌道(sp3,sp2,sp)と簡単な分子構造との関係 炭素が形成する複雑な分子の形状・性質が,主に混成軌道に基づいて説明できることを理解する。 | 【事前学修】原子価殻電子対反発理論(VSEPR),混成軌道(sp3,sp2,sp)を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:1時間] [事後学修:3時間] |
第10回 | 化学結合(4):原子価結合法(VB法)の限界,分子軌道法(MO法),MO法による水素分子の理解,軌道相互作用とエネルギーの安定化,等核二原子分子,異核二原子分子,金属結合,金属の性質,金属結晶(固体)と格子定数 原子軌道(波)の重ね合わせとエネルギー変化(分子軌道の形成),原子間の結合力・反発力の生成,水素分子への応用。簡単な二原子分子への適用,金属結合とその金属結晶(固体)を学ぶ。 | 【事前学修】原子軌道(波)の重ね合わせ,分子軌道の形成,水素分子,金属結合,固体の結晶,を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:1時間] [事後学修:3時間] |
第11回 | 分子間の働きと物質の状態変化:分子間相互作用(配向力,誘起力,ロンドンの分散力,水素結合,ファン・デル・ワールス力),物質の三態(気・液・固),超臨界状態,状態変化とエネルギー 分子間に働く力について学び,物質の状態変化との関連を理解する。 | 【事前学修】分子間相互作用(配向力,誘起力,ロンドンの分散力,水素結合,ファン・デル・ワールス力),物質の三態(気・液・固),状態変化,気液平衡,沸騰,蒸気圧,状態図(相図)を学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第12回 | 気体の性質 気体の性質,ボイル,シャルルの法則,アボガドロの原理,状態方程式,理想気体と実在の気体の違いについて理解する。 | 【事前学修】気体の法則,状態方程式,理想気体,実在気体を予習しておくこと。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第13回 | 固体の性質 固体(結晶)の性質について理解し,固体物性の基礎となるバンド理論を分子軌道の延長として理解する。 | 【事前学修】第10回の内容を復習し,バンド理論について学修しておく。 【事後学修】授業後,配布資料とノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第14回 | 液体の性質 液体の性質,溶液と濃度,溶解度,束一的性質,コロイド粒子を理解する。 | 【事前学修】液体の性質,溶液と濃度,溶解度,束一的性質,コロイド粒子を予習しておくこと。 【事後学修】授業後,プリントとノートの内容を各自あるいは学生間で確認して理解を深める。 | [事前学修:2時間] [事後学修:2時間] |
第15回 | 理解度確認テストとその解説 | 【事前学修】今までの第1〜14回を内容を総合的に学修しておく。 【事後学修】授業内で解説した内容を確認して理解を深める。 | [事前学修:3時間] [事後学修:1時間] |
その他
教科書 |
Peter Atkins 他(渡辺正 訳) 『アトキンス 一般化学(上) [ISBN-10: 4807908545]』 東京化学同人 2014年 第1版
高度な内容も含まれるが、判りやすくより詳しく解説されている。図版も美しく、より発展的な理解のために役立つ。
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参考書 |
Peter Atkins 他(渡辺正 訳) 『アトキンス 一般化学(下) [ISBN-10: 4807908553]』 東京化学同人 2015年 第1版
本講義の内容は上巻の範囲だが,卒業後にも十分に役立つ教科書として,いずれは上・下揃えて手元に置くことを勧める。
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成績評価の方法 及び基準 |
(1)授業は毎回出席すること ※なお,全15回中で12回以上の出席した学生を成績評価の対象とする (2)理解度確認テスト(第15回に実施):70% (3)毎回授業後の必須課題(=1週間以内)の提出:30% ※課題の提出状況と内容で評価する。提出期限は1週間後の9:00まで,遅延提出は減点。 以上より,GPA 制度の基準に従い,点数および合否を決定する。 |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | 授業中および授業後または下記オフィスアワー,LMSでの問い合わせ,メール等で対応する。 それ以外の時間でも下記研究室に在室中であれば随時質問は可能。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館823室 okada.masaki10@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 船橋 18:30 ~ 20:30 左記以外にも在室時には随時対応
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学生への メッセージ |
判らないことは判らないままにしないこと。 常に "物質や物質の性質が変化する理由" を学習し、"それをどのように説明できるか?" を考え、"実際に口頭もしくは文章で説明する" 練習をしてください。 |