2025年 理工学部 シラバス - 電子工学科
設置情報
科目名 | 電子物性工学 | ||
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設置学科 | 電子工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 岩田 展幸 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | J23B |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 基礎的な電子物性の知識をベースとして、電子の波動性を理解し、基礎的な電気伝導を理解する。結晶の周期性とバンド構造、電気特性の違いについて理解する。結晶の構造解析手法であるX線回折の原理と応用例を修得し、フーリエ変換と逆格子について理解する。こうした電子物性の基礎を修得することによって、物質の電気特性や結晶の周期性の重要性をより深く理解する能力が身につく。また、半導体物性ならびにデバイス応用を学習する準備を整えることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」で実施する。 授業内容に則した「小テスト」を毎度実施する。 学習の理解を深めるために「自宅中間テスト」(自宅で行うテスト)を実施する。 「平常試験」を実施する。 「自宅中間テスト」はレポートとして提出してもらう。 |
履修条件 | 高校で学習する基礎的な物理・化学に関する知識、大学における教養課程での物理学の知識を有していること。また、基礎電子物性の単位を取得していることが望ましい。 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP3及びCP3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | 波が満たす方程式 波動方程式、シュレディンガー方程式、波動と粒子の二重性、平面波について説明する。波動方程式からシュレディンガー方程式を導出する。周期的境界条件から波数kが離散値となることを示す。確率波および規格化、電子が持つ波動および粒子の性質と描像について説明する。 | 【事前学習】「図でよくわかる電磁気学」13.1、13.2にある「波動方程式」の概要を理解し、教科書・参考書を参照して、「シュレディンガー方程式」に関する概要を調べておくこと。【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。(120分) 「第1回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 【事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
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第2回 | 平面波および自由電子の概要 平面波について説明する。自由電子気体・自由電子のイメージ、について説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「平面波」「自由電子」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第2回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第3回 | 自由な電子の動きと電子分布および分布関数 k空間、フェルミエネルギー、フェルミ波数、フェルミ温度、パウリの原理および単位体積、単位エネルギーあたりの量子状態の数(状態密度)について説明する。また、パウリの原理に従うフェルミ粒子が満たすFermi-Dirac分布関数の特徴について説明する。 【事前学習】教科書・参考書を参照して「自由電子」「k空間」「フェルミエネルギー」「パウリの原理」「状態密度g(E)」について概要を調べておくこと。また、「Fermi-Dirac(フェルミ-ディラック)分布関数」について概要を調べておくこと。(120分) 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。(120分) 「第3回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「自由電子」「k空間」「フェルミエネルギー」「パウリの原理」「状態密度g(E)」について概要を調べておくこと。また、「Fermi-Dirac(フェルミ-ディラック)分布関数」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第3回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第4回 | 電気伝導(1) あるエネルギーEにおける単位体積あたりの電子密度について説明する。自由電子の電気伝導について説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「電子密度」「電気伝導」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第4回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第5回 | 電気伝導(2) ドリフト速度、衝突時間、平均自由行程、電流密度、移動度、導電率/抵抗率について理解する。また、電気伝導に関する例題を解く。 | 【事前学習】前回学習した内容を復習しておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第5回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第6回 | 結晶周期性による電子状態(1)周期ポテンシャル中の電子の挙動 周期ポテンシャルによるエネルギーギャップの発生とバンド構造、伝導体、価電子帯について説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「エネルギーギャップ」「バンド構造」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第6回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第7回 | 結晶周期性による電子状態(2) 周期ポテンシャルを考えた時、バンドギャップが発生してバンド構造を形成する。この時、電子の挙動は自由電子のそれとは異なってくることを群速度、有効質量を題材に挙げて説明する。また、周期ポテンシャルを反映した波動関数・ブロッホ関数が満たすべきブロッホ条件およびブロッホの定理について説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「群速度」「有効質量」「ブロッホ関数」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第7回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第8回 | 結晶周期性による電子状態(3)逆格子ベクトル、ブラッグ条件 ブラッグ条件と逆格子ベクトルおよび波数ベクトルについて説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「逆格子ベクトル」「ブラッグ条件」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第8回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第9回 | 結晶周期性による電子状態(4)逆格子空間の基本単位格子、ブリルアンゾーン 逆格子空間、実空間おける基本単位格子、単位格子の関係性および1次元ブリルアンゾーンについて説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「基本単位格子」「ブリルアンゾーン」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第9回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第10回 | 結晶周期性による電子状態(5)ゾーン方式、2,3次元ブリルアンゾーン 2,3次元ブリルアンゾーン、ゾーン方式、2,3次元k空間におけるブラッグ条件と電気伝導について説明する。また、単純立方格子、体心立方格子、面心立方格子の逆格子ベクトルについて説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「ブリルアンゾーン」「ブラッグ条件」「逆格子空間における電気伝導・逆格子点」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第10回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第11回 | 結晶周期性による電子状態(6)3次元ブリルアンゾーン、バンド構造と電気伝導 3次元ブリルアンゾーン、2次元・3次元バンド構造と電気伝導について説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「バンド構造と電気伝導」について概要を調べておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第11回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第12回 | X線回折(1)フーリエ変換 フーリエ級数展開、複素フーリエ級数、周期が任意のa[m]とした時の複素フーリエ級数、フーリエ変換、波束のフーリエ変換について説明する。 | 【事前学習】フーリエ変換に関する教科書を参考にして「複素フーリエ級数展開」を理解しておくこと。 【事後学習】板書の内容を見返しながら、授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第12回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第13回 | X線回折(2) 電子密度とフーリエ級数展開、X線散乱、散乱ベクトル、ラウエの回折条件、ブラッグ条件 実空間上で周期性を持つ電子密度のフーリエ級数展開について説明する。それが逆空間でどのように表現できるかを、ある物質からのX線の散乱強度を計算することで説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「ラウエの回折条件」「基本並進ベクトル」「逆格子ベクトル」「ブラッグ条件」について理解しておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第13回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第14回 | X線回折(3)ブラッグの回折条件、エヴァルド球、構造因子、原子構造因子、消滅則 ブラッグの回折条件に関する詳細な解説とエヴァルド球を用いたブラッグ回折について説明する。電子密度の周期性を逆空間で表現し、その強度を具体的な結晶を用いて計算する。また、ブラッグ条件を満たしても回折強度がゼロとなる消滅則について説明する。 | 【事前学習】教科書・参考書を参照して「逆格子ベクトル」「面間隔」「ブラッグ条件」「エヴァルド球」「原子構造因子」「消滅則」について理解しておくこと。 【事後学習】授業中に説明した事柄について、理解を深めること。 「第14回自宅中間テスト」の課題を課します。何を参考にしても良いので、問題を解き、レポート形式で期限内に提出してください。期限後の提出は認めません。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
第15回 | 平常試験および解説 | 【事前学習】第1~第14回までの授業の範囲を復習しておくこと。 【事後学習】解説を聞いて、理解を深めること。 | 事前学習】(120分) 【事後学習】(120分) |
その他
教科書 |
川辺和夫、平木昭夫、岩見基弘 『基礎電子物性工学』 コロナ社
坂田亮 『物性科学』 培風館
永田一清 『物性物理学』 裳華房
沼居貴陽 『固体物性入門』 森北出版
小島誠治・澤田昭勝・中村輝太郎 訳 『固体の諸性質』 東海大学出版会
長尾辰哉 他 訳 『固体の電子論』 東海大学出版会
志賀正幸 『材料科学者のための固体電子論入門 エネルギーバンドと固体の物性』 内田老鶴圃
志賀正幸 『材料科学者のための固体物理学入門』 内田老鶴圃
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参考書 |
宇野良清 他 共訳 『キッテル 固体物理学入門』 丸善
作道恒太郎 『固体物理 格子振動・誘電体』 裳華房
黒沢達美 『物性論 -固体を中心とした-』 裳華房
今野豊彦 『物質からの回折と結像』 共立出版
小出昭一郎 『量子力学(I)』 裳華房
固体の性質を議論するとき、高校とは異なった感覚での理解が必要である。その理解に慣れるために、多くの教科書を読み比べることが、理解の近道である。よって、簡単に説明してある参考書を紹介する。図書館等で是非、読み比べて欲しい。
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成績評価の方法 及び基準 |
「小テスト」:20点 「自宅中間テスト」:40点 「平常試験」:40点 ただし、「小テスト」の正答率が30%未満の場合、平常試験の素点が30点未満の場合、成績は「D」となる。「平常試験」を受験しない場合、成績は「E」となる。 |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | メールにて受け付ける。 |
研究室又は 連絡先 |
4号館412室 iwata.nobuyuki@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 船橋 13:20 ~ 16:30 412室
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学生への メッセージ |
物の性質を理解するためのわかりづらい式が多く出てくるが、その式の意味することをイメージとして頭に残して欲しい。 |