2025年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | プラズマ物理学 | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 浅井 朋彦 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M41O |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | プラズマの基本的な性質と、それらが相互作用することで生じる多様な物理現象について理解する。本講義では、核融合プラズマ、天体・磁気圏プラズマ、およびプラズマ応用 に関する現象とそのメカニズムを体系的に学ぶ。これらの知識を通じて、プラズマ物理学の基礎を修得し、各分野におけるプラズマの役割と特性を理解できるようになることを目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
本講義は対面形式で実施し、プラズマの特徴的な性質とその取り扱い方法について解説する。具体的な実験データや観測、シミュレーションの結果等を取り上げ、物理学科で学ぶ電磁気学や統計力学の考え方を適宜引用しながら、プラズマ物理学の基礎を体系的に学ぶ。 また、授業内容の理解を深めるため、数式の導出や具体例を交えながら、プラズマの振る舞いを直感的かつ理論的に捉えることを重視する。シラバスに示した学習内容および順序は、進度や受講者の理解度に応じて適宜変更する場合がある。 |
履修条件 | 力学、電磁気学、熱・統計力学の基礎知識を修得していることが望ましい。 これらの知識は、プラズマの運動や相互作用を理解し、数式を用いた解析を行う上で不可欠である。特に、電磁場中の荷電粒子の運動、マクスウェル方程式、エントロピーと分布関数 などの概念を理解していると、講義内容をより深く理解しやすい。 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP3及びCP3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | プラズマとその多面性・階層性 ・ プラズマの定義と基本特性(荷電粒子の集合体としての振る舞い) ・ プラズマの多面性(固体・液体・気体との違い、宇宙・産業応用など) ・ プラズマの階層性(微視的・巨視的スケールでの記述) | 【事前学修】 ・ 電磁気学、原子物理学、量子力学の基本概念を復習し、プラズマの定義や特徴を整理する(2時間) 【事後学修】 ・ 授業内容をもとに、プラズマの多面性・階層性の例を調査し、ノートにまとめる(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
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第2回 | 単一粒子の運動/ドリフト運動 ・ 電磁場中の荷電粒子の運動方程式(ローレンツ力) ・ サイクロトロン運動(ジャイロ運動) ・ ドリフト運動(E×Bドリフト、磁場勾配ドリフト、曲率ドリフト) | 【事前学修】 ・ 電磁気学と力学の荷電粒子運動に関する範囲を復習する(ローレンツ力、円運動の基礎)(2時間) 【事後学修】 ・ サイクロトロン運動やE×Bドリフトの式を整理し、具体例を確認する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第3回 | 断熱不変量,磁気ミラー ・ 断熱不変量とその物理的意味 ・ 磁気ミラー効果と磁場による粒子の閉じ込め ・ ミラー装置の基本概念とその応用(磁場配置による粒子制御) | 【事前学修】 ・ 磁場中の荷電粒子運動とエネルギー保存則について復習する(2時間) 【事後学修】 ・ 磁気ミラーの原理をノートにまとめ、プラズマ閉じ込めとの関係を整理する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第4回 | プラズマの集団的性質(デバイ遮蔽,プラズマ振動,分子運動論的記述) ・ デバイ遮蔽とプラズマの長距離相互作用 ・ プラズマ振動(ランゲミュア波)の基礎 ・ 分子運動論的記述と分布関数(ボルツマン方程式、マクスウェル分布) | 【事前学修】 ・ 熱力学、統計力学の基本概念(分布関数、ボルツマン方程式)を復習する(2時間) 【事後学修】 ・ デバイ遮蔽とプラズマ振動の導出を確認し、シミュレーション結果などを調査する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第5回 | クーロン散乱と制動放射/プラズマの抵抗と拡散定数 ・ クーロン散乱の断面積と衝突頻度 ・ 制動放射とシンクロトロン放射 ・ プラズマの電気抵抗と輸送現象(拡散係数、異常輸送) | 【事前学修】 ・ クーロン相互作用と放射過程(制動放射、シンクロトロン放射)を復習する(2時間) 【事後学修】 ・ プラズマ輸送現象の基礎(拡散係数、抵抗率)を整理し、計算例を確認する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第6回 | 荷電粒子の素過程・放電現象 ・ 荷電粒子の衝突過程(電離、再結合、励起) ・ 代表的な放電現象(グロー放電、アーク放電、コロナ放電) ・ 低温プラズマとその応用(プラズマ加工、スパッタリング) | 【事前学修】 ・ 電離・再結合・励起過程を復習し、低温プラズマの性質を調べる(2時間) 【事後学修】 ・ 代表的な放電現象(グロー放電、アーク放電)について、その条件や応用例をまとめる(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第7回 | 磁気流体としてのプラズマ(磁気流体近似) ・ 磁気流体力学(MHD)の基本概念 ・ 磁場の支配方程式(フローズンイン磁場) ・ 磁気流体近似の適用範囲とその限界 | 【事前学修】 ・ 磁気流体力学(MHD)の基礎方程式を学び、適用条件を整理する(2時間) 【事後学修】 ・ 磁気流体近似の適用事例を調べ、宇宙プラズマや核融合プラズマとの関係を整理する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第8回 | 磁気流体としてのプラズマ(磁気流体方程式) ・ 磁気流体方程式の導出(連続の式、運動方程式、誘導方程式) ・ アルフベン波と磁場によるエネルギー輸送 ・ 高密度プラズマでのMHDの適用例 | 【事前学修】 ・ MHD方程式の導出過程を確認し、連続の式・運動方程式を復習する(2時間) 【事後学修】 ・ アルフベン波の性質を整理し、MHDの適用範囲について考察する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第9回 | MHD平衡 ・ MHD平衡の基本概念と平衡条件(グラッド・シャフラノフ方程式) ・ トカマク・ヘリカル装置における平衡構造 ・ ベータ値とプラズマの圧力限界 | 【事前学修】 ・ トカマク・ヘリカル装置の平衡モデルを調べる(2時間) 【事後学修】 ・ 平衡条件の数式を整理し、プラズマベータとの関係をまとめる(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第10回 | 磁気リコネクション・MHDダイナモ現象(流れによる磁場の自発的形成) ・ 磁気リコネクションのメカニズム(磁場のつなぎ替え) ・ 磁気リコネクションの宇宙物理・核融合プラズマへの応用 ・ MHDダイナモの原理(磁場の自己生成メカニズム) | 【事前学修】 ・ 磁気リコネクションのメカニズムを予習し、磁場のつなぎ替えについて調べる(2時間) 【事後学修】 ・ MHDダイナモのモデルを学び、宇宙・地球磁場との関連を考察する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第11回 | プラズマと核融合開発 ・ 核融合エネルギーの基本概念(D-T反応、p-11B反応) ・ 核融合プラズマの閉じ込め方式(磁場閉じ込め、慣性閉じ込め) ・ 核融合炉設計の課題(トカマク、スフェロマック、FRC) | 【事前学修】 ・ 核融合炉の基本概念(磁場閉じ込め・慣性閉じ込め)を調べる(2時間) 【事後学修】 ・ 各閉じ込め方式の違いを整理し、最新の研究動向をまとめる(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第12回 | プラズマの不安定性とその制御 ・ 代表的なMHD不安定性(キンク不安定性、バルーニング不安定性) ・ プラズマの揺動と異常輸送 ・ 磁場・電場制御による不安定性の抑制【事後学習】授業内容の復習をすること(2時間) | 【事前学修】 ・ 主要なMHD不安定性(キンク不安定性、リップル損失)を調べる(2時間) 【事後学修】 ・ プラズマ制御技術(電流駆動、磁場制御)を整理し、応用例を確認する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第13回 | プラズマの不安定性とその制御/核融合プラズマの諸方式 ・ トカマク、ヘリカル、FRC、ミラー装置の比較 ・ プラズマの揺動抑制技術(E×Bシア、電流駆動) ・ 高ベータ運転と自己組織化プラズマ | 【事前学修】 ・ トカマク、ヘリカル、FRC、ミラー装置の基本特性を復習する(2時間) 【事後学修】 ・ 各方式の長所・短所を比較し、最新の開発状況を調べる(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第14回 | プラズマ中の衝撃波/相対論的プラズマ/完全反磁性プラズマ ・ 衝撃波の基本概念とプラズマにおける特徴 ・ 相対論的プラズマの性質と高エネルギー現象(レーザープラズマ) ・ 完全反磁性プラズマ(FRCなど)とその特徴 | 【事前学修】 ・ 相対論的プラズマの特性と高エネルギー現象について調べる(2時間) 【事後学修】 ・ 実験室プラズマと宇宙プラズマの衝撃波特性を比較する(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第15回 | プラズマの計測 ・ 代表的なプラズマ計測技術(ラングミュアプローブ、分光計測) ・ 干渉法と電子密度計測 ・ トムソン散乱法とプラズマ密度・温度の測定 | 【事前学修】 ・ 代表的なプラズマ計測手法(ラングミュアプローブ、トムソン散乱法)を予習する(2時間) 【事後学修】 ・ 計測手法の適用範囲と精度について整理し、実験例を調べる(2時間) | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
D. A. Gurnett and A. Bhattacharjee, Introduction to Plasma Physics [ISBN-13: 978-0521367301], Cambridge University Press, 2005, 1 edition
高村 秀一 『プラズマ理工学入門 [ISBN-13 : 978-4627782310]』 森北出版 1997年
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成績評価の方法 及び基準 |
出席した講義に対して提出された課題によって評価を行う(100%)。課題はClassroomを通じて提示され、指定された期限までに提出すること。 |
定期試験等に ついて |
定期試験を実施予定 |
質問への対応 | メールまたは居室にて随時対応します。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台7号館721C室(asai.tomohiko@nihon-u.ac.jp) |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 10:30 ~ 12:10
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学生への メッセージ |