2025年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | 物理実験学 | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 浅井 朋彦 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M42M |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 本授業では、計測や実験機器に関する基礎知識を学び、物理学実験で求められるデータの取得・解析・考察の方法を修得することを目的とする。特に、測定誤差の扱い、データ解析の基本的な手法、実験結果の論理的な解釈について学び、実験研究において得られたデータを適切に整理・分析し、的確に考察できる力を養う。 また、本授業での学びは、「物理学実験Ⅰ, II, III」や「物理学プロジェクト実験」、卒業研究等において、より高度な実験の設計や分析を行うための基盤となる。さらに、実験結果を的確に伝えるための報告書作成の基礎を習得し、論理的かつ明確な記述力を身につけることを目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
授業の方法: (1)各回の授業は授業計画に基づき、関連する物理現象や実験の実例を交えながらテーマ内容を解説する。 (2)講義内容の理解を深めるため、例題を解説し、計測・データ解析に関する具体的な手法を示す。 (3)復習および基礎力の養成を目的として、講義内容に関連した課題をレポートとして提出させる。 これらを通じて修得した知識・技術を、「物理学実験Ⅰ,Ⅱ」における実験や報告書作成の中で実践できるようにする。授業資料は、必要に応じてオンラインで配布する。 |
履修条件 | 1年生の通年科目「基礎物理学実験」の単位を取得していることが望ましい。 また、本授業では実験データの解析に数学的な知識が必要となるため、1年次に開講されている以下の科目の内容を理解していることが望ましい。 • 物理学インセンティブ • 微積分学Ⅰ・Ⅱ • 線形代数学Ⅰ・Ⅱ |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP3及びCP3に該当しています。 |
授業計画
第1回 | 実験物理学とは?(ガイダンス) ・ 実験物理学の意義と目的 ・ 物理学実験科目の体系と講義科目との関係 ・ 実験レポートの書き方 キーワード:測定値の表現,精度と確度,標本平均値,不偏分散 | 【事前学修】 ・ 1年次の「基礎物理学実験」のテキストや資料を確認し、実験レポートの基本的な書き方を復習する。 【事後学修】 ・ 授業で配布された資料を基に、実験レポートの作成手順やデータ整理の方法をまとめる。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
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第2回 | レポートにおける誤差の取り扱い ・ 誤差の種類(系統誤差・偶然誤差) ・ 絶対誤差と相対誤差の定義と計算 ・ 測定の意味と測定値の表し方 キーワード:誤差の種類,絶対誤差,相対誤差,誤差の表記方法 | 【事前学修】 ・ 「誤差の種類(系統誤差・偶然誤差)」について調べ、それぞれの特徴を整理する。 【事後学修】 ・ 授業の内容を基に、実験データの表記方法や誤差の扱いについて、簡単な例題を解いて確認する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第3回 | 誤差とその伝播 ・ 誤差の伝播法則と計算方法 ・ 有効数字の考慮 ・ 誤差が伝播する実例の紹介 キーワード:誤差伝播の法則,有効数字,測定値の四則演算 | 【事前学修】 ・ 誤差伝播の法則について調べ、基本的な計算方法を理解する。 【事後学修】 ・ 授業の演習問題を解き、測定値の誤差伝播の影響を実感する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第4回 | 誤差の分布と最確値 ・ 測定値の分布と統計的性質 ・ 確率分布の特性値(平均値,分散,標準偏差) ・ 正規分布・二項分布・ポアソン分布の特徴 キーワード:確率分布,最確値,標本標準偏差,母集団標準偏差,中心極限定理 | 【事前学修】 ・ 確率分布の基本概念(正規分布・二項分布・ポアソン分布)について調べる。 【事後学修】 ・ データセットを用いて最確値と標準偏差を計算し、データ分布の特徴を整理する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第5回 | 最小二乗法/実験式 ・ 最小二乗法の基礎 ・ 線形回帰と曲線フィッティング ・ 実験データからの経験式導出 キーワード:最小二乗法,線形回帰,χ²乗検定,データの棄却 | 【事前学修】 ・ 最小二乗法の考え方と基本的な計算方法について学ぶ。 【事後学修】 ・ 与えられたデータを使って線形回帰分析を行い、フィッティングの効果を確認する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第6回 | A/D変換(アナログ-デジタル変換) • ナイキストのサンプリング定理 • 量子化誤差,分解能とビット数 • 2進数の演算と有効数字 キーワード:アナログ信号,デジタル信号,GPIB,USB,A/D変換器 | 【事前学修】 ・ アナログ-デジタル変換の基本的な仕組み(ナイキストのサンプリング定理・量子化誤差)について調べる。 【事後学修】 ・ 授業の演習問題を解き、サンプリングレートと量子化誤差の影響を理解する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第7回 | 実験データの解析(フーリエ変換・統計的手法) ・ フーリエ変換の原理と応用 ・ 雑音の分離とデータ解析 ・ 統計的手法を用いたデータの整理 キーワード:FFT,移動平均,確率分布関数,累積分布関数 | 【事前学修】 ・ フーリエ変換の基本原理と実験データ解析への応用について調べる。 【事後学修】 ・ 授業で扱ったデータを用いてFFT(高速フーリエ変換)を試し、周波数成分を解析する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第8回 | 理解度確認のための平常試験および解説(第1~7回の範囲) | 【事前学修】 ・ 第1~7回の範囲を復習し、各テーマの基本事項を整理する。 【事後学修】 ・ 試験の解説を基に、理解が不足していた箇所を復習し、補強する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第9回 | 信号の伝送とインピーダンス ・ 信号の伝送特性 ・ インピーダンス整合の概念 ・ 直流・交流回路における応用 キーワード:伝送線路,インピーダンス整合,反射係数 | 【事前学修】 ・ 信号の伝送特性とインピーダンスの基礎を調べる。 【事後学修】 ・ 具体的な回路例を用いてインピーダンス整合の重要性を考察する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第10回 | インピーダンス整合/ノイズと計測 ・ インピーダンス整合の具体例 ・ ノイズの発生と低減手法 ・ 計測器の特性と誤差要因 キーワード:ノイズ源,フィルタ回路,増幅回路,S/N比 | 【事前学修】 ・ 計測器の特性とノイズ源について調べ、低減手法を整理する。 【事後学修】 ・ 測定システムにおけるS/N比の計算問題を解く。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第11回 | ノイズと計測/真空と物理実験 ・ 測定系におけるノイズ対策 ・ 真空技術の基礎(真空ポンプと排気速度) ・ 真空の単位と圧力測定 キーワード:真空ポンプ,コンダクタンス,真空計,真空漏れ | 【事前学修】 ・ 真空技術の基本(真空ポンプ・排気速度)について調べる。 【事後学修】 ・ さまざまな測定環境におけるノイズの影響とその対策について考察する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第12回 | 真空と物理実験/放射光の利用と光学計測 ・ 真空技術の応用と実験装置への影響 ・ 放射光の基礎と応用 ・ 光学的な測定手法と分光技術 キーワード:シンクロトロン放射,光学フィルタ,分光器,干渉計 | 【事前学修】 ・ 放射光の基本原理と応用例について調べる。 【事後学修】 ・ 放射光の利用例をまとめ、どのような実験に応用されているかを考察する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第13回 | 光学計測/温度計測 ・ 光学的な計測技術(レーザー干渉,光ファイバーセンサ) ・ 温度計測の原理と技術(熱電対,赤外線温度計) キーワード:光干渉,レーザー計測,熱電対,赤外線測定 | 【事前学修】 ・ 光学的な計測技術(干渉計・光ファイバーセンサ)について調べる。 【事後学修】 ・ 授業で学んだ温度計測技術(熱電対・赤外線温度計)を比較し、それぞれの適用範囲を整理する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第14回 | 放射線と粒子の測定/磁場計測/実験と測定限界 ・ 放射線検出器の種類と原理(Geiger計数管,シンチレーション検出器) ・ 磁場の測定(ホール素子,フラックスゲート磁力計) ・ 実験の測定限界と誤差要因 キーワード:放射線測定,粒子検出,磁場計測,測定限界 | 【事前学修】 ・ 放射線検出器の基本原理と測定方法について調べる。 【事後学修】 ・ 測定データの誤差要因とその補正方法について考察する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第15回 | 理解度確認のための平常試験および解説 | 【事前学修】 ・ 第9~14回の範囲を復習し、各テーマの基本事項を整理する。 【事後学修】 ・ 試験の解説を基に、理解が不足していた箇所を復習し、補強する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
その他
教科書 |
内容が多岐にわたるため教科書は特に指定しません。
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参考書 |
John R. Taylor 『計測における誤差解析入門』 東京化学同人 2000年
高野良紀、浅井朋彦、B.Zulkoskey 編 『専門課程 物理学実験(改訂版)』 裳華房 2018年 第改訂版版
兵藤申一 『物理実験者のための13章』 物理工学実験1 東京大学出版会 1976年
真空技術基礎講習会運営委員会編 『わかりやすい真空技術』 日刊工業新聞社 2010年 第第3版版
小坂学、岡田志摩 共著 『高校数学でマスターする計測工学 基礎から応用まで』 株式会社コロナ社 2016年 第初版版
馬杉正男 『信号解析 信号処理とデータ解析の基礎』 森北出版株式会社 2013年 第初版版
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成績評価の方法 及び基準 |
講義に出席した上で提出された課題による平常点(50点)および2回の平常試験(計50点)により評価する。 |
定期試験等に ついて |
定期試験を実施予定 |
質問への対応 | メールまたは物理学実験Ⅰ,Ⅱの実験実施日(水曜日、金曜日)に対面で対応する。(13:20-16:30) |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎7号館721C室 asai.tomohiko@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:15 ~ 13:10 浅井
金曜 駿河台 12:15 ~ 13:10 浅井
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学生への メッセージ |
物理学実験のレポート作成で講義内容を実践し理解度を確かめて実践してください。 |