2025年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
熱とエントロピーの物理学
熱力学入門
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 大谷 聡 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜5 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | S35D |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 熱力学は多数の原子・分子からなる多体系の巨視的振る舞いをごく少数の変数を用いて記述する物理学の一分野で,基本的に「熱力学第1法則」「熱力学第2法則」「状態方程式」の3つだけを用いる理論体系である.熱力学の適用範囲は驚くほど広いが,この授業では主に流体(気体または液体)を題材にして熱力学の基礎について学ぶ.特にエントロピーの概念を理解することを目標とする. |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 板書を用いた講義形式で行う. |
履修条件 | 特になし. |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | 本授業科目はDP1・3およびCP1・3に該当しています. |
授業計画
第1回 | 導入 これから学ぶ熱力学について,その全体像を俯瞰する.特に熱力学固有の問題設定や用語について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第1章(1ページから11ページ)を読んで熱力学の背景について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第2章(13ページから20ページ)を読んで用語の意味を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
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第2回 | 熱力学第1法則その1 熱力学第1法則とは熱エネルギーまで含めたエネルギー保存則に他ならない.これについて学ぶ. | 【事前学習】教科書の第3章3.1.1から3.2.4(21ページから27ページ)を読んで熱力学第1法則について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第3章3.1.1から3.2.4(21ページから27ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第3回 | 熱力学第1法則その2 熱力学第1法則を使いこなすには多変数関数の微積分の知識が欠かせない.ここでは特に全微分と偏微分について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第3章3.2.5から3.2.6(27ページから35ページ)を読んで2変数関数の偏微分と全微分について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第3章3.2.5から3.2.6(27ページから35ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第4回 | 熱力学第1法則その3 熱力学第1法則の応用例として,理想気体に対して成り立つMayerの関係式およびPoissonの法則について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第3章3.2.7から3.3.5(35ページから48ページ)を読んで熱力学第1法則の使い方について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.レポートは採点後に返却する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第5回 | 熱力学第2法則その1 熱力学第2法則には複数の表現があり,そのうちの1つがいわゆる第2種永久機関の存在を否定するThomson (Kelvin) の原理である.Thomsonの原理とその帰結である最大仕事の原理および最大吸熱の原理について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第4章4.1(53ページから55ページ)や参考書の第4章4.1から4.2(47ページから53ページ)を読んでThomsonの原理,最大仕事の原理および最大吸熱の原理について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第4章4.1(53ページから55ページ)や参考書の第4章4.1から4.2(47ページから53ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第6回 | 熱力学第2法則その2 CarnotサイクルとCarnot効率について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第4章4.2と4.4(55ページから57ページおよび59ページから61ページ)を読んでCarnotサイクルとサイクルの効率について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第4章4.2と4.4(55ページから57ページおよび59ページから61ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第7回 | 熱力学第2法則その3 Carnotの定理と熱力学的絶対温度について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第4章4.5(61ページから65ページ)を読んでCarnotの定理と熱力学的絶対温度について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.レポートは採点後に返却する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第8回 | エントロピーその1 Clausiusの定理について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第5章5.1から5.2.1(69ページから73ページ)を読んでClausiusの定理について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第5章5.1から5.2.1(69ページから73ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第9回 | エントロピーその2 エントロピーの定義とその簡単な応用例について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第5章5.2.2から5.3.3(73ページから79ページ)を読んでエントロピーとその応用について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第5章5.2.2から5.3.3(73ページから79ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第10回 | エントロピーその3 エントロピー増大則について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第6章6.1から6.2.1(95ページから97ページ)を読んで熱力学第2法則の一般的表現とエントロピー増大則について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.レポートは採点後に返却する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第11回 | 熱力学関数その1 Helmholtzの自由エネルギーとGibbsの自由エネルギーについて学ぶ. | 【事前学習】教科書の第6章6.2.2から6.2.3(97ページから102ページ)を読んでHelmholtzの自由エネルギーとGibbsの自由エネルギーについて予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第6章6.2.2から6.2.3(97ページから102ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第12回 | 熱力学関数その2 内部エネルギーとエンタルピーについて学ぶ. | 【事前学習】教科書の第6章6.2.4から6.2.5(103ページから105ページ)を読んで内部エネルギーとエンタルピーについて予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第6章6.2.4から6.2.5(103ページから105ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第13回 | 熱力学関数その3 Legendre変換を導入する.各種熱力学関数はLegendre変換で互いに結び付いていることを学ぶ. | 【事前学習】教科書の第6章6.3から6.4(105ページから110ページ)を読んで熱力学関数の自然な変数とLegendre変換について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.レポートは採点後に返却する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第14回 | 1次相転移 流体の気液相転移とClapeyronの方程式について学ぶ. | 【事前学習】教科書の第5章5.4.1(80ページから86ページ)を読んでClapeyronの方程式について予習しておくこと. 【事後学習】教科書の第5章5.4.1(80ページから86ページ)に載っている数式を追って復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第15回 | 平常試験およびその解説 | 【事前学習】授業中およびレポート課題で解いた問題について復習しておくこと. 【事後学習】解説を参考に解けなかった問題を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
その他
教科書 |
風間洋一 『熱力学入門講義 [ISBN: 9784563023232]』 培風館 2017年
授業では主にこの教科書の第2章から第6章までを扱う.
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参考書 |
佐々真一 『熱力学入門 [ISBN: 9784320033474]』 共立出版 2000年
授業ではこの参考書に載っている話題も一部取り上げる.
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成績評価の方法 及び基準 |
計4つのレポート課題(40%)および平常試験(60%)で成績評価を行う. レポート課題は採点後に返却する. |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | 授業中・授業外に関わらずいつでも受け付ける.メールでも良い. |
研究室又は 連絡先 |
研究室: 駿河台校舎8号館2階823D Email: ohya.satoshi@nihon-u.ac.jp Phone: 03-3259-0790 URL: http://aries.phys.cst.nihon-u.ac.jp/~ohya/ |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 17:00 ~ 18:00 事前にメール等で連絡を入れるのが望ましい
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学生への メッセージ |
熱力学は基本的に第1法則,第2法則,および経験則として与える状態方程式だけを用いて非自明で有用な結果を産み出す強力な理論です.この授業では,高校で物理学を学ばなかった学生も対象に,出来るだけ平易に熱力学の基礎について解説します. |