2025年 理工学部 シラバス - 学芸員課程
設置情報
科目名 | 学)博物館展示論 | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 江水 是仁 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜5 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | X55C |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | ・博物館における展示の意義と理念を理解し、説明できる ・博物館の展示手法を類別し、調査研究成果を効果的に展示する手法を説明できる ・博物館の展示を評価し、博物館展示を企画立案することができる |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
長谷川町子美術館や日本科学未来館で勤務経験を有することから、実際の博物館での経験を通してこれからの博物館に求められる役割や知識などを、研究成果と絡めて授業を行う。また、国際博物館会議(ICOM)での学会発表や国際人材育成委員会の理事を経験したことから、世界的な博物館の動向も授業で取り上げ、広い視野で博物館に関する知見を深める授業を行う。 なお、すべての回「対面授業」で行う。 |
履修条件 | 「博物館概論」の単位をすでに修得していることが望ましい。 将来、理工系の博物館や自然史系の博物館など、学芸員として博物館で勤務したい学生に履修してもらいたい。 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | . |
授業計画
第1回 | ガイダンス・振り返り 博物館展示論の授業の進め方、キャプションの作成やコメントシート、評価等を説明する | 事前学修:今まで学修した学芸員養成課程の科目を振り返り、展示の役割について確認すること 事後学修:博物館展示論を学ぶ意義、学芸員として博物館資料を展示するために必要な能力や技術・知識について確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
---|---|---|---|
第2回 | 博物館展示の意義 展示をするということはどういうことか、その意義や役割に関する理解を深める | 事前学修:博物館の四(三)大活動のなかで、展示活動が他の博物館の活動とどのような繋がりがあるのかを説明できるようにしておくこと 事後学修:博物館で博物館資料を展示する意義について確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第3回 | コミュニケーションとしての展示 展示を媒介としたコミュニケーションの在り方についての理解を深める | 事前学修:博物館体験を振り返り、各自記憶に残っている展示を思い出し、なぜ記憶に残っているのかを説明できるようにしておくこと 事後学修:展示と人、人と人とのコミュニケーションに働きかけていくことのできる展示を作り上げるために、どのような能力と技術が求められるのか、確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第4回 | 博物館展示の歴史 国威発揚やプロパガンダといった役割を担わされた博物館の展示の歴史を振り返る | 事前学修:博物館概論で触れた、欧米の博物館の歴史において、展示が果たした役割について確認すること 事後学修:展示の本質-持てる者(権力、財力、財貨など)がそれを誇示するところから始まっていることを確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第5回 | 博物館展示の形態 資料の魅力を生かし、かつ人々に資料を通したメッセージを伝えるための展示の形態に関する理解を深める | 事前学修:資料の魅力を効果的に展示するために、どのような形態があるのかを、自らの博物館体験を基に分類しておくこと 事後学修:本講義で得られた知見を基に、博物館を見学し、展示の形態を確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第6回 | 博物館展示の方法 博物館展示の方法に関する理解を深め、受講生が学芸員になった場合、的確な展示の方法ができるための最低限の知見を得る | 事前学修:多種多様な人々の学びに対応するために、博物館の展示にはどのような方法があるのか、自らの見学体験を基に説明できるようにしておくこと 事後学修:資料の魅力を最大限に生かし、来館者にその魅力(メッセージ)を伝えるための展示方法にはどのようなものがあるのかを説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第7回 | 博物館展示のための設備・備品・什器 実際の展示で用いられる設備や備品、什器にはどのようなものがあるのかを理解する | 事前学修:展示に必要な設備・備品・什器にはどのようなものがあるか。自らの見学体験を基に説明できるようにしておくこと 事後学修:本講義で得られた知見を基に、博物館を見学し、展示に必要な設備・備品・什器を確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第8回 | 博物館展示の実際1-展示の制作(企画から終了まで) 展示が出来上がるまでの一連の過程を把握する | 事前学修:博物館資料を調査・研究し、その成果を展示する際、どのような工程が求められるか、自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:展示を企画から終了まで遂行するために、どのような能力や知識が必要か、確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第9回 | 博物館展示の実際2-関係者との協力(他館・協力者・展示業者等) 展示が出来上がるまでには、多くの関係者との協力が不可欠である。どのような人たちがかかわるのか、その理解を深める | 事前学修:展示を企画・実施する際、関係者との協力が必要となる。どのような関係者が必要となるか、自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:関係者との協力をより充実したものにするために、どのような能力や知識が必要か、確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第10回 | 展示の解説活動1-解説文・解説パネル 展示されている資料の理解を深めるための解説文・解説パネルの在り方についての理解を深める。実際に解説文を作成し、実践する | 事前学修:解説パネルを講義内で作成する実習を行う。その準備として、博物館教育論で作成した解説シートで取り上げた展示物の魅力を自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:限られた条件の中で、最大限に資料の魅力を文字にて伝えるために必要な技術や知識を確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第11回 | 展示の解説活動2-展示解説書(ワークシート・展示図録) 展示されている資料や、展示企画の意図を深化するために作成される展示解説書の在り方についての理解を深める | 事前学修:購入した展示図録や博物館からもらったワークシートなどの記載内容を確認すること 事後学修:ワークシートや展示図録を作成するにあたり、展示に込められているメッセージを伝えるための工夫などを確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第12回 | 展示の解説活動3-人・機器による解説 展示されている資料や、展示企画の意図を深化するために人による解説や実演などが行われる。その在り方についての理解を深める。また、実際に博物館で行われていた実演を再現したワークショップを行う | 事前学修:人による解説や、機器による解説を受けた博物館体験を振り返り、展示の理解に与えた影響について、自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:授業内で行った実演の内容を振り返り、話す速度、口調、参加者の理解や関心を確認するためにどのようなことをしているのかを確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第13回 | 博物館展示の政治性と社会性 公共的空間である博物館で展示するということはどういうことか、政治性や社会性についての理解を深める | 事前学修:第4回の講義を振り返ること。また「あいちトリエンナーレ」のいきさつを各自調べておくこと 事後学修:博物館という公共空間の持つ「力」「機能」について、確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第14回 | 博物館の展示活動を紹介する映像を視聴し、学びを振り返る ルーブル美術館の活動を例に、展示他多様な人々によって博物館は支えられていることを理解する | 事前学修:これまでの授業を振り返り、どのようなことを学んできたかを振り返ること 事後学修:映像を視聴したことにより、多種多様な人々によって展示など博物館活動が支えられていることを確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第15回 | 平常試験及びその解説 授業で得られた知見の理解度を測る試験を行うとともに、授業の振り返りを行う | 事前学修:試験の傾向と対策を事前に伝えるので、その内容について、受講者自身の考えをまとめておくこと。 事後学修:試験終了後、採点のポイントについて解説をする。自身の回答を振り返り、博物館展示論として学んだことを内省すること。 | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
その他
教科書 |
この授業では教科書を指定せず、授業ごとにレジュメを配布する。
|
---|---|
参考書 |
日本展示学会 『展示論-博物館の展示をつくる』 雄山閣 2010年
大堀哲・水嶋英治 『博物館学Ⅱ-博物館展示論・博物館教育論』 学文社 2012年
黒沢浩 『博物館展示論』 講談社 2025年
1冊を選ぶのであれば、黒沢浩著『博物館展示論』を勧める。
|
成績評価の方法 及び基準 |
学修成果目標に達しているかどうかを、試験及びコメントシートの記載内容により評価を行う。 15回目の授業では、授業内試験を行い、採点のポイントと博物館展示論の学びの振り返りを行う。 授業終了後、毎回コメントシートの提出を課す。コメントシートの提出が授業回数13回のうちの1/3を下回ったものは、試験の成績がどれだけ良くても単位の取得を認めない。コメントシートの記載内容も評価の対象とする。 評価の割合 毎回のコメントシート(13回)30% + 試験 70% 評価基準 S)試験およびコメントシートにおいて、学芸員資格に求めらる知見が高度に身についていると判断できる点数を取得し、かつ学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えがまとめられていると認められる A) Sに次ぐ。 B)試験およびコメントシートにおいて、学芸員資格に求めらる知見が高度に身についていると判断できる点数を取得しているものの、学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えが認められない C)試験およびコメントシートにおいて、学芸員資格に求められる知見が最低限度でとどまっており、学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えが認められない E)試験およびコメントシートにおいて、学芸員資格に求められる知見が身についておらず、学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えが認められない。さらに授業への取り組みが消極的である |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | 基本メールで対応する。また授業開始前、終了後の時間にも対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
emizu.museology@outlook.jp 0463-63-4579(IP電話直通) |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
博物館学芸員の求人は大変少なく、狭き門となっています。とはいえ、資格を取得しない限り前には進めません。受講者には、資格を取得して博物館に勤めたいという強い思いをもって授業に臨んでください。 |