2025年 理工学部 シラバス - 学芸員課程
設置情報
科目名 | 学)博物館教育論 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 江水 是仁 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜6 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | Y25E |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | ・博物館教育の意義と理念を理解し、説明できる ・博物館利用者の博物館体験を類別し、博物館における学びの特性を指摘・説明できる ・博物館教育活動を実践し、博物館教育や博物館と学校や地域社会との連携の企画・評価ができる |
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授業形態及び 授業方法 |
長谷川町子美術館や日本科学未来館で勤務経験を有することから、実際の博物館での経験を通してこれからの博物館に求められる役割や知識などを、研究成果と絡めて授業を行う。また、国際博物館会議(ICOM)での学会発表や国際人材育成委員会の理事を経験したことから、世界的な博物館の動向も授業で取り上げ、広い視野で博物館に関する知見を深める授業を行う。 なお、すべての回「対面授業」で行う。 |
履修条件 | 「博物館概論」の単位をすでに修得していることが望ましい。 将来、理工系の博物館や自然史系の博物館など、学芸員として博物館で勤務したい学生に履修してもらいたい。 |
ディプロマ・ポリシー(DP)及びカリキュラム・ポリシー(CP)との関連 | . |
授業計画
第1回 | ガイダンス、博物館教育とは 授業の進め方やコメントシート、解説シート、評価などを説明する。あわせて博物館教育論の目的、学習内容について説明する。 | 事前学修:「博物館概論」を振り返り、「博物館教育論」を学ぶ意義について確認すること 事後学修:「博物館教育論」を学ぶ意義、学芸員として博物館教育を具現化するために求められる能力や技術について確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
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第2回 | 博物館体験を振り返る 受講者自身が博物館で学んだことを実体験を通して振り返る。それをもとに博物館での学びの特徴を把握する。 | 事前学修:自らの記憶に残っている博物館での体験を振り返り、自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:博物館での体験を個人的コンテキスト、社会的コンテキスト、物理的コンテキストに分類し、自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第3回 | 博物館の学びの特徴-①博物館の学びを過去から振り返り把握する 博物館概論で学んだ博物館の歴史を振り返り、人々に対して博物館はどのような役割があったのかを把握する。 | 事前学修:「博物館概論」で学習した、博物館の歴史(日本・世界を問わず)のなかで、教育の位置づけがどのように変化したのかを復習しておくこと 事後学修:現在、求められる博物館教育の役割は何かを確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第4回 | 博物館の学びの特徴-②ナラティブやインタープリレーション概念に基づく学びを考える 博物館教育の近年の理論、考え方を理解する。 | 事前学修:今までの博物館での学びを振り返り、どのようなことがきっかけで学びにつながったのかを自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:博物館でしかできない「学び」にはどのようなものがあるのか、自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第5回 | 博物館教育とはなにか、コミュニケーションとしての教育 生涯学習機関として博物館の役割は何かを理解する。 | 事前学修:「生涯学習概論1」の講義で得られた知見を思い出し、社会教育機関としての役割には何があるのかを自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:社会教育機関としての博物館の役割は何かを自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第6回 | 博物館教育の目的 博物館教育は何のために行っているのか、その考え方を理解する。 | 事前学修:博物館での教育には、どのような目的があるのかを、「博物館概論」や「生涯学習概論1」の講義で得られた知見を基に、自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:本講義で得られた知見を基に、博物館教育の目的を自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第7回 | 博物館教育の方法 博物館教育にはどのような方法があるのかを理解する。 | 事前学修:今まで体験した博物館の教育普及活動(ギャラリートーク、展示解説、実演など)を思い出し、その内容を自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:あなたが勤務したい博物館で行いたい教育普及活動を、自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第8回 | 博物館教育の現状と課題-①諸外国で展開される博物館教育の事例より 博物館教育がなぜ必要となったのか、欧米の例をもとに理解する。 | 事前学修:1960年代以降の世界史(現代史)を復習し、植民地からの独立、移民等による問題を確認すること 事後学修:なぜ欧米の博物館で教育普及活動の充実が求められるようになったのかを自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第9回 | 博物館教育の現状と課題-②わが国で展開される博物館教育の事例より 日本でもなぜ博物館教育が注目され、重要視されるようになったのかを理解する。 | 事前学修:博物館法、社会教育法を再度読み、博物館の教育活動に関してどのような記載があるのかを確認すること 事後学修:あなたが博物館で体験した教育活動を分類し、その特徴について自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第10回 | 博物館教育と学芸員 現在、博物館学芸員に求められる教育普及活動にはどのようなものがあるのかを理解する。 | 事前学修:博物館の解説シートに記載されている内容をよく読み、その特徴には何があるのかを自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:解説シート作成に当たり、注意すべき点には何があるのかを確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第11回 | 博物館教育活動の企画 学芸員として求められる教育普及活動を、「解説シート」を作成する実習を通して理解する。 | 事前学修:解説シート作成に当たり、必要となる情報を収集しておくこと 事後学修:解説シートを読むことで、資料に対する興味・関心が深まるような内容になっているかどうかを内省すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第12回 | 地域社会・学校と博物館教育 学校教育やほかの社会教育施設と、博物館はどのような連携が可能となるか、より充実した人々の学びに資するために博物館教育はどうあるべきかを把握する。 | 事前学修:小学校・中学校・高校在学中に、学校の学習の一環で行われた博物館見学を思い出し、どのような学びがあったかを思い出し、自分の言葉で説明できるようにしておくこと 事後学修:あなたが学芸員として学校や地域に対する学びを提供する場合、どのような博物館活動が展開できるのか、自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第13回 | 博物館教育活動の実践 「解説シート」をプレゼンテーションし、人々の学びを深めるために博物館や学芸員はどうあるべきか、受講者とディベイトを行う。 | 事前学修:解説シートを発表する人は、他人に解説シートを通した資料の魅力を伝えるためにどのようにプレゼンテーションをしたらいいのかを考え、その準備をすること。発表しない人は、あなたが作成した解説シートは、ターゲットとする人たちにより資料の魅力を深めるためにはどのようなことができるのかを内省すること 事後学修:様々な意見を聞いたうえで、より充実した解説シートを作るためにはどのような視点が求めらるのかを自分の言葉で説明できるようにしておくこと | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第14回 | 博物館の教育活動を紹介する映像を視聴し、「博物館教育論」の学びをを振り返る | 事前学修:これまでの「博物館教育論」の学びを振り返り、どのようなことを学んでいたのかを振り返ること 事後学修:映像を視聴したことにより、博物館ならではの学びと、その学びを生み出すための学芸員の役割について確認すること | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
第15回 | 平常試験及びその解説 授業で得られた知見の理解度を測る試験を行うとともに、授業の振り返りを行う | 事前学修:授業内試験の傾向と対策を事前に伝えるので、その内容について、受講者自身の考えをまとめておくこと。 事後学修:受講者自身の回答を振り返り、博物館教育論で学んだことを内省すること。 | 事前学修:2時間 事後学修:2時間 |
その他
教科書 |
この授業では教科書を指定せず、授業ごとにレジュメを配布する。
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参考書 |
小笠原喜康 『ハンズ・オン考 博物館教育認識論』 東京堂出版
湯浅万紀子編 『ミュージアム・コミュニケーションと教育活動』 樹村房
ジョージ・E・ハイン、鷹野光行他訳 『博物館で学ぶ』 同成社
黒沢浩編 『博物館教育論』 講談社
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成績評価の方法 及び基準 |
・学修成果目標に達しているかどうかを、試験及びコメントシートの記載内容により評価を行う。 ・11回目に歴史系または美術館を見学し、それらの館で教育普及活動を受けたことをレポートとして提出することを必須とする。このレポートを提出しないと単位取得を認めない。 ・11回目の授業では、受講者が好きでたまらないもの、自慢したいものを博物館資料と見立て、その魅力を伝えるために作成される博物館の「解説シート」を行う。その際、「解説シート」を通して「何を」「誰に向かって」伝えたいのか、そのために「どのような工夫をしたか」を基準に評価を行う。 ・13回目の授業では、数名程度解説シートのプレゼンテーションを行い、解説シートを通した博物館教育に関するディベイトを行う。 ・15回目の授業では、授業内試験を行い、採点のポイントと博物館教育論の学びの振り返りを行う。 授業終了後、毎回コメントシートの提出を課す。コメントシートの提出が授業回数13回のうちの1/3を下回ったものは、試験の成績がどれだけ良くても単位の取得を認めない。コメントシートの記載内容も評価の対象とする。 評価の割合 毎回のコメントシート(13回)30% + 解説シート 20% + 授業内試験 50% 評価基準 S)試験、解説シートおよびコメントシートにおいて、学芸員資格に求めらる知見が高度に身についていると判断できる点数を取得し、かつ学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えがまとめられていると認められる A) Sに次ぐ。 B)試験、解説シートおよびコメントシートにおいて、学芸員資格に求めらる知見が高度に身についていると判断できる点数を取得しているものの、学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えが認められない C)試験、解説シートおよびコメントシートにおいて、学芸員資格に求められる知見が最低限度でとどまっており、学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えが認められない E)試験、解説シートおよびコメントシートにおいて、学芸員資格に求められる知見が身についておらず、学芸員や博物館に対する課題などに関し、自分なりの考えが認められない。さらに授業への取り組みが消極的である |
定期試験等に ついて |
理解度確認期間(14週目又は15週目)に平常試験を実施予定 |
質問への対応 | 基本メールで対応する。また授業開始前、終了後の時間にも対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
emizu.museology@outlook.jp 0463-63-4579(IP電話直通) |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
博物館学芸員の求人は大変少なく、狭き門となっています。とはいえ、資格を取得しない限り前には進めません。受講者には、資格を取得して博物館に勤めたいという強い思いをもって授業に臨んでください。 |