2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 | 熱機関特論Ⅱ | ||
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設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 飯島 晃良 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F32B |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 熱機関は自動車、二輪車、建設機械、船舶、発電機、農業・工業用機械として交通機関、物流、市民生活に重要な役割を果たしている。しかし、地球温暖化、大気汚染、エネルギーセキュリティ等の問題から、熱機関の更なる高熱効率化技術、排気のクリーン化技術の向上が求められている。熱機関特論では、熱機関の原理と理論を知った上で、最新の熱機関技術との対応を図ることで、熱機関の継続的な性能向上の理論と実際を考える。本講義は、将来熱機関の分野に進む人だけではなく、工学の広い分野に進む人のためにも、社会・経済等とも大きなかかわりを持っている熱機関の最新技術、燃焼、排気対策技術、エネルギー問題を理解するうえで有用になると思われる。 熱機関特論Ⅱ(後期)では、以下の学修到達目標を掲げ、主にディーゼルエンジン、ガスエンジン、その他のエンジンについて取り扱う。 【学修到達目標】 ①ディーゼルエンジンその他エンジンの動作過程を理解した上で、各行程で起こる物理的・化学的な現象をとらえ、それらが熱効率、排気のクリーン化に与える影響を説明できる。 ②いくつかの最新のエンジンの特徴やコンセプトを知った上で、それらのコンセプトがなぜ有効なのかを、①の理解に基づいて科学・工学的に説明し、更なる課題などを提案できる。 ③社会・環境問題と熱機関との関係を分析し、将来動力源の在り方、熱機関に対する今後の研究開発課題を提案できる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
【対面授業】 熱機関理論、環境・社会・経済問題、熱機関応用技術など、幅広い内容を含むため、内容に応じて適宜以下の方法を用いて授業を行う。 ・ 板書 ・ スライド ・ 最新技術に関連する論文等を用いた講義 ・必要に応じてテーマの小課題(あるいは中間課題)を出して、レポート提出をして貰う。 講義にあたって,実務経験を持つ担当教員が,実社会での実例など,この科目で学ぶ内容がどのように応用させるのかを説明する. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
シラバス(授業計画)に示す内容について、自分なりに事前に調査し、用語の理解や概要のイメージしておくことが望ましい。講義の後には、その内容を振り返り、今後の課題や展望など、自分の意見を整理しておくことが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 熱機関特論Ⅱの概要説明 ディーゼルエンジン、ガスエンジン、分散動力としてのコジェネレーションエンジン、予混合圧縮着火(HCCI)エンジンなど、熱機関特論Ⅱで取り扱うエンジンの特徴と環境問題との関わりを概説する | 【事前学修】ディーゼルエンジン、ガスエンジン、コジェネレーションエンジンがどのような用途に適しているかを調べておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、環境問題への対応について考える。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
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第2回 | ディーゼルエンジンの基礎知識 ディーゼルサイクル・サバテサイクル、着火・燃焼過程、有害排出ガスの生成、電子制御式高圧燃料噴射、過給、排ガス再循環(EGR)など) | 【事前学修】ディーゼルエンジンの熱力学サイクルと動作原理を理解しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、現在のディーゼルエンジンの最新技術を調べる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第3回 | ディーゼルエンジンの燃料噴射技術 高圧噴射、多段噴射による性能、燃焼、騒音等の改善、コモンレールシステムとインジェクター、Φ-T(当量比-温度)マップとエンジン燃焼 | 【事前学修】ディーゼルエンジン高圧噴射、多段噴射が行われる背景を調べて考察しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、現在のディーゼルエンジンの燃料噴射技術を調べる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第4回 | ディーゼルエンジンの有害排出ガス対策技術 高圧多段噴射、EGR (Exhaust Gas Recirculation)、Cooled EGR、高圧EGR、低圧EGR、後処理装置: DPF (Diesel Particulate Filter)、DPR (Diesel Particulate active Reduction System)、尿素SCR (Selective Catalytic Reduction),酸化触媒,吸蔵触媒]について。他 | 【事前学修】ディーゼルエンジンの排気後処理システムの概要を調べておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、現在のディーゼルエンジンで用いられている複数種類の排気後処理技術と将来展望を考察する。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第5回 | ディーゼルエンジンの過給技術 高過給化が燃費と排ガスに与えるインパクト、ターボインタークーラー、可変ターボ技術 | 【事前学修】過給機の種類と特徴を調べておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、最新ディーゼルエンジンにおける過給機の役割を考察する。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第6回 | 低圧縮比ディーゼルエンジン技術 低圧縮比化の背景、ディーゼルエンジンの予混合燃焼化 | 【事前学修】低圧縮比化によるメリットとデメリットを考え、考察しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、低圧縮比ディーゼルによる高効率クリーン化の技術を考察する。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第7回 | 最新のディーゼルエンジン技術について。 乗用車用ディーゼルエンジン 商用車用ディーゼルエンジン | 【事前学修】乗用車用ディーゼルと商用車ディーゼルの相違点を考え、それが設計指針にどのような影響をもたらすかを考察する。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、乗用車・商用車それぞれの最新ディーゼルエンジン技術を調べる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第8回 | 次世代ディーゼルエンジン研究の最前線 | 【事前学修】ディーゼルエンジンの噴射、過給、後処理技術総合的に復習しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、ディーゼルエンジンの技術論文や開発論文を題材に、最新のディーゼルエンジン技術を理論に基づき説明できるようにする。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第9回 | 舶用大型ディーゼルエンジンの技術 | 【事前学修】舶用ディーゼルと自動車用ディーゼルの共通点や相違点を考察しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、舶用ディーゼルエンジンの最新技術を調べる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第10回 | ガスエンジンの技術 | 【事前学修】ガスエンジンと自動車用ディーゼルの共通点や相違点を考察しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、ガスエンジンの最新技術を調べる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第11回 | 予混合圧縮着火(HCCI)燃焼技術 HCCI燃焼の概要、従来燃焼方式との比較、実用化に向けた課題 | 【事前学修】HCCI燃焼とは何か、調査をしておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、HCCIの基礎と課題を調べる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第12回 | HCCIの研究開発の歴史 | 【事前学修】HCCI燃焼の開発の歴史を調査をしておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、HCCIの歴史と課題を理解する。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第13回 | HCCI燃焼メカニズム | 【事前学修】HCCI燃焼に関連する低温酸化反応、自着火、化学反応の特性を調べておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、HCCI燃焼のメカニズムと実用化に向けた燃焼技術課題を整理する。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第14回 | HCCI燃焼開発最前線 | 【事前学修】HCCIエンジンの実用化に向けた課題を調べておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、最新のHCCI研究開発についてまとめる。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
第15回 | 熱機関技術まとめと将来展望 | 【事前学修】熱機関特論Ⅱで取り扱った熱機関技術をまとめ、将来展望について考察しておく。 【事後学修】事前学修内容と講義の内容から、熱機関技術を高度化させるために求められる将来技術を考え、提案する。 | 事前学修 2時間 事後学修 2時間 |
その他
教科書 |
鈴木孝幸, ディーゼルエンジンの徹底的研究, グランプリ出版, 2012, 1 edition
飯島晃良 『基礎から学ぶ高効率エンジンの理論と実際』 グランプリ出版 2018年 第1版
飯島晃良,吉田幸司 『基礎から学ぶ内燃機関』 2022 森北出版年 第1版
鈴木孝幸 『自動車用ディーゼルエンジンの理論と実際』 山海堂 2007年 第1版
粟野誠一 『内燃機関工学』 山海堂 1989年 第改定版
鈴木 孝 『ディーゼルエンジンの挑戦』 三樹書房 2008年
浅妻 金平 『ターボチャージャーの性能と設計』 グランプリ出版 2014年
粟野誠一 『熱力学』 山海堂 1974年 第改定版
古濱庄一 『内燃機関』 森北出版 1997年 第1版
畑村耕一、世良耕太 『自動車エンジンの技術』 ナツメ社 2016年 第1版
畑村耕一 『自動車エンジン技術がわかる本』 ナツメ社 2009年 第1版
受講にあたって、特定の教科書を入手する必要はありませんが、各自の理解度や興味などに応じて、ここに挙げた教科書や参考書を参考にしてください。特に、学部で機械工学以外を専攻した受講者は、熱力学や基礎的な内燃機関の書籍を入手することをお勧めします。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
廣安博之、寶諸幸男、大山宜茂 『大学講義シリーズ 23改定・内燃機関』 コロナ社 2002年 第改定版第版
M.J. Pilling 『Low-Temperature Combution and Autoignition』 Comprehensive Chemical Kinetics, Volume 35 ELSEVIER 1997年 第1版
吉田幸司、岸本 健、木村元昭、田中勝之、飯島晃良 『基礎から学ぶ熱力学』 オーム社 2016年 第1版
斎間 厚、江良嘉信、増田哲三、庄司秀夫 『基礎 熱力学』 産業図書 2002年 第1版
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成績評価の方法 及び基準 |
授業内課題(小課題,中間レポート)30%、期末レポート70% |
質問への対応 | 随時受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎,タワー・スコラS1704室 E-mail: iijima.akira@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:10 ~ 13:20 タワー・スコラS1704室
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学生への メッセージ |
熱機関の重要な役割と地球環境に優しい熱機関,代替燃料機関, エネルギー資源問題の最新技術を学んで貰いたい. |