2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 | 振動工学特論Ⅱ | ||
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設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 渡辺 亨 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F35B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 振動制御を対象にして、現代制御理論またはポストモダン制御理論についての知識を与える。具体的には、制御理論の概要の理解(現代制御、H∞制御)とアクティブ振動制御系設計手法の理解。この科目を修得することで現代制御・ポストモダン制御の基礎と,それらを用いたアクティブ振動制御システムの設計が可能となる. |
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授業形態及び 授業方法 |
本科目は「対面授業」とします.教室で対面授業を実施しますので特に理由が無ければそれを受講して下さい.毎回小レポートを課しますので,CST-VOICEで期日までに提出して下さい(レポートの解説は次回の冒頭に行います). |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部課程で学ぶ「線形代数」および制御工学系科目(「フィードバック制御の基礎」または「制御工学Ⅰ」,「線形システム制御」または「制御工学Ⅱ」)を履修しているか,それら科目の内容についてある程度知識がある事が望ましい。また,学部段階で振動工学Ⅰ(または「機械力学Ⅲ」を履修していることが望ましい.さらに前期開講の「制御工学特論」を履修していると理解が深まる. |
授業計画
第1回 | 制御の基礎(振動と制御における基礎概念の復習) 古典制御理論を中心とする制御に関する基礎概念の復習 | 【事前学習】学部課程の「フィードバック制御の基礎」について復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
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第2回 | 現代制御理論の基礎その1(状態方程式) 現代制御理論で用いる状態方程式の導入.振動系の行列運動方程式からの定式化. | 【事前学習】前期の「振動工学特論Ⅰ」の「多自由度系」について復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第3回 | 現代制御理論の基礎その2(評価関数とリッカチ方程式) 2次形式評価関数の導入とトレードオフ概念の理解.リッカチ方程式による求解. | 【事前学習】学部課程の「線形代数」について復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第4回 | 現代制御理論の基礎その3(出力フィードバックとオブザーバ) 観測雑音とシステム外乱のトレードオフ概念の理解.リッカチ方程式による求解. オブザーバを併合した出力フィードバック制御器の構成 | 【事前学習】学部課程の「線形システム制御」について復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第5回 | 現代制御理論を用いた制振システム設計その1 状態フィードバック制御器設計のための重みの置き方 準最適制御則を用いた固定ゲインによる近似状態フィードバック制御手法の紹介 オブザーバを併合した出力フィードバック制御器設計 | 【事前学習】本講義の第3回の内容について再度復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく(120分) | 事前:2 事後:2 |
第6回 | 現代制御理論を用いた制振システム設計その2 現代制御理論の拡張(周波数成形LQG制御、LQG/LTR,LQI制御など) | 【事前学習】本講義の第1~第5回の内容について再度復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第7回 | H∞制御理論の基礎その1 現代制御の問題点、モデル誤差(加法的・乗法的、構造的・非構造的),ロバスト性 | 【事前学習】「ロバスト性」について調べてくる(120分) 【事後学習】講義の内容に整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第8回 | H∞制御理論の基礎その2 ノルム概念の導入,H∞ノルムの直観的理解,小ゲイン定理の直観的理解 | 【事前学習】「ノルム」「小ゲイン定理」について調べてくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第9回 | H∞制御理論の基礎その3 一般化プラント概念の導入、H∞制御問題(感度低減問題、ロバスト安定問題) | 【事前学習】「H無限大ノルム」「小ゲイン定理」について調べてくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく(120分) | 事前:2 事後:2 |
第10回 | H∞制御理論を用いた制振システム設計その1 構造的誤差を考慮した定式化による,パラメータ変動に対しロバストな制御器設計 | 【事前学習】「構造的誤差」について調べ,具体的な例を一つ以上考えてくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第11回 | H∞制御理論を用いた制振システム設計その2 非構造的誤差を考慮した定式化による,スピルオーバに対しロバストな制御器設計 | 【事前学習】「非構造的誤差」について調べ,具体的な例を一つ以上考えてくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第12回 | H∞制御理論を用いた制振システム設計その3 構造的誤差と非構造的誤差,両者を考慮したより現実的かつ合理的な定式化 | 【事前学習】本講義の第10~第11回の内容について再度復習してくる(120分) 【事後学習】講義の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第13回 | アクティブ振動制御の事例紹介 | 【事前学習】「アクティブ振動制御の事例」を調べる(120分) 【事後学習】講義・見学の内容を整理し,理解を深めておく.(120分) | 事前:2 事後:2 |
第14回 | 制御工学と技術者倫理について,平常試験とその実施に関する解説 | 【事前学習】一般的な「技術者倫理」について調べてくる(120分) 【事後学習】講義で学んだ内容を元に技術者倫理について再考する(60分) | 事前:2 事後:1 |
第15回 | 平常試験問題の解説,最終レポートに関する解説 | 【事前学習】平常試験問題について再検討しておく(60分) 【事後学習】最終レポートをまとめる(240分) | 事前:1 事後:4 |
その他
教科書 |
背戸一登 『構造物の振動制御』 コロナ社 2006年 第1版
構造振動制御に関する教科書。振動学の基礎から制御系設計,適用例まで含む良書。構造制御に関心のある者には特に強く勧める。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
木村英紀,藤井隆夫、森武宏 『ロバスト制御』 コロナ社 1994年 第1版
平田光男 『実践ロバスト制御』 システム制御工学シリーズ コロナ社 2017年 第1版
ロバスト制御に関してまとめられた良書。前者は特定の制御理論に偏らず,ロバスト性の考え方から説き起こしておりロバスト制御に関心のある者には強く勧められる。後者はH∞制御を中心に実践的なロバスト制御について解説しており具体的な応用を考えている者には最適。
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成績評価の方法 及び基準 |
第2回~第13回のレポートの提出(24%),第14回の平常試験のできばえ(26%)および第15回の「最終レポート」のできばえ(50%)で総合的に評価する。 |
質問への対応 | 対面授業の時はその場で,それ以外の時は随時メール等で受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワー・スコラ17階S1706室、内線741、watanabe.toru27@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 11:40 ~ 13:10 タワー・スコラ17階S1706室
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学生への メッセージ |
制御理論そのものより,理論を使いこなす技術の習得に重点を置き、証明等は行わずに直感的な説明を旨として講義します。あまり数学・制御工学に自信が無い人もどしどし履修してください。 |