2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 |
機械工学特別講義Ⅱ
大型構造物の制振技術の実際(アクティブ式を中心に)
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設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 小池 裕二 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜4 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F44A |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | ・制振技術の概念および,適用事例を説明することができる。 ・制振技術が,機械工学の上に成り立っていることを理解し,機械力学,振動学および,制御理論などの基礎知識がどのように活用されているかを説明することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 本科目では,大型構造物の制振技術(振動を低減する技術)を取りあげる。制振技術を実際の製品に適用する場合に,機械力学,振動学および,制御理論がどのように活用されているかを実務経験を通して講義する。また,工場において実機見学を行い,講義内容への理解を深める機会を用意する。講義にはパワーポイントを使用し,同内容は授業前に配布する。必要に応じて,板書で補足説明を行うほか,多数の動画を紹介する。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
機械力学,振動学および,制御理論の予備知識を有していることが望ましい。 関連授業として,振動工学特論Ⅱおよび,制御工学特論を受講されると,効果的である。 |
授業計画
第1回 | 「ガイダンス」 ・シラバスを用いた授業の概要説明 ・授業の進め方の説明 ・自己紹介ほか | 【事前学修】シラバスの内容を確認の上,授業に臨むこと。 【事後学修】シラバスの内容を確認する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
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第2回 | 制振技術の基礎(1) 世の中の振動現象について振り返り,人との関わりについて学ぶ。 | 【事前学修】様々な振動現象を見つけて,現象のメカニズムや人との関わりを調べておく。 【事後学修】様々な振動現象について,現象のメカニズムや人との関わりを整理する。授業の中で,知らなかった振動現象があれば,調べて,理解する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第3回 | 制振技術の基礎(2) 免震技術と制振技術について,原理と力学的なメカニズムを理解する。また,種々の実施例を取り上げ,目的や機能を理解する。 | 【事前学修】1自由度系の振動特性を,強制力加振および,強制変位加振の観点から整理しておく。 【事後学修】免震技術と制振技術の原理および,力学的なメカニズムを整理し,説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第4回 | 制振技術の基礎(3) 制振技術におけるアクティブ式および,パッシブ式について,それぞれの概念,力学的なメカニズムを理解する。また,種々の実施例を取り上げ,目的や機能を理解する。 | 【事前学修】1自由度系の振動特性を理解し,整理しておく。 【事後学修】アクティブ式および,パッシブ式について,それぞれ,概念,メカニズムおよび,特長を整理し,両者の違いを説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第5回 | 制振技術(4) 制振技術のうち,マスダンパ方式を対象に,アクティブ式,パッシブ式および,ハイブリッド式など,種々の方法について,概念を理解する。さらに,実機の機構,アクチュエータ(アクティブ式および,ハイブリッド式),装置の配置方法などについても,確認する。 | 【事前学修】マスダンパ方式の適用例を調べ,適用対象および,目的を調べておく。 【事後学修】マスダンパ方式について概念,メカニズムおよび,特長を整理し,各方法の違いを説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第6回 | 制振技術(5) マスダンパ方式における制振の原理を1自由度系を対象に,力学的な観点から理解する。アクチュエータの制御法および,制御特性を確認し,制振性能への関連性を理解する。 | 【事前学修】2自由度系の振動特性について,運動方程式の導出も含めて理解し,整理しておく。 【事後学修】マスダンパ方式における制振の原理を力学的な観点から理解し,説明できるようにする。また,余裕があれば,アクチュエータの特性を考慮した場合の影響を関連づけてみる。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第7回 | 制振技術の基礎(6) マスダンパ方式(以降,制振装置と呼ぶ)を多自由度系へ適用する場合の設計について,制御系の安定性および,不安定回避のための制御法の適用について理解する。 | 【事前学修】多自由度系の振動特性について,運動方程式の導出も含めて理解する。また,モード解析法の概念や,制御系の安定性についても調べておく。 【事後学修】制振装置を多自由度系に適用した場合の制御系設計について,制御系の安定性および,不安定回避のための制御法の適用を理解し,設計の留意点を説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第8回 | 制振技術の基礎(7) 制振装置の実機を製作後,性能確認するに際し,工場での作動試験,現地での性能試験および,納入後のモニタリング装置による稼働記録の収録について,目的と方法を理解する。また,試験結果から,制振装置の性能を確認する。 | 【事前学修】振動計測の方法を調べておく。また,計測器を使って,どのような計測や評価ができるか,考えておく。 【事後学修】制振装置の性能検証法を整理し,理解する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第9回 | 制振装置の実施例(1) 橋梁への適用について,制御方法や性能を実施例によって理解する。 | 【事前学修】橋梁の種類,各構造部の名称および,橋梁の振動について調べ,整理しておく。 【事後学修】橋梁の制振装置について,目的,性能および,制御法を理解し,説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第10回 | 制振装置の実施例(2) 高層ビルへの適用について,制御方法や性能を実施例によって理解する。設計時の性能見積および,現地試験における性能評価についても確認する。 | 【事前学修】世の中の高層ビルについて,高さ,重量および,振動特性を調べておく。 【事後学修】高層ビルの制振装置について,目的,性能および,制御法を理解し,説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第11回 | 制振装置の実施例(3) 船舶への適用(適用した装置を減揺装置と呼ぶ)について,原理を力学的なメカニズムから確認し,橋梁や高層ビルなどの陸上構造物の場合との違いを理解する。つぎに,制御方法や性能を実施例によって理解する。 | 【事前学修】船舶の運動を調べ,橋梁や高層ビルなどの陸上構造物との違いを考えてみる。 【事後学修】船舶の減揺装置について,原理を理解し,目的,性能および,制御法を説明できるようにする。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第12回 | 制振装置の実施例(4) その他の適用例として,連結制振,空港管制塔および,船体上部構造などについて,目的,性能および,制御法を理解する。 | 【事前学修】これまでの適用例を確認しておく。 【事後学修】連結制振,空港管制塔および,船体上部構造などについて,目的,性能および,制御法を整理し,それぞれの特長を理解する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第13回 | フル・アクティブ式制振装置における地震対応 フル・アクティブ式制振装置における地震対応について,目的,制御方法および,性能を種々の実施例を通して理解する。リニアモータを用いた制振装置の構造および,特長を理解する。 | 【事前学修】これまでに発生した地震を調べ,特長を確認する。また,日本における建物の地震対策について,耐震や免震も含めて調べてみる。 【事後学修】フル・アクティブ式制振装置における地震対応について,目的,制御方法および,性能を整理し,理解する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第14回 | 「見学会」 弊社(株式会社IHI)横浜事業所(横浜市磯子区)の工場で,制振装置(実機)の作動試験を見学し,これまでの授業内容への理解を深める。 ・試験工程によっては,前後の授業との入れ替えも検討します。 ・見学は,実施日の遅くとも,2週間前に連絡します。 | 【事前学修】これまでの授業内容を復習しておく。 【事後学修】見学後の知見や感想を整理しておく。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第15回 | 「まとめ」 授業の理解度,到達度および,達成度を確認するために,平常試験および,解説を行う。 | 【事前学修】これまでの授業内容を復習しておく。 【事後学修】平常試験でわからかった箇所,間違った箇所を復習し,理解する。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
その他
教科書 |
毎回の授業開始時に,当日の授業内容と前回授業の振り返りを記した資料を配布します。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
ガイダンスにて,いくつか紹介します。
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成績評価の方法 及び基準 |
第15回の平常試験における点数で評価。試験後,答案を回収し,授業時間内に解説を実施。 正解が60%以上で合格とする。 |
質問への対応 | 授業中に理解できなかったこと,もっと知りたいことがあった場合は,質問内容を整理し,授業後に質問して下さい(大歓迎)。即答できる場合は,その場で回答致します。また,説明に時間を要する場合は,次回の授業前ないしは,授業後に回答致します。 |
研究室又は 連絡先 |
メールアドレス:koike0776@ihi-g.com 電話番号(会社携帯):070(3238)8677 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
振動学,制御に関心がある方は,是非,受講下さい。授業で学ぶ基礎知識が実際の製品にどのように使われているかを具体的に紹介します。今年度も,工場で実機見学を行います。 |