2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 航空宇宙工学専攻
設置情報
科目名 | システム工学特論 | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 嶋田 徹 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H13A |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 1.固体ロケットの設計の理解: 固体ロケットの構造(グレイン、燃焼室、ノズル等)と設計原理を学び、ミッション要件に応じた仕様を定義する能力を養う。 2.CFD技術の適用: 圧縮性流体と混相流の方程式を理解し、固体ロケットの内部流れを手作りCFDコードでシミュレートする。 3.シミュレーションの分析と評価: CFDデータを分析し、ロケットの流動特性と性能評価を行う。 4.プロジェクト完遂能力: 技術的問題を特定し、改善策を実装してプロジェクトを管理し、成果を発表する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
教授法: JAXAや企業で豊富な実務経験を持つ教員が、基礎から応用まで固体ロケットと流体力学を教授。 実践: 教員が提供する手作りCFDコードを基に学生が自らCFDコードを扱い、軸対称固体ロケットの設計と性能評価を行う。 成果発表: 各自のプロジェクト成果をクラスで発表し、相互フィードバックを通じて学びを深める |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
物理学: 流体力学および熱力学の基礎知識。 数学: 学部レベルの代数、幾何、微積分。 PC環境: プログラミング可能なPC環境を有すること。 |
授業計画
第1回 | 「導入」 コースの目的、教授法、評価基準、及び全体のコース内容を概説する。 | 【事前学修】シラバスを確認し授業の構成を理解しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
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第2回 | 「固体ロケットの基本構造と固体推進薬の燃焼」 固体ロケットの主要構造と推進薬の燃焼理論を学び、特にコンポジット推進薬の燃焼メカニズムを理解する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第3回 | 「固体ロケット内の流動の特徴と影響」 混相流の基本概念と特性無次元数を学び、固体ロケット内の流動特性と設計への影響を理解する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第4回 | 「圧縮性流体のCFD数値解析法の基礎(1)」 1次元スカラー波動方程式と非線形バーガーズ方程式を用い、風上スキームによる数値解法を実践する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める。配布されたプログラムを使って、結果を確認する | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第5回 | 「圧縮性流体のCFD数値解析法の基礎(2)」 1次元圧縮性流体のEuler方程式を学び、その数値解法を通じて圧縮性流体の解析手法を習得する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第6回 | 「1次元衝撃波管シミュレーションのためのプログラム作成と数値安定性の検証」 衝撃波管の数値解析プログラムを作成し、波動挙動を解析しながら数値解の精度と安定性を検証する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める。配布されたプログラムを使って、結果を確認する | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第7回 | 「定常流解析と数値安定性、軸対称への拡張」 定常流の陰解法を習得し、数値安定性を確認。さらに、軸対称問題への技術応用について探求する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第8回 | 「中間理解度確認」 これまでの内容を振り返り、理解度を確認する。必要に応じて補足説明を行い、今後の学習の指針とする。 | 【事前学修】ここまでの講義の内容の理解を深め、疑問点を整理しておく。 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第9回 | 「固体ロケット内の軸対称平衡混相流の数値解析」 「Axisim2DL」を用いて、軸対称固体ロケットの混相流解析を行い、グリッド生成や境界条件の設定を学ぶ。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める。配布されたコードを使って、グリッド生成〜平衡混相流の解析を追体験する | 【事前学習】2時間 【事後学習】3時間 |
第10回 | 「非平衡固気混相流の数学モデル」 非平衡固気混相流の数学的表現を学び、数値解析に必要なモデル化の手法を理解する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第11回 | 「非平衡固気混相流の数値解析」 「Multi-Axisim2DL」を用いて非平衡固気混相流の数値解析を実践し、初期条件・境界条件の設定を行う。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める。配布されたコードを使って、非平衡混相流の解析を追体験する | 【事前学習】2時間 【事後学習】3時間 |
第12回 | 「個人プロジェクトの開始」 提示されたテーマから各自が選択し、軸対称固体ロケットの初期設計(グレイン寸法、ノズル形状)を行う。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】2時間 【事後学習】2時間 |
第13回 | 「個人プロジェクトの数値解析の実践」 設計した固体ロケットの内部流れをシミュレーションし、推力性能を評価する。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める。個人プロジェクトの中間報告に向けて準備を始める | 【事前学習】2時間 【事後学習】3時間 |
第14回 | 「プロジェクト成果報告(口頭発表)」 プロジェクトの概要を発表し、クラス内でフィードバックを受ける。 | 【事前学修】事前配布資料の内容を確認しておく。個人プロジェクトの成果報告(口頭発表)の準備をしておく 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める。最終報告に向けて準備を進める | 【事前学習】4時間 【事後学習】3 時間 |
第15回 | 「プロジェクト成果報告(報告書提出)」 成果をまとめたレポートを提出する。 | 【事前学修】フィードバックを反映し、最終報告のためのレポートを作成する 【事後学修】講義内容を復習し理解を深める | 【事前学習】4時間 【事後学習】1時間 |
その他
教科書 |
特に教科書は用いません。 事前に講義のスライドをGoogle Classroomよりダウンロードできるようにします。 手作りのFORTRANプログラムは該当回の後に配布します。講義中は、Visual Studio Codeを用いてプログラムを紹介します。 コンパイル〜実行は、iMac上でgfortranにより行う予定です。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
嶋田徹、大門優、関野展弘 『Computational fluid dynamics of multiphase flows in solid rocket motors』 JAXA Special Publication, JAXA-SP-05-035E JAXA 2015年 第1版
ダウンロード可: https://jaxa.repo.nii.ac.jp/records/6093
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成績評価の方法 及び基準 |
授業計画の第8回に行う「中間理解度確認」と第14回に行う「プロジェクト成果報告(口頭発表)」と第15回での「プロジェクト成果報告(報告書提出)」を成績評価の対象とします。また、授業中の受講態度(出席状況など)も「平常点」として評価し、全体の成績に反映します。成績評価は以下の配分で行います: - 「中間理解度確認」: 全体の30% - 「プロジェクト成果報告」:全体の40% - 「平常点」: 全体の30% |
質問への対応 | 質問は対面でお願いします。講義中の質問大歓迎です。 又、講義後の時間にも受け付けます。それ以外は、オフィスアワーに受け付けます。 また要すれば、教員の日大メール宛で日時調整の上、船橋又は駿河台で対応することも可能です。 メールの件名は「システム工学特論に関して(学生氏名)」とし、本文には「質問内容」と「対面希望日・午前/午後」「希望場所」を必ず含めてください。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎3号館3階337B メールアドレス : shimada.toru24@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 船橋 15:00 ~ 16:00
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学生への メッセージ |
この講義では、固体ロケットのシステム設計やCFD解析を実践しながら学びます。理論を知るだけでなく、手作りコードと照らし合わせながらシミュレーションし、試行錯誤を重ねることで理解を深めていきましょう。そして、設計解析プロジェクトの成果を発表し、互いに学び合う場にしたいと思います。難しい部分もあるかもしれませんが、楽しみながら取り組んでください。積極的な挑戦を期待しています! |