2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 情報科学専攻
設置情報
科目名 | 情報科学特別講義 | ||
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設置学科 | 情報科学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 勢力・北村 他 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜5 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | K55A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 21世紀、科学技術が私たちの生活の隅々まで関わってきた現在、世界はどのように変化し、私たちは何を考え、行動していくべきなのだろうか。 断片的で偏った情報があふれ、それらに翻弄されがちな時代だからこそ、人文社会系の諸科学が探究する問いと考察との対話を通じて、情報に着眼する力、情報の見えにくい関係性を構想し発見する力、多様・異質な情報をも正確に理解する力、それらを表現する論理力と語彙力などを鍛えることで、広い意味での教養を磨くことを目指す。 社会のリーダーとなるための基本的な能力を理解し、物事を多面的、批判的に捉えることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業。それぞれの分野における専門教員によるオムニバス形式講義 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
授業中に各担当者から指示 |
授業計画
第1回 | (全員)複雑な世界に挑む人文社会科学が探究する最先端の問いの紹介 世界の複雑な諸問題を前にして、情報の見えにくい関係を構想・発見し、周囲を巻き込んで問題の奥に迫り、解決していくために、人文社会科学が、いま、どのような問いと考察、実験を試行しているのか。担当者全員により、各回の講義で扱うテーマとその背景を説明し、生活と学問のつながり方のあるべきかたちや、科学技術と人文社会科学が協働して探究すべき課題について考察する。 | 【事前学修】シラバスの授業内容欄を読み、質問したい事項がないか考えてくる。 【事後学修】各教員の授業に向けて考えておくべき事項についてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
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第2回 | (勢力)人間にとっての「合理性」の陥穽と行方 人間は非合理な本性をたずさえたまま、さまざまな技術を用いて「合理性」を探求する。あらゆる対象をモデル化し、計測不能なリスクすらある程度合理的に制御可能とみなして進む社会の行方と、「合理的」意思決定を下す際の陥穽と留意点について考察する。 | 【事前学修】合理的であることが愚かさに通じる事例について考えてくる。 【事後学修】紹介した文献や講義内容に関しての自分の考察を次回までに練っておく。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第3回 | (勢力) ゲームとしての制度の生成変化と21世紀の「つながり」のかたち 私たちの「よろこび」を促進し、「無力感」や「空虚感」を減らすために人間に可能な慣習や制度とは何で、そのような各種の慣習や制度への変化はどのように生じうるのだろうか。慣習や制度の生成と変化という問題を「ゲーム」という観点から考察し、21世紀における資本主義、仕事、幸福などのかたちについて探究する。 | 【事前学修】「共有地の悲劇」に通じることが懸念される事例について、別様の慣習・制度の具体的な提案を考えてくる。 【事後学修】紹介した文献や講義内容に関しての自分の考察を次回までに練っておく。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第4回 | (勢力)人間が営む科学と来るべき社会のかたち 個人主義や理性中心主義を基盤とした「道具」としての科学観から、多様な情緒のつながりを重視する考え方に移行することで科学と社会のかたちは具体的にどのように変容していくのかを探究する。 | 【事前学修】多様な情緒のつながりを重視する時代の科学と社会はどのように変わっていくかについて考えてくる。 【事後学修】講義をふまえて得た問いをめぐる考察を洗練させ、その表現を他者に向けて試す。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第5回 | (天野)情報と法(1) 表現の自由・知る自由と有害情報 情報の伝達を規制する法には、情報伝達の手段や技術を規制するものと情報の内容そのものを規制するものがあります。国家の基礎法である憲法には「表現の自由」「通信の秘密」が規定されており情報に関する事項は古くからあるテーマでした。しかし、情報通信技術の発展や個々人の価値観の多様化は従来の法理論では対応が難しい状況も生み出しました。この時間は、情報分野における従来の基礎的内容を説明するとともに、有害情報の拡散防止や情報を受領しない自由といった新しい論点を紹介します。 | 【事前学修】情報の内容に関する規制にどのようなものがあるかまとめておく。 【事後学修】授業を踏まえて、情報の内容に関する規制が妥当であるかをレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第6回 | (天野)情報と法(2) 安全保障上機微な発明と学問の自由 2022年、経済安全保障の観点からわが国の安全保障にとって機微な技術を含む発明の特許出願を非公開とする制度が創設されました。特許出願は公開が原則となっていますが、これを非公開とすることで機微情報の流出を防止することが期待されます。しかし、この制度のもとでは発明について特許出願をしないのであれば情報流出を防止することができません。特許出願しない場合の情報流出を防止するには学問の自由(研究成果発表の自由)を制限する必要がありますが、これは認められるでしょうか。この時間は、従来、表現の自由と並んで憲法で強く保障されているとされてきた学問の自由に対する制限のあり方について考えます。 | 【事前学修】わが国の安全保障に関わる情報が外国に流出した事例を探しておく。 【事後学修】授業を踏まえて、学問の自由に対する制限の可否についてレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第7回 | (柴山)教育におけるメディア 筆、鉛筆、タブレット端末などの道具と思考形式の変容の歴史などを踏まえながら検討していく。特に、デジタル教科書やタブレット端末の使用に関する諸問題を議論したい。 | 【事前学修】情報処理学会などの理数系学会が示した「『デジタル教科書』推進に際してのチェックリストの提案と要望」を確認し、その内容を整理しておくこと。 【事後学修】講義内容を踏まえて、デジタル教材やタブレット端末を用いて学習することについて、自分なりの考えをまとめること。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第8回 | (柴山)これから求められる能力や教育 人工知能の台頭などの状況を踏まえながら、これから求められる能力や教育のあり方について検討していく。特に、「プログラミング的思考」と「ティンカリング」や「アート的思考」について議論したい。 | 【事前学修】文部科学省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」、「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を確認し、その内容を整理しておくこと。 【事後学修】講義内容を踏まえて、人工知能が進展するなかで、これからの子どもに求められる能力や教育について、自分なりの考えをまとめること。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第9回 | (岸)星新一の世界1 文学も一種の文化現象である以上、人間や社会の変容を映し出すことになる。例えば、星新一のショートショートには、未来を予言した作品が少なくない。これらの作品は現代社会の諸問題を炙り出す契機となり得る。今回は星新一の作品を未来からの警告という形で読み解いていくことにしたい。 *対象とする作品 「ゆきとどいた生活」「冬の蝶」 | 【事前学修】講義の対象となる作品を読んで、理解できない箇所を質問できるようにしておくこと。 【事後学修】授業の復習を行う。授業で提示された読みを批判的に摂取し、自分の考えを文章としてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第10回 | (岸)星新一の世界2 今回は人間のコミュニケーションの問題をとりあげる。誤解、勝手な思い込み、ディスコミュニケーション。星新一の三つの作品を例に考察を加える。 *対象とする作品 「ボッコちゃん」「夜の事件」「夜の山道で」 | 【事前学修】講義の対象となる作品を読んで、理解できない箇所を質問できるようにしておくこと。 【事後学修】授業の復習を行う。授業で提示された読みを批判的に摂取し、自分の考えを文章としてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第11回 | (藤木)官民連携(PPP)(1) 情報科学の応用は、スマートシティをはじめ、従来の官民の役割分担を超えた官民連携(PPP:Public-Private Partenership)によるプロジェクトが進められている。第11回では官/民/公/私の概念整理、定義、PFI(Private Finance Initiative)など代表的手法について解説する。 | 【事前学修】官民連携(PPP)、PFI(Private Finance Initiative)について調べる。 【事後学修】講義を踏まえて、情報科学に関係する論点について自身の考えをレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第12回 | (藤木)官民連携(PPP)(2) 第11回の講義結果を受けて、情報科学を応用した官民連携(PPP)の事例研究を行い、政府/地方公共団体/金融機関/通信事業者/その他民間企業をはじめとしたステークホルダーにとっての便益/含意についてディスカッションを行う。 | 【事前学修】情報科学を応用した官民連携(PPP)について調べる。 【事後学修】講義を踏まえて、情報科学に関係する論点について自身の考えをレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第13回 | (北村)才能と熟達化 ノーベル賞等の受賞者はどのようにしてその才能を開花させたのだろうか。科学,芸術,スポーツ,わざ,ビジネス等の様々な領域における卓越性を発揮する人々を題材として取り上げ,熟達の視点から多角的に考究し,これからの社会に求められる熟達化について理解を深める。 | 【事前学修】才能とは何か,自身が興味を持つ具体的な事例について調べ,考えをまとめておく。 【事後学修】講義を踏まえて、科学の領域で求められる熟達について自身の考えをレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第14回 | (北村)集団をまとめるチームビルディング これからの社会は人間中心の社会である「Society 5.0」をいかに実現していくかが問われている。したがって情報科学をとりまく諸課題をひとの心の側面から問い深めることは重要である。個々のひとの集まりとしての集団がチームとしてまとまるメカニズムはどのようなものか,その中でリーダーの果たす役割とは何か,優れたリーダーとは何か,について,理論的背景も視野に入れつつ具体例に基づいて考察する。 | 【事前学修】人々がチームとしてまとまるにはどのような条件が必要なのか,自身が興味を持つ具体的な事例について調べておく。 【事後学修】講義を踏まえて、チームビルディングおよびリーダーシップについて自身の考えをレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
第15回 | (北村)コーチングというリーダーシップの在り方 優れたリーダーには,共通するものの見方,考え方,そして行動の仕方が存在する。スポーツやビジネスの世界において,相手の自律的な行動を導くコーチング実践が高く評価されている指導者たちの実践を題材として取り上げ,理論的かつ実践的な理解を深める。その上で,これからリーダーとなる自分自身のものの見方,考え方,行動の仕方にどのように結びつけていけばよいか,考察する。 | 【事前学修】優れたリーダーに共通するものは何か,具体的な事例について調べた上で自身の考えをまとめておく。 【事後学修】講義を踏まえて、コーチングについて自身の考えをレポートとしてまとめる。 | 【事前学修】 :2時間 【事後学修】 :2時間 |
その他
教科書 |
必要に応じて資料やプリントの配布
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
必要に応じてプリント配布
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成績評価の方法 及び基準 |
各教員の課題に対するレポート(100%) レポートに関して、その作成上の留意点・評価基準等の指示や、受講者全体に周知すべきフィードバックは、授業内(一部はLMSを用いる可能性あり)で行います。 |
質問への対応 | 授業の直後やメールなどにて対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
勢力尚雅(seiriki.nobumasa@nihon-u.ac.jp ) 柴山英樹(shibayama.hideki at nihon-u.ac.jp) ※atは@に置き換えてください。 岸 規子(kishi.noriko@nihon-u.ac.jp) 天野聖悦(amano.seietsu@nihon-u.ac.jp) 藤木秀明(fujiki.hideaki@nihon-u.ac.jp) 北村勝朗(kitamura.katsurou@nihon-u.ac.jp) 一般教育・船橋研究室5号館532室(勢力、岸)、542室(天野、藤木)、538B(柴山)、スポーツホール内研究室D(北村) |
オフィスアワー |
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 柴山 538B研究室(まずメールでお問い合わせください)
月曜 船橋 12:20 ~ 13:00 勢力 532研究室(まずメールでお問い合わせください)
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 天野 542研究室(まずメールでお問い合わせください)
金曜 船橋 12:20 ~ 13:00 北村 スポーツホール研究室D(まずメールでお問い合わせください)
月曜 船橋 12:20 ~ 13:00 藤木 542研究室(まずメールでお問い合わせください)
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 岸 532研究室(まずメールでお問い合わせください)
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学生への メッセージ |
世界を多角的に考え、問題意識を持ち論理的に考える力を養うことを望む |