2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 物質応用化学専攻
設置情報
科目名 | 無機化学特論Ⅰ | ||
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設置学科 | 物質応用化学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 遠山 岳史 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L52B |
クラス |
概要
学修到達目標 | ミクロな視点(結晶構造)から無機材料の物性を理解することを目標とし,セラミックス,ガラス,金属材料を例に解説する。これにより,材料のマクロな物性にミクロな結晶構造がどのように影響しているのか理解できる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 本講義はパワーポイントを利用した講義形式にて講義を行う。なお,一部演習等は板書形式にて実施する場合がある。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
(予習)学部レベルの無機化学(とくに,無機固体化学及び無機材料物性)を理解しておくこと。 (復習)限られた時間の中で代表的例を題材とした解説となるため,講義終了後には文献・インターネットなどからその他の事例について調べ,深く理解すること。 |
授業計画
第1回 | 無機化学特論Ⅰの基礎 大学生で学んだ固体化学に関する復習を行う。 | 【事前学修】大学生時代に使った無機化学の教科書に目を通し,復習をしておくこと。 【事後学修】授業中にでてきた用語の中で理解していないものについて,調べて理解しておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
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第2回 | 固体の結晶構造 結晶構造の基本(ブラベー格子,面指数,格子定数)について解説する。 | 【事前学修】用語について事前に調べ,分からないところがあれば質問できるようにしておくこと。 【事後学修】授業を参考に,Miller指数を求められるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第3回 | 空間群と結晶構造の評価 空間群の種類とX線回折による結晶構造の評価方法について解説する。 | 【事前学修】Miller指数の定義および空間群について調べ,分からないところがあれば質問できるようにしておくこと。 【事後学修】授業を参考に,粉末X線回折ピークから格子定数を求められるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第4回 | 結晶の化学結合(配位数,格子エネルギー) 格子エネルギーの大小が無機物質の化学的安定性にどのように寄与しているのか解説する。 | 【事前学修】陽イオン/陰イオン半径比を計算から求められるようにしておくこと。 【事後学修】格子エネルギーが材料の物性にどのように係わっているのか,いろいろな材料の格子エネルギーと融点を調べ,データから関係性について理解しておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第5回 | 固体の熱力学 結晶相の相転移と熱分析について解説する。 | 【事前学修】大学生時代に学んだ熱分析の原理と状態図について予習しておくこと。 【事後学修】てこの原理から状態図の中のそれぞれの成分の状態を説明できるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第6回 | 焼結とメカノケミストリー 無機材料の作製に重要な焼結反応と機械化学的反応(メカノケミストリー)について解説する。 | 【事前学修】セラミックスの製造方法について調べておくこと。 【事後学修】Crystal GrainとGrain Boundaryを理解するとともに,多結晶体と単結晶の違いを説明できるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第7回 | 結晶構造と結晶の大きさ X線回折による結晶子の大きさと格子ひずみについて解説する。 | 【事前学修】粉末X線回折法とBraggの式について十分理解しておくこと。 【事後学修】結晶子の大きさ,格子ひずみの求め方を復習すること。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第8回 | 結晶形状と走査型電子顕微鏡 電子顕微鏡による結晶の形の評価方法について解説する。 | 【事前学修】電子顕微鏡の原理について調査し,分からないことがあれば質問できるようにしておくこと。 【事後学修】電子顕微鏡から得られる情報(2次電子像,反射電子像,特性X線)についてまとめておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第9回 | 結晶の形態制御 結晶の合成方法と大きさ・形状・分布を制御するための方法について解説する。 | 【事前学修】溶解度,過飽和度について調べ,分からないことがあれば質問できるようにしておくこと。 【事後学修】各種粒子の製造方法を調べ,結晶の形態制御に溶解度がどのような役割を果たしているのか理解しておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第10回 | セラミックスの化学 セラミックスの力学的特性と微構造との関係について解説する。 | 【事前学修】応力-ひずみ曲線について予習し,金属とセラミックスの相違について説明できるようにしておくこと。 【事後学修】原子-原子間の相互作用とヤング率との関係について十分理解できるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第11回 | ガラスの結晶構造と性質 非晶質とガラスの違い,結晶構造と性質の関係について解説する。 | 【事前学修】ガラスの結晶構造とSiO2(石英)の相変化について理解しておくこと。 【事後学修】SiO2を主成分とする材料の製造方法について調査し,その微構造(ガラス,非晶質)を把握できるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第12回 | ガラスの力学特性 ガラスの熱応力と微構造との関係について解説する。 | 【事前学修】熱応力の定義について予習するとともに,結晶化ガラスについて調査しておくこと。 【事後学修】一般的なガラスと石英ガラスの熱膨張率を調べ,どれくらいの熱応力の差が生じるのか理解しておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第13回 | 金属結合と金属結晶 金属結合と金属結晶の構造が金属材料の物性にどのように関与しているのか解説する。 | 【事前学修】金属結合について予習し,分からないところがあれば質問できるようにしておくこと。 【事後学修】板書では理解しにくい立方最密,六方最密,体心立方構造を各自で調べ,どのような構造になっているのか立体的に理解しておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第14回 | 合金の構造と性質 合金の種類とその構造について解説する。 | 【事前学修】第12回の金属結晶の構造についてノートを読み返し,十分理解しておくこと。 【事後学修】種々の合金を調べ,合金化することでどのような物性が付与されているのかをっ調査して合金の有用性について理解しておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
第15回 | 理解度確認試験及びその解説 これまでの講義の理解度を筆記試験(60分)により確認し,理解を深める。 | 【事前学修】これまでの講義ノートを振り返り,不明点については各自で調査・理解をしておくこと。 【事後学修】理解度確認試験でできなかった部分について復習をし,使いこなせるようにしておくこと。 | 【事前学修】2時間 【事後学修】2時間 |
その他
教科書 | |
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
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成績評価の方法 及び基準 |
3回のレポートによる評価(15点)のほか,平常試験(85点)により評価する。なお,レポートのフィードバックは授業内で解説することによって行う。 |
質問への対応 | 授業終了後に随時対応するとともに,メールでも受け付ける.なお,メールにて問い合わせをする場合には,メールタイトルに科目名を記載し,本文中に学生番号・氏名を記載すること。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎 2号館 3階 237室 touyama.takeshi@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
土曜 駿河台 14:00 ~ 16:00 2号館237室
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学生への メッセージ |
無機を専門とする人以外にも容易に理解できるよう,講義の要所に学部の講義の復習を入れながら説明します。 |