2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 磁気流体力学Ⅰ | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 末次 祐介 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M31B |
クラス | |||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | プラズマ物理学/工学を専攻する大学院生の基礎となる、F.F. Chen "Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion"(訳:内田 岱二郎、"プラズマ物理入門")をテキストとし、内容を理解する。プラズマの基本的な特性やその振る舞いを記述する電磁流体力学の基礎概念を習得する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義形式で行う。基本的にテキストをまとめたスライドを用いる(必要に応じて板書する)。スライド資料(PDF)は章ごとに予め配布、あるいはアップロードする。キーワード等一部穴埋め式となっており、各自受講しながら埋めていく。各章の講義終了後、書き込んだスライド資料をレポートとして提出する。完全な資料はその後ダウンロードできるようにする。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予習:テキストや参考図書を読む。 復習:テキストやスライド資料にある重要な式を自分で導出してみる。 予備知識:電磁気学、統計力学(気体分子運動論)、熱力学、および、解析学(偏微分方程式、ベクトル解析)の基礎的部分を復習しておく。 |
授業計画
第1回 | 電磁流体力学を学ぶ前に(準備):気体分子運動論(速度分布関数、理想気体の状態方程式)、流体力学の基礎方程式などの基礎知識の再確認 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
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第2回 | 電磁気学の基礎:マックスウェルの方程式、電磁波などの基礎知識の再確認 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第3回 | 荷電粒子の基礎過程:電離、衝突、再結合など基礎過程 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第4回 | プラズマとは何か:Debyeしゃへい、プラズマの条件、プラズマ生成の基礎過程 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第5回 | 荷電粒子の運動:一様磁場中の運動、変動する電場や重力場、曲がった磁力線の影響、ドリフト運動、断熱不変量 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第6回 | 流体としてのプラズマ:電磁気学・流体力学と電磁流体力学(MHD)、電磁流体力学的ドリフト、プラズマ近似 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第7回 | プラズマの波動(1):プラズマ振動、電子プラズマ波、音波、磁場に垂直な静電振動 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第8回 | プラズマの波動(2):プラズマ中の電磁波、カットオフと共鳴、磁気流体波、磁気音波、CMA図 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第9回 | 拡散と抵抗(1):弱電離気体中の拡散と移動、両極性拡散、磁場を横切る拡散 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第10回 | 拡散と抵抗(2):完全電離気体中の衝突、単一流体のMHD方程式、拡散方程式の解、ボーム(Bohm)拡散と新古典拡散 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第11回 | 平衡と不安定性:磁気流体的平衡、2流体不安定性、重力不安定性、抵抗性ドリフト波 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第12回 | 運動論入門:速度分布関数、運動論の方程式、MHD方程式の導出、ランダウ(Landau)減衰 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第13回 | 非線形現象入門(1):シース、衝撃イオン音波、ポンデロモーティブ(ponderomotive)力 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第14回 | 非線形現象入門(2):パラメトリック不安定性、プラズマエコー、非線形ランダウ減衰 | 事前学習:授業内容の予習を行う。 事後学習:授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 事後学習:120分 |
第15回 | 理解度テスト(進み具合に依る) | 事前学習:これまでの授業内容の復習を行う。 | 事前学習:120分 |
その他
教科書 |
F. F. Chen (著), 内田 岱二郎 (翻訳) 『プラズマ物理入門』 丸善株式会社 1977年 第1版
初歩のプラズマ物理学テキストの定番 F. F. Chen "Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion"(第1版)の日本語訳。プラズマの基礎から電磁流体力学まで、物理的理解を重視し、分かり易く書かれている。式の導出も丁寧である。講義のスライド資料はほぼこのテキストを基にしている。本書はプラズマを専攻する大学院生の必読書である。ただし、電磁気学の単位系がCGS系である。講義ではSI単位系を用いる。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
#1: F. F. Chen, Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion, Springer, 2015, 3 edition
#2: 高村 秀一 『プラズマ理工学入門』 森北出版株式会社 1997年 第1版
#1: F. F. Chen "Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion"の最新版。講義資料もこの資料から一部引用している。日本語訳(内田 )との違いは、電磁場の単位系がSI単位系になっている。また、第7章以降が加筆されて、慣性閉じ込めも含む核融合装置はプラズマ応用についての最終章の節で扱われている。演習問題は追加されて充実し、その多くに解答例が付されている。
#2: F. F. Chenの本ではあまり触れられていないプラズマの基礎過程について分かり易く書かれている。また、より工学的観点から書かれている。講義の導入部分で引用している。
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成績評価の方法 及び基準 |
各章終了後にレポートとして提出されたスライド資料の内容を確認・評価する。最終回に理解度確認テストを行いその点数で評価する。 |
質問への対応 | 基本的にメールで対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
7号館721A室 |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 09:00 ~ 17:00
金曜 駿河台 09:00 ~ 17:00
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学生への メッセージ |
電磁流体力学(MHD)で取り扱うプラズマは、今日様々な分野で応用が広がっています。その振る舞いは大変面白いのですが、複雑でもありまる。電磁流体力学は多くの内容からなっており、ステップを踏んで理解していく必要があります。テキストにしているF.F. Chenは「初歩のプラズマ物理」について定評のある教科書です。徐々にプラズマ物理の概念や基礎方程式、電磁流体力学に慣れていきましょう。 |