2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 |
場の理論特論Ⅱ
摂動論的場の量子論
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 大谷 聡 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M32B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 相対論的場の量子論の基礎を学ぶ.前半では実スカラー場の理論を例に,散乱振幅のLSZ公式,Green関数や頂点関数の生成汎関数,有効作用のループ展開などについて学ぶ.後半では非可換ゲージ理論について学ぶ.摂動計算の修得を目標とする. |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 板書による講義形式で行う. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
場の理論特論Ⅰを受講していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 自由場の理論 実スカラー場の理論を例に,自由場の量子論を復習する. | 【事前学習】自由スカラー場の理論について復習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
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第2回 | LSZ公式1 散乱振幅に対するLSZ公式を導出する.場の量子論の散乱振幅は一般にGreen関数の外線をもぎ取ったもので与えられることを学ぶ. | 【事前学習】LSZ公式について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第3回 | LSZ公式2 引き続きLSZ公式の導出を行う. | 【事前学習】Green関数について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.解答例はレポート提出後に配布する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第4回 | 生成汎関数1 Green関数および連結Green関数の生成汎関数を導入する.任意のGreen関数は連結Green関数から構成されることを学ぶ. | 【事前学習】連結Green関数について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第5回 | 生成汎関数2 有効作用(頂点関数の生成汎関数)を導入する.任意の連結Green関数は連結2点Green関数と頂点関数から構成されることを学ぶ. | 【事前学習】頂点関数について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第6回 | 生成汎関数3 引き続き有効作用の解析を行う.場の量子論の散乱振幅は一般に連結2点Green関数と頂点関数のみで構成されることを学ぶ. | 【事前学習】2体散乱振幅について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.解答例はレポート提出後に配布する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第7回 | ループ展開1 ループ展開と呼ばれる摂動展開を導入する.ループ展開はhbarの冪級数展開と等価であることを学ぶ. | 【事前学習】ループ展開について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第8回 | ループ展開2 鞍点近似を用いた有効作用のループ展開について学ぶ. | 【事前学習】鞍点近似について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第9回 | ループ展開3 引き続き有効作用のループ展開を行う.1ループ有効作用の一般的表式を導出する. | 【事前学習】1ループ有効作用について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第10回 | 摂動論的繰り込み 相殺項も含めた1ループ有効作用の一般的表式を導出する.この表式から1ループ頂点関数はすべて読み取れることを学ぶ. | 【事前学習】質量核上繰り込みについて予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.解答例はレポート提出後に配布する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第11回 | ゲージ場の古典論 U(1)ゲージ理論およびSU(N)ゲージ理論の古典論を学ぶ. | 【事前学習】ゲージ場の古典論について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第12回 | ゲージ固定とFaddeev-Popovゴースト1 ゲージ理論を量子化するにはゲージ固定が必要.まず初等積分でゲージ軌道とゲージ固定を学ぶ. | 【事前学習】ゲージ固定について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第13回 | ゲージ固定とFaddeev-Popovゴースト2 SU(N)ゲージ理論に対するFaddeev-Popovのゲージ固定処方について学ぶ. | 【事前学習】Faddeev-Popov行列式について予習しておくこと. 【事後学習】レポート課題を与えるのでそれを解くこと.解答例はレポート提出後に配布する. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第14回 | ゲージ固定とFaddeev-Popovゴースト3 引き続きFaddeev-Popovのゲージ固定処方について学ぶ.Gribov問題にも触れる. | 【事前学習】Faddeev-Popovゴーストについて予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
第15回 | BRST対称性 ゲージ固定後に残るBRST対称性について学ぶ. | 【事前学習】BRST対称性について予習しておくこと. 【事後学習】講義ノート等を参考に講義内容を復習しておくこと. | 【事前学習】120分 【事後学習】120分 |
その他
教科書 |
特に指定しない.
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
坂本眞人 『場の量子論(II)-ファインマン・グラフとくりこみを中心にして- [ISBN: 9784785325121]』 量子力学選書 裳華房 2020年
とても丁寧な教科書.
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成績評価の方法 及び基準 |
計4つのレポート課題で成績評価を行う.試験は行わない.レポート課題は提出締め切り後に解答例を配布する. |
質問への対応 | 授業中・授業外に関わらずいつでも受け付ける.メールでも良い. |
研究室又は 連絡先 |
研究室: 駿河台校舎8号館2階823D Email: ohya.satoshi@nihon-u.ac.jp Phone: 03-3259-0790 URL: http://aries.phys.cst.nihon-u.ac.jp/~ohya/ |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 17:00 ~ 18:00 事前にメール等で連絡を入れるのが望ましい
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学生への メッセージ |
この授業では自由場の理論は学んだことがある学生を対象に,出来るだけ平易に摂動論的場の量子論の基礎を解説します. |