2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 | 量子力学特論Ⅱ | ||
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 三輪 光嗣 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M35B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 量子力学における経路積分の手法を基に,物理学の幅広い分野に於ける量子力学の応用例を学び,学部では扱われなかった高い水準の量子力学の習得を目指す.授業を通して,経路積分の手法の物理的意味を様々な角度から学び,それらの手法が先端的な物理学の中でどのように活かされているかを知ることにより,現代物理学への幅広い知見を得ることができる. |
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授業形態及び 授業方法 |
「対面授業」 板書による講義を行う。また、必要に応じてテーマを決めた輪講を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
理工学部の学生に要求される一般的な数学力と共に,学部で学ぶ基礎的な量子力学の知識を身につけておくことが、必要である。また,幾つかの応用のために,学部で学ぶ基礎的な統計物理学の予備知識のあることも望ましい. |
授業計画
第1回 | 古典力学から量子力学へ 古典力学から量子力学への発展の概略を述べ,構造上の類似点と差異点を整理する. 学部の量子力学の復習に当たる. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
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第2回 | シュレディンガー方程式と量子力学の構造 量子力学の基本構造を整理し,とくに「表示」の概念を学ぶ.また,これらの 知識を基に,シュレディンガー方程式とそのグリーン関数の関係を学ぶ. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第3回 | 経路積分に基づく量子力学 グリーン関数に「経路積分」と呼ばれる表式を導き,これが量子力学の考え方や, 量子力学の問題解法に新しい手法を与えることを学ぶ. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第4回 | 基本的な力学系と経路積分の有効性Ⅰ 調和振動子を含む基本的なポテンシャル問題の幾つかを, 経路積分の手法を適用して解き,その有効性を学ぶ. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第5回 | 基本的な力学系と経路積分の有効性Ⅱ 経路積分の手法を,より幅広い現実的な物理系にも適用し,標準的な正準量子化 に基づく解法と比較して,その有効性を調べる. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第6回 | 調和振動子系とコヒーレント状態 調和振動子系の発展的記述として,コヒーレント状態と 呼ばれる完全系を取り上げ,これを用いた経路積分を定式化する. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第7回 | フェルミ変数の経路積分 コヒーレント状態の知識を基に,フェルミ統計に従う力学変数の 正準力学と、経路積分を定式化する. (授業後にレポートの提出課題を与える) | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第8回 | 統計力学と経路積分 虚数時間を導入した経路積分は,統計物理学の分配関数の計算にも 有効な手段を与える.これを簡単な例題を用いて確める. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第9回 | 経路積分と量子力学の準古典近似 プランク定数を摂動パラメターとして扱う量子力学の準古典近は、経路積分においても 明確な物理的意味を持つ。この近似を経路積分の視点から整理し、トンネル子効果等への 応用を議論する. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第10回 | 場の量子論と経路積分Ⅰ 粒子の生成消滅を記述する場の量子論の入門的解説を与え、場の方程式のグリーン関数 と経路積分の関係を議論する. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第11回 | 場の量子論と経路積分Ⅱ 場の理論に於ける経路積分の手法の有効性を、統計力学を含むいくつかの具体例 を通して議論する. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第12回 | 拘束条件を持つ力学系Ⅰ ゲージ理論と呼ばれる拘束条件を持つ力学系の古典的扱い,及び量子論的 扱いの基本的な解説を行い,代表的な幾つかの具体例を学ぶ. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第13回 | 拘束条件を持つ力学系Ⅱ 拘束条件を持つ力学系において,経路積分が直観的かつ有効な量子論的 解析の手段を与えることを,具体例を通して学ぶ. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第14回 | 拘束条件を持つ力学系としての弦模型Ⅰ 素粒子物理学の話題の一つである弦模型は,時空に1次元的に広がる力学系で, 拘束条件を持つ力学系の構造を持つ,この力学系の入門的解説を行う. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第15回 | 拘束条件を持つ力学系としての弦模型Ⅱ 現代的な視点を取り入れた弦模型の話題の提供する. | 事前学習:授業内容の予習を行う. 事後学習:授業内容の復習を行う. | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
その他
教科書 | |
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
ファインマン・ヒッブス 『量子力学と経路積分』 みすず書房
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成績評価の方法 及び基準 |
平常評価と課題レポートの評価を総合して,最終評価を出す。 |
質問への対応 | 基本的には授業時間内、もしくは授業終了時が望ましい。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室: 駿河台校舎8号館821C室 メールアドレス: miwa.akitsugu@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 18:10 ~ 18:30
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学生への メッセージ |
分からないところは積極的に質問をしてください。 |