2025年 大学院理工学研究科 シラバス - 量子理工学専攻
設置情報
科目名 | 核融合特論 | ||
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設置学科 | 量子理工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 渡部 政行 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | O32C |
クラス |
概要
学修到達目標 | この講義を受講することによって,核融合炉を目的にした高温・高密度プラズマの閉じ込めを理解することができる.まず,核融合炉実現に必要な高温・高密度プラズマの条件やその特徴を学習する.プラズマの電磁流体力学的な振る舞いと供にに,運動論的な振る舞いに関しても理解することができる.最終的に,磁場閉じ込めにおけるプラズマ核融合エネルギーの概念を理解することができる. |
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授業形態及び 授業方法 |
授業方法:「対面授業」 板書を中心に対面で講義を行う予定である. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予備知識がなくても理解できるように講義するが,基礎的な電磁気学,解析力学,流体力学などの予習はしておくこと.特に,電磁気学の基礎的な内容は必ず予習しておくこと. |
授業計画
第1回 | 原子力エネルギー工学: 前期講義「原子力エネルギー工学」で学んだ講義内容を復習する. | 予習:原子力エネルギー工学に関して予習しておくこと 復習:原子力エネルギー,核融合科学に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
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第2回 | 核融合工学: 核融合炉を実現するための概念である核融合3重積について理解する. | 予習:核融合炉を実現するために必要な条件を確認しておくこと 復習:核融合反応断面積、熱平衡状態について復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第3回 | 核融合工学: 核融合反応で重要なトンネル効果について説明する. また実際のポテンシャル問題を解くことでその本質を理解する. | 予習:量子力学全般を確認しておくこと 復習:シュレディンガー方程式の解法を復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第4回 | 炉心プラズマ: プラズマの輻射と熱平衡、炉心プラズマの成立条件、プラント効率などを理解する. | 予習:熱力学全般を確認しておくこと 復習:プラズマの輻射と熱平衡の概念に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第5回 | クーロン衝突: 多粒子における物理に重要な弾性衝突とクーロン衝突を学習する. クーロン衝突の基礎に加え,遁走電子に関して理解する. | 予習:電流,電圧や抵抗の定義に関して確認しておくこと 復習:電気抵抗、オーム加熱について復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第6回 | 気体運動論: 気体運動論とは,マクセルボルツマン分布に関して学習する. 温度の概念を理解する. | 予習:気体運動論に関してその概要を調べておくこと 復習:分布関数の基礎知識をもとにプラズマの振る舞いを復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第7回 | 気体運動論: 解析力学の概念を復習する. ハミルトン方程式を用いてプラズマの運動論的振る舞いを理解する. | 予習:解析力学に関して復習しておくこと 復習:静電場・電磁場におけるハミルトニアンを数学的に復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第8回 | 気体運動論: ボルツマン方程式、ブラゾフ方程式等に関して学習する | 予習:前講義「気体運動論」を復習しておくこと 復習:高温プラズマにおける気体運動論に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第9回 | 流体モデル: 電磁流体としてのプラズマの振る舞いを理解する. 荷電粒子の連続の式および運動方程式を導く. | 予習:電磁気学に関して予習しておくこと 復習:連続の式,電磁流体力学の基礎に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第10回 | 電磁流体モデル: 電磁流体モデルにおける基礎的な方程式である 2流体および1流体の電磁流体方程式を学習する. | 予習:電磁流体とは何か?予習しておくこと 復習:電磁流体運動方程式に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第11回 | 電磁流体力学: 電磁流体的運動方程式の簡単化を行う. 一般化されたオームの法則を導出する. | 予習:電気工学,特にオームの法則に関して予習しておくこと 復習:MHD項を含むオームの式に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第12回 | 電磁流体力学: 電磁流体的な概念を基に磁場の拡散方程式、磁気レイノルズ数に関して学習する. | 予習:1流体近似された電磁流体方程式を予習しておくこと 復習:磁場の拡散方程式、磁気レイノルズ数に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第13回 | プラズマの平衡と安定性: プラズマの巨視的平衡と安定性を理解し、圧力と磁気圧のバランスを考える. 電磁気の基礎的な方程式を用いプラズマの平衡と安定性を理解する. | 予習:電磁気および電磁流体力学に関して予習しておくこと 復習:プラズマの平衡と安定性に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第14回 | プラズマの平衡と安定性: 基礎的なプラズマの磁場閉じ込め方式である Zピンチ、θピンチ、トカマクプラズマ等の平衡状態を考える. | 予習:Zピンチ、θピンチ、トカマクプラズマに関して調べること 復習:各磁場閉じ込め配位の平衡状態に関して復習すること | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
第15回 | プラズマの平衡と安定性: プラズマの平衡状態における磁気面を考え、Grad-Shafranov方程式を導出する. | 予習:座標変換に関して確認しておくこと 復習:Grad-Shafranov方程式の導出を各自行うこと | 事前学習:2時間 事後学習:2時間 |
その他
教科書 | |
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
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成績評価の方法 及び基準 |
成績評価は適時行うレポートの提出を基に総合的に判断する. 出題した課題に関しては適時,解説を行う. |
質問への対応 | 質問は、いつでもどうぞ. オフィスアワーを以下に示していますが,変更もあります. まずはメールで連絡してください. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎8号館2階 823F室,TEL 03-3259-0917 船橋校舎 物理実験A棟,TEL 047-469-5350 e-mail watanabe.masayuki66@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 船橋 14:00 ~ 16:00
水曜 駿河台 12:00 ~ 14:00
木曜 船橋 11:00 ~ 13:00
金曜 船橋 14:00 ~ 16:00
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学生への メッセージ |
核融合反応は無尽蔵のエネルギー源です.2025年に,国際熱核融合実験炉 ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor)もフランス・ガダラッシュで稼働し始めます.難しい技術ですががんばって実現しましょう. |