2021年 理工学部 シラバス - 航空宇宙工学科
設置情報
科目名 | 航空宇宙材料Ⅰ | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 奥山 圭一 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H34B |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 航空機や宇宙機などの輸送機械の構造は,破壊や変形に対して抵抗が大きく,外部から作用する力に対して一定の形態に保つ性質を持っていなければならなず,かつ軽くなければならない.特に,宇宙機構造はロケット打上げ時の機械的環境や宇宙滞在時における大きな熱応力(大きな温度差),熱サイクル,また大気圏高速飛行時おける空気力学的加熱にも耐荷しなければならない.ここでは,これら航空機や宇宙機に多用されている軽合金(アルミニウム合金やチタン合金,マグネシウム合金など),耐熱合金(Ni基,Co基などの耐熱合金),セラミックス,繊維強化樹脂複合材,ハニカムサンドイッチなどを講義する.航空宇宙機構造の開発経験をもとに,過去の航空機や宇宙機の重大不具合や事故を事例にして,これらが発生した原因を分析し,航空宇宙材料学を用いて回避するための方策についても講義する. |
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授業形態及び 授業方法 |
・実務教員による授業 宇宙往還機や人工衛星,ロケット,航空機の開発経験をもとに,宇宙機や航空機の構造・ 材料の学修に必要な基礎知識について講義する. ・教科書に従って,板書による授業を基本として行う. ・対面とメディアを併用したハイブリッド形式で講義する(予定). ・メディア講義(リモート講義)はGoogle Classroomを使用する(予定). |
履修条件 | 「材料力学Ⅰと材料力学Ⅰ演習」 および「熱力学と流体力学の基礎,熱力学と流体力学の基礎演習」の単位を取得していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | ① 講義の概要 航空宇宙材料Ⅰおいて学ぶ内容と位置付けについて確認する. ② 航空機と宇宙機の構造材料 航空宇宙機構造の概要とそこに使用されている各種材料を理解する.特に,比強度と比弾性(比剛性)の概念を確認する. 【事前学習】 シラバスの内容をよく読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,材料力学Ⅰのテキスト(梁のせん断力と曲げモーメント)および熱力学のテキスト(熱力学の第一法則と第二法則)を読んでおくこと.また,テキストⅢ-1章(材料使用の実際・概要)も読んでおくこと.(180分) |
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第2回 | ロケット打上げ時における機械的環境 ロケット打上げ時における機械的環境(準静的加速度荷重,正弦波振動荷重,ランダム振動荷重,音響振動荷重および衝撃荷重)と,宇宙機に対する設計要求を学ぶ. 【事前学習】 第1回講義のときに配布した資料を読んでおくこと.また,テキストⅢ-1章(材料使用の実際・概要),Ⅲ-4章(宇宙機・宇宙構造物とその材料)も読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第3回 | 宇宙環境(1) 宇宙空間を飛行する宇宙機が曝される宇宙環境(微小重力,高真空,大きな熱応力,熱サイクルなど)と,宇宙機に対する設計要求条件を学ぶ. 【事前学習】 第2回講義のときに配布した資料を読んでおくこと.また,テキストⅢ-5章(宇宙と材料)も読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第4回 | 宇宙環境(2) 大気圏を高速で飛行する宇宙機が遭遇する空気力学的加熱の大きさとその計算方法を学び,宇宙機を熱防御する手法の基礎についても学ぶ. 【事前学習】 第3回講義のときに配布した資料を読んでおくこと.また,テキストⅢ-5章(宇宙と材料)も読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第5回 | 航空機の機械的環境 航空機の機械的環境(運動荷重と突風荷重,着陸荷重と非常着陸)について学ぶ. 【事前学習】 第4回講義のときに配布した資料を読んでおくこと.また,テキストⅢ-2章(航空機機体とその材料)も読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第6回 | 宇宙機と宇宙機構造物とその材料 宇宙機と宇宙機構造物とそこに使用されている各種材料について学ぶ. 【事前学習】 テキストⅢ-4章(宇宙機と宇宙機構造物とその材料)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第7回 | 破壊の理論 航空宇宙機構造のための破壊理論(脆性破壊,延性破壊と時間依存性破壊)の基礎を学ぶ. 【事前学習】 テキストⅠ-3章(破壊の理論)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第8回 | 前半の復習 これまでの内容を復習する. 【事前学習】 これまでの授業内容(第1回から第7回)を復習しておくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習すること.(180分) |
第9回 | 複合材料の強化機構 航空宇宙機構造に多用されている各種繊維強化樹脂複合材の巨視的特性,また各種繊維および各種母材の強度・弾性率,複合材料の強度・弾性率の大きさやその算出法を学ぶ. 【事前学習】 テキストⅠ-4章(複合材料の強化機構)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第10回 | 航空宇宙材料各論(1) 航空宇宙機構造に最も多用されているアルミニウム合金およびチタン合金について学ぶ. 【事前学習】 テキストⅡ-1章(アルミニウムおよびアルミニウム合金),Ⅱ-2(チタンおよびチタン合金)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第11回 | 航空宇宙材料各論(2) 航空機やロケットのエンジンなどに多用されている超合金および高融点耐火金属について学ぶ. 【事前学習】 テキストⅡ-5章(耐熱合金),Ⅱ-6章(高融点耐火金属と金属間化合物)およびⅢ-3章(航空宇宙用推進機関とその材料)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第12回 | 航空宇宙材料各論(3) 米航空宇宙局NASAのスペースシャトルや日本の極超音速飛行実験機HYFLEXなどに採用された各種セラミックスの一般的性質,破壊,塑性・粘性変形について学ぶ. 【事前学習】 テキストⅡ-7章(セラミックス)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第13回 | 航空宇宙材料各論(4) 繊維強化樹脂複合材料は比強度と比弾性(比剛性)が大きいことから,航空宇宙機構造に多用されている.特に,炭素繊維強化樹脂複合材の比強度と比弾性は実用材料の中で最大級であるためボーイング社の787型機などに多く採用されている.ここではこれら繊維強化樹脂複合材について学ぶ. 【事前学習】 テキストⅡ-8章(炭素系材料)およびⅡ-9章(複合材料)を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第14回 | 航空宇宙材料各論(5) ハニカムサンドイッチ構造は表皮とコア材から構成され,軽量で高剛性(弾性)であるため,航空機や宇宙機構造に多用されている.ここではこの各種サンドイッチ構造の曲げ剛性の大きさやその算出法について学ぶ. 【事前学習】 第13回講義のときに配布した資料を読んでおくこと.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
第15回 | 後半の復習 第9回から第14回までの講義を復習し,航空機と宇宙機に採用された構造や材料の実際を学ぶ. 【事前学習】 第9回から第14回までの講義で課された宿題を復習すること.(60分) 【事後学習】 授業内容を復習するとともに,宿題を解くこと.(180分) |
その他
教科書 |
塩谷義著 『航空宇宙材料学』東京大学出版会
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参考書 | |
成績評価の方法 及び基準 |
成績評価は中間試験(中間演習)と期末試験(まとめ)で70%から80%,平常点等(宿題など)で30%から20%として利用して行う. |
質問への対応 | 随時,メールにて受け付けています. |
研究室又は 連絡先 |
研究室:327B室 E-mail:okuyama.keiichi@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 船橋 17:00 ~ 19:00 327B室
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学生への メッセージ |
「材料力学Ⅰと材料力学Ⅰ演習」 および「熱力学と流体力学の基礎,熱力学と流体力学の基礎演習」の単位を取得していることが望ましい. |